2016年6月25日土曜日

テーマ【露出・SM】 R18サンプルシナリオ

【注意!】
 このシナリオは18歳未満閲覧禁止です。
 また、かなり悪辣かつ下劣な行為があるシナリオです。そういったものが苦手な方は、閲覧をご遠慮ください。





「それじゃあまずは、服をぜーんぶ脱いでもらえるかな?」
「は……はぁああ!?」
 何言ってんのよコイツ!
 いくら何でも言うこと聞くったって、そんなの無理に決まってるじゃない!
「バカじゃないの!? ば、ば、バカじゃないの!? こんな人がいっぱいいるところで脱げるわけないでしょ!」
「人がいないところなら良いのかな?」
「そういう問題じゃないでしょこのバカ!」
 怒鳴りつけながらチラッと教室に目を配ってみたら、他の男子たちはさりげなく私たちのほうを気にしていた。私と目が合ったら、ささっと視線を逸らす。
 聞かれてる。私たちの会話、みんなに聞かれてる。これだけでもすっごい屈辱だ。
 この上あの男子たちに私の身体を見られるなんて――そんなの絶対ムリ!
「ムリよ! 絶対ムリ! 私何があっても服を脱いだりしないから! 命令なら他のにして!」
「へえ……」
 私が断固拒否したら、そいつは不気味な薄笑いを浮かべてみせた。
 その表情に、私の背筋がぞくっと泡立つ。
 言葉を間違えた。そう思わずにはいられないほどの、陰惨な笑みだった。
「君はひょっとして、自分の立場をよくわかってないんじゃないかな?」
「え、あ……そ、それは、わかってる、つもり……だけど……」
「なら。自分が僕の命令を無視できるような立場じゃないってことも、よーくわかってるはずだよね?」
「あ……う……で、でも……!」
 なんとか言葉で抵抗しようとする私に、そいつは低く冷たい声で一言。
「命令だ。――脱げ」
「……っ!」
 それだけで、私は心臓を掴まれたみたいな恐怖を感じた。
 言うことを聞かないと酷い目に遭わされる。コイツは本気だ。それがわかった。
 でも、それでもやっぱり踏ん切りはつかない。だって、学校の教室だ。みんなの前だ。そんな中で服を脱げだなんて、どう考えてもおかしい。
 私はもう一度、ゆっくりとそいつの顔を見た。
「――――!」
 針で刺された。
 そう感じるほどに鋭い視線が、私を貫いていた。
「……、…………っ」
 言おうとしていた言葉が、喉の奥に引っ込む。
 その視線と沈黙に耐えられなくて、他にどうしようもなくて、仕方なく私は……
 私の震える手は、自分の服にかかっていた。
 ボタンを外す。1つ。2つ。
 外すたびに、私の中で大切な何かが失われていく気がした。
 少しだけ顔を上げて、向かいの顔を見る。やっぱり脱がなくてもいいよ。バカだなあ冗談に決まってるだろ。そんな風に言ってくれるのを期待して。
「…………」
 私のそんな期待は、叶わなかった。
 そいつは服を脱ぐ私をじっと見ていた。さっきと同じ、冷たい目で、じっと。
 私は、最後のボタンを外した。
 ここまで来たら、もう脱ぐしかない。私は目を閉じて、えいっと上の服を脱ぐ。
 あらわになる白いブラ。教室が静かにざわめいた。
 いま私の上半身を覆ってるのは、このブラだけ。それ以外はお腹も背中も、ぜんぶぜんぶ見られてる。
 たくさんの視線を感じる。嘗め回すような気持ちの悪い視線。それが耐えられなくて、私はぎゅっと自分の身体を抱え込んだ。
「何をやってるんだい君は」
 そんな私にも、そいつはひたすらに冷たい言葉を投げかけてくる。
「まだ1枚脱いだだけだろう。最初に僕が何て言ったのか覚えていないのか? 僕はぜんぶ脱げって言ったんだよ?」
「わ、わかってる、わよ……!」
 涙声になるのは、どうしようもなかった。
 身体を隠す手を離して、スカートのファスナーに手をかける。ためらっちゃダメだ。ためらったら余計に恥ずかしくなる。そう思った私は、一思いにファスナーを引き下ろした。
 布がこすれるかすかな音と共に、スカートが落ちる。それを最後まで見ていられなくて、私は手で顔を覆った。
 本当に、脱いでしまった。教室で、男子がたくさんいる中で、私は下着姿で。
 見られてる。見られてる見られてる見られてる。
 顔を覆っててもわかる。視線が。いやらしい視線が、私の太ももや、脇腹や、背中をなぞっていくのが。
「あのさあ……」
 呆れたような声が聞こえる。正面に立つそいつからだった。私をこんな格好にした、そいつ。
「1枚脱ぐたびにそうやって間を置いて、時間稼ぎでもしてるの? それとも焦らしてサービス?」
「え……」
 なんのことだかわからなかった。だって私は、こうやってちゃんと脱いで……
「ぜんぶって言ったら、ぜんぶでしょ。下着も、ぜんぶ」
「――――!」
 下着も、ぜんぶ……。
 そんな……嘘……。だって、いくらなんでもそんな……
 そんな、そんなところまで見られたら、私は……
「今さら嫌とは言わせないからね。もう一度言うけど君に拒否権はない。……なんなら、僕が脱がせてあげようか?」
「……っ! ま、待って! 脱ぐ。自分で脱ぐから……!」
「そう」
 興味なさそうに、そいつは浮かしかけた腰を下ろした。
 屈辱だった。その、どこまでも上から見下すような態度が。
 こっちは死ぬほど恥ずかしい思いをしてるのに、まるでつまらないショーでも見せつけられてるみたいに、そいつは退屈そうにあくびなんかしている。
「ほぉら、早く。君のトロ臭さに付き合ってる暇なんかないんだから」
「…………!」
 殴りたい。殴って、叩きのめして、その余裕かました顔を血まみれにしてやりたい。
 でも、できない。私はコイツの言いなりになるしかないんだ。
 私は怒りで羞恥心を押し殺して、ブラのホックを外した。
 これ以上コイツに見下されたくない。コイツに弱みを見せたくない。
「脱げばいいんでしょ、脱げば……! ほら!」
 私は外したブラジャーを、そいつの顔面に投げつけてやった。
 びたんと顔を叩いたそのブラを、そいつは汚いものでも触るみたいに指先でつまむと、床に落とした。怒りの炎に油を注がれた気分だった。
 ――でもその怒りは、すぐに収まる。
「――! あ……あっ……」
 クラス中の視線が、私に集中していた。
 私の胸に。
 もう何も隠すものがなくなった、私の胸に。
「――――っ!」
 押し殺したはずの羞恥心が燃え上がる。自分の顔が真っ赤になっていくのがわかる。
 見られた。私の胸が。ぜんぶ、ぜんぶ見られた。
 自分で自分のそれを見下ろす。ほんのり桜色に色づいたそれ。
 教室の中。自分でだってお風呂場でしかほとんど目にしないそれが。
 今は、クラスの全員に見られていた。
「いやァァァァァアァァアアア!!」
 見られた。本当に見られた。みんなに。もうダメだ。消えてしまいたい。
 胸を抱えてうずくまる。ダメだ。もう嫌だ。もうやめたい。身体が震える。怖い。お願い。もう、許して……。
「ゆるして……ね、ねえ、もう十分でしょ? これだけやれば……ね?」
「…………」
「お、お願い……。他のことならなんだってするから……パシリでもなんでもするから、だからもうこれ以上は……」
「脱げ」
 冷徹に告げられるその命令。
 機械みたいに冷たいその目。
 目の前にいるそいつが、私にはどうしようもなく恐ろしかった。その冷たい眼差しに、私は文字通り震え上がった。
「ま、待って。やめて。み、見たいなら、アンタにだけ見せてあげるから。他の人にまで見られるよりもそのほうがいいでしょ? ね?」
「脱げ」
「なんだってしてあげるから。どんな格好だって……。こんなところで私を脱がす意味なんてないでしょ? 待てないって言うんなら、せめてトイレとか……」
「脱げ」
「あ、アンタは何がしたいの? 何の為に私に脱げって言うの? それを教えてくれれば、私にだって……」
「脱げ」
 ああ……。
 ダメだ。何を言ってもダメなんだ。
 私にはもう、それしか許されてないんだ。
「わかった……」
 もう、どうしようもなかった。
「脱ぎます……」
 私は立ち上がる。また視線が集中する。片手で胸を隠しても、ただの気休めにしかならなかった。
 最後の一枚。これを脱いだら私の身体を隠すものは本当に何もなくなってしまう。
 だけどこうしてても、何も変わらない。私はもう一度自分を奮いたたせて、空いてるほうの手をそこにかけた。
 そのとき、床に散らかった自分の服が目に入った。
 私のスカート。私のブラウス。
 少し離れたところにはお気に入りのブラジャーが転がっていて、その脱ぎ散らかされた服が、私がいまどんな格好をしているのかを思い知らせてくるみたいだった。
 視界が涙でにじんだ。
 どうして私がこんな目にあうんだろう。私が何をしたって言うんだろう。
 悔しくて、悲しくて、腹が立って、そして恥ずかしかった。
「脱ぎ、ました……」
 もう、抵抗する気力もなかった。
 見られる。見られる。あちこちから見られる。前からも後ろからも上も下も、ぜんぶぜんぶ見られてる。
 せめてもと、私は胸と下を小さい手で隠して、
「隠したらダメ。手は後ろだよ」
 それさえも、禁じられた。
「はい……」
 手を後ろで組む。見られたらいけない場所に冷たい空気が当たる。スースーして、その感覚だけでも身体が熱くなった。
 足が震える。震えを止めようと太ももを擦り合わせてもやっぱり震える。
 私はもう何も見たくなくて、ぐっと目を閉じた。そこから涙がぽろぽろと零れ落ちる。引き結んだ口にそれが流れてきて、少ししょっぱかった。
「も、もう、いい、ですか……?」
 早く服を着させてほしい。この地獄から少しでも早く抜け出させてほしい。
 せめて機嫌を損ねないようにと普段使わない敬語まで使った、その懇願に、
「よし」
 そいつは満足気にそう言った。
 私は心底安心した。ああ、ようやく解放される。これでもう、恥ずかしい目に遭わないで済む。
 もうどうしようもないほど恥ずかしいところを見られたし、明日このことがどんな噂になるかって考えたら手放しで安心はできないけど、でも、それでも……
「じゃあ次は、机の上に座って」
「え……?」
 私のその安堵は、あっという間に突き崩された。
「何してるんだい。ほら、早く。机の上に座って」
「え……で、でも、服を脱げって……それだけだったんじゃ……」
「誰もそんなこと言った覚えはないよ。手始めに服を脱がせただけ。むしろこれからが本番だよ」
 奈落の底に突き落とされた気分だった。
 終わらない。いつまでも終わらない。私はいつまでもどこまでも、辱められる。
 目の前が真っ暗になったような気がした。あまりの絶望に、涙さえも一瞬止まっていた。
 私は呆然と、言われた通りに机に座る。
「よしよし。素直ないい子だ。じゃあそのまま足を開いて、手で自分の穴を開いて見せてくれるかい?」
「…………」
「ん? どうしたんだい? 聞こえなかった? まずは足を開いて……」
「嫌……」
「ん?」
 もう、限界だった。
「嫌って言ったのよ。ぜったい嫌。そんなことしない。私は、私は……」
 私は、何も悪いことなんてしてない。だからこんな目に遭う覚えなんてない。
 こんなのおかしい。こんなのが認められていいはずがない。例え認められてるとしても、私が認めてやらない。
「私はこれ以上、アンタの言いなりになんてならない! 乱暴するなら勝手にしなさいよ! でも絶対に、私は自分からなんて……」
「君のお父さんが、どうなってもいいのかな?」
「――――!」
 私の、お父さん。
 そうだ。私がここでコイツに逆らったら、お父さんが酷い目に遭う。
 ううん、お父さんだけじゃない。お母さんも、弟も、私の家族はみんな……
「……ッ! こ、このゲス野郎!」
「うん。ゲス野郎でもなんでもいいからさ。早く足開いて。お父さんのことが大切なら」
「…………っ!」
 悔しい。
 なんでこんなヤツの言いなりにならないといけないの。なんでこんなヤツの存在が許されてるの。
 こんなヤツ、こんなヤツただ家が金持ちなだけなのに。
「……っ! ……!」
 なんで私は、こんなヤツにこんなところを見られないといけないの。
 足を開いて、自分の恥部に触れる。触れた瞬間に身体が震えそうになって、それを私はぐっと力を入れて抑え込んだ。
 指先でそこを開く。見えないし、見たくないけど、自分の陰部が惜しげもなく空気に晒されるのを感じた。
 屈辱だった。こんな、こんな格好で……誰にも見られたことなかったところを、こんな風に見られるなんて……。
 他のどの男子に見られるよりも、コイツに見られることが一番悔しかった。悔しくて、恥ずかしかった。
 恥ずかしい。見られてる。コイツにも、他の男子にも。私のこと、奥の奥まで見られてる。
 男子たちの距離がさっきよりも一層近くなっていた。息が当たる。涎が今にも垂れてきそうだ。さっきから身体の震えが止まらない。見られてることを意識すると、震えが余計に酷くなった。
「へえ。思ってたよりもキレイなんだね。毛もほとんど生えてないし。もしかして処女だったりする?」
「う、うっさい……!」
「すごいねえ。こんな風になってたんだ。ねえ、ちょっと触ってみてもいい?」
「……! う、く……か、勝手にしなさいよ! どうせ私が嫌って言っても、アンタは無理やり……」
「じゃ、遠慮なく」
「――ぁッ!」
 指が……!
 指が、触れた。私のに。
 私のを、指が、なぞるみたいに触れて、そして……!
「……っあッ! ぁ、ぁ、ぁああぁっ! やめ……あッ! あ、ぅ……あぁあ……! ぁああッ!!」
 だめ。見られてるのに。みんなに見られてるのに。
 出したくないのに、声が止まらない。どうしたんだろう。指で撫でられただけで、こんな……
「ぁあぁん! ぁ、だ、だめぇ! 指入れちゃ……ぁ、あぁあんッ!」
 見られてる。触られてる。私の大事なところが。
 熱い。身体が熱い。指だけなのに。見られてるのに。見られてるから?
 熱い。恥ずかしくて、熱い。やだ、見ないで。そんなに見られたら、私……
「……ッ、あん! あ……! あぁッ! あぁぁ……っぁん!」
「君、感じすぎじゃない? もしかして結構開発してる?」
 何か言われてる。でもわからない。頭の中が真っ白で。
 見られてる。男子の目。こっちを見てる。そのたびにお腹の中が疼く。疼いたところをかき回されて、また私は嬌声をあげる。
「ぁあァァッ! あッ! ぁあぁんッ! あ、ぁ、ぁ、あぁぁあッッ!」
 震えがどんどん酷くなる。怖いからだと思ってた震え。でもなんだかおかしい。
 なんだか……震えれば震えるほどに、気持ちいい!
「おやおや。これは失敗だったかな。たくさんの男に見せることで罰を与えてやろうと思ったのに、これじゃあただのご褒美だ」
「ぁふ……ぁんっ! あっぁ、ぁあぁん! あぁ、あぁん! あんっ!」
「まあいいか。僕もなんだか楽しくなってきたし」
「あぁあんっ! ぁあ、ぁ、ぁああんっ!」
 わからない。もう何が何だかわからない。
 自分で自分がわからない。見られて恥ずかしい。こんなヤツに触られて屈辱だ。なのに気持ちいい。身体が私の言うことを聞かない。
「さて、じゃあクライマックスと行こうか」
「――――ッッ!?」
 私の中で、指が暴れ出す。
 その激しい動きについていけない。真っ白だった頭に今度は火花が散った。気持ち良さはどんどん高まって高まって止まらない。
 そして、私は、
「ぁ、ぁ、――あああァァアアァアアァァァッッ!!」
 ――私は、大嫌いな男の指でイかされた。

「ま、今日のところはこのぐらいにしておいてあげよう。本当はマワしても良かったんだけど、それはまた今度ってことで」
「…………」
 アイツが、何か言ってる。
 でも耳に入ってこない。まだなんか頭がボーッとしてて、うまく回らない。
「にしても良かったじゃないか。君も気持ち良くなれただろ? 罰を与えるつもりが気持ち良くなれたんだから、僕に感謝してほしいぐらいだね」
 知らない。罰ってなんだろう。わからない。
 それより寒い。私はまだ裸のままみたいだ。服を着ないと……あれ? 服がない。
 私の服は、どこ?
「探し物はこれかな?」
 顔を上げると、そこには私の服を掲げたアイツがいた。
 ああ、良かった。私の服だ。返して、それは私のだから。
 ふらふらと立ち上がって腕を伸ばす。だけどそいつは、ひょいっと服を持つ手を引っ込めた。
 何もない空を掴んでしまった私。そんな私をいたぶるような目つきで、そいつは笑った。
 笑って、窓へ近付き、窓を開ける。
 瞬間、アイツが何をしようとしているのかを私は悟った。
「待っ――!」
 静止の声は、間に合わなかった。
 私の服は、私の目の前で窓から投げ捨てられた。ブラウスも、スカートも、下着も。
 私は慌てて駆け寄って窓を見下ろした。見えたのは、真下に散らばっている私の服。ここは4階だ。あそこまで行くのに、いったいどれだけの人に私の姿を見られなきゃいけないか……。
「じゃ、僕たちはお先に帰らせてもらうよ。また明日。元気でね?」
 白々しい挨拶をして、そいつは本当に帰っていった。他の男子もそいつに付き従うのを見て、最初からぜんぶアイツの手の平の上だったんだってことにようやく気付かされた。
 そうしてあとに残されたのは、生まれたままの姿の私だけ。
 ハッと思いついて、後ろのロッカーを覗きこむ。確かそこにジャージを入れていたはず……でも中身は空っぽだった。
 まさかと思って、もう一度窓から下を見下ろした。アイツがちょうど真下を通ったところだった。その手には、よく見覚えのあるジャージが握られている。そいつはそのジャージを、私の制服と同じところに置く。
 置いて、顔を上げたそいつは、笑っていた。
 その顔を見て、私は思った。
 アイツはもう、人間じゃない。
 アイツは、悪魔だ……。

2015年5月5日火曜日

UFOに攫われたらモテ男になった その1

「うにゃうにゃにゃ、にゃ~にゃにゃ、うにゃっ」
 イカが喋っている。イカが猫語で喋っている。
「うの、うののん、うののんのん? うの~ん」
 タコがウノを連呼する。カードも持ってないのに、ただただウノウノ連呼する。
「うにゃ~にゃ、にゃにゃにゃにゃっ」
「うのん? うのうのの、のの~?」
 人の腕ぐらいありそうな触手をうねうねさせて、人と変わらないサイズの身体をゆらゆらさせて、イカとタコが喚き続ける。
 俺は、ベッドのようなものに寝かされていた。ジェルのような謎の物質でできたベッドは、俺ん家の煎餅布団よりも100倍寝心地がいい。
 天井は真っ白。壁も真っ白。ただし右側だけ一面の宇宙だった。真ん中にぽっかりと浮かぶ青い星は、どう見ても地球にしか見えない。
「…………」
 俺は試しに腕を動かそうとしてみた。動かない。ベッドのジェルが、俺の手足を柔らかく拘束していた。感触は柔らかいのに、外せそうな気がしない。
「にゃ~、にゃにゃにゃ~、にゃにゃにゃんにゃんっ♪」
「うのの、の、の、ののの~ん、のんのんうののの~ん」
 イカとタコはテンションを上げながら、動けない俺にうねねんと近づいてきた。その触手の先には、高速で回転する謎の道具が……ってちょっと待って。なんだその見るからに危ないドリルは。
「あの、すんません。ちょっと待ってもらえない? 大丈夫、話せばわかるよ。わかるからここは穏便に話し合いを……」
 ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり
「あの、聞いてる? ねえ。ねえってば」
「にゃにゃにゃ~ん」
「うののの~ん」
 謎の凶器が近づいてくる。もがいてもジェルベッドからは逃げられない。さっきまでは滑稽に見えていたイカとタコが、ホラー映画の人喰いゾンビよりも恐ろしく見えてくる。
 あ、わかった。これって……
「駄目なパターンのやつやん……」
 ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり


「――ハッ!」
 目覚めるとそこは、見慣れた自分の家だった。
 背中に感じるのは、敷く意味があるのかどうかさえ疑問に感じるほどの薄っぺらい敷布団。天井に見えるのは、チカチカと限界を訴える円形蛍光灯新古品150円。
「…………夢オチ」
 安心を通り越して、なんか挫ける。20代も半ばになってあんな夢を見てしまうとは……。思い返してみても、ギャグなのかホラーなのかよくわからないシュールな夢だった。
「ふわあ~」
 何にしても、夢で良かった。まあ、UFOに攫われるとか人間サイズの軟体動物とか、どう考えても夢以外には有り得ないけど。
「これが小説だったら、このあと超展開が起こって、『夢じゃなかったのかよ!』とかなるんだろうな……」
 独り言を言いながら、俺は洗面所に立った。
 鏡を見る。巨乳の美少女が映ることを期待したが、もちろんそんな超展開があるはずもなく、嫌になるほど見慣れたブ男の顔が映っていた。
 開いていても眠そうな目。閉めていても締まりのない唇。整えてもすぐに伸びるヒゲ。それぞれのパーツが一体となって、完全なるブ男を形成していた。鏡の下に「ザ・ブ男」とタイトルをつけれそうなぐらいだ。気に入らない。
 特に気に入らないのは、このハナだ。もっとスマートな、大人しいハナにはならないものだろうか。どうしてこんなショッキングピンクのけばけばしい派手なハナが……
「ん? ハナ?」
 どうしてこんなハナが……。
 どうしてこんな花が、俺の頭に咲いているんだろう?
「…………」
 くいっ くいっ
 抜けない。
 ぐしゃ
 ……………ぴょこんっ!
 潰しても復活。
「…………」
 少し不思議な夢のあとに迎えた、いつもと変わらない気だるい朝。
 いつも通り鏡に映るブ男の頭に生えているのは、いつも通りじゃない一輪の花。
 なんだろう、これは。
 とりあえず、夢じゃなかったのかよ!と叫んどいたほうがいいんだろうか。


 時は遡って、半日ほど前のこと。
「仕事探しですね。どういった職種をご希望ですか?」
「君の隣に永久就職を」
「出口はあちらになります」
「いやすまない、性急だったね。こういうのはちゃんとした手順を踏むものだとわかっているんだが、君があまりにも美しく光り輝いていたので、つい歯止めが利かなくなってしまったよ。ところで性急って、なんだかイヤらしい漢字だと思わないかい? 性が急だなんて。ちなみに僕の精は……」
「通報しました」
 俺は、身体も頭もガッチガチのゴリラガードマンに職安を追い出されて、暇を持て余していた。
 夜のバイトまではまだ時間がある。だが遊ぶには金がない。仕方なく街をぶらぶらしていると、目の前をふらふらとおさげの女の子が横切った。酔っ払いでもないのに、あっちへふらふらこっちへふらふら。間違いない。ザ・迷子だ。
 心優しい俺は、迷子ちゃんに声をかけてあげることにした。
「やあやあ、そこの美しい子猫ちゃん、どうしたんだい? こんなところをそんな風に歩いていると、悪い大人に目をつけられて、いけない仕事をさせられてしまうよ。いたいけな美少女がいけない仕事をさせられるなんて、それはなかなかそそられるものがあるけど、いやむしろ是非見てみたいというか、エロエロな服を無理やり着せられて涙目になりながらご奉仕とか考えただけで相棒が元気になっちゃいそうなんだけど、兎にも角にもここは危ない。私が道案内してあげるから、ついておいで」
「き……」
「き?」
「きゃああああああああああああああああ!!」
 迷子ちゃん、ダッシュ。よくわかんないけど俺もとりあえずダッシュ。
「どうしたんだい可愛い子ちゃん! いったい何が……」
「きゃあああ! 変態ぃ! 誰かあ!」
「なに変態!? よし俺に任せろ、そんな奴はこの正義の鉄拳で」どむっ
 へ……?
 正義の鉄拳が、俺の腹に……。
「へぶらっ!」
 俺吹っ飛ぶ。痛みに悶えつつ殴った相手を確認。長い茶髪に、長ラン、バット、鋭い眼光。一目でわかる、ヤバイ女の子だった。
「ったくよぉ、オメエみてえなヤツがいるからよお、いつまでたってもここの治安が良くならねんだよなあ」
 治安を悪くしてそうな人に治安について説かれている。
 迷子ちゃんの姿はもう見えない。どうやらそのまま走っていってしまったようだ。残念。
「オルァ!!」
「ぐひゃ!」
「ドルァ!!」
「ゆびゅぼろ!」
 蹴られる。悶える。蹴られる。悶える。そんな中で、俺はあることに気づいた。
「きめえ……」
 ヤンキーちゃんが蹴るのをやめた。俺から距離を取る。
「なんでオメエ、蹴られて笑ってんだ? 変態か……?」
「え? 笑ってなんか……ぐひゅっ」
 あ、笑ってた。いやいやこれは別にMとかじゃなくてですね。
「いやだって君……その格好でウサギのキャラものぱんつって、まさかのギャップ萌」蹴られた。


「遅いっ! 何してたのよ!」
「クールなお姉さんに邪険にされたり、迷子の女の子と一緒に走ったり、ヤンキーっ娘に蹴られたりしてた」
「なるほど、呑気に遊んでいたというわけね。交代の時間はとっくに過ぎてるのに」
 おかしい。なんで今の説明で遊んでたという解釈になるんだろう。俺はエプロンをつけてレジに立った。
 今日も店内はガラガラ。変わって向かいのコンビニはそれなりの人入り。店長のやる気の差を如実に表している。
「来なくても問題なかったと思うんだが……」
「そういう問題じゃないわ、仕事なんだから。ほら、早く掃除しなさい」
 言葉と共に渡されたモップ。このコンビニで一番やる気があるのはコイツに違いない。いっそのこと店長になればいいのに。
「もしそうなったら、とりあえずアナタはクビね」
「幼なじみをクビにするとか、お前には人の血が通っていないのか」
「遅刻ばかりの上にロクに働かないアナタを雇っている店長が優しすぎるのよ」
 いやそれは店長も働かないから……と言いかけてやめる。なぜかこの幼なじみは、店長のことをやたらと尊敬している。
「あー、恋人ほしいなあ」
 モップを走らせつつ、ぼやいた。
「その顔では無理ね」
 レジから幼なじみの辛辣な一言。言い返せないところが辛い。
「いっそのことお前が恋人になってくれよ」
「嫌よ。アナタ絶対浮気するから」
「一夫多妻とか駄目か?」
「殺すわ。そんな夫」
 融通が利かないヤツだ。まったく。
「あー、もー! やっぱ恋人とかどうでもいいからとにかくヤリてー!」
「そういうこと言うのやめてくれないかしら?」
「いいだろ、客もいねえし」
「私が嫌なのよ」
「何ウブなこと言ってんだよ、処女でもねえ癖に」
「…………」
 ん? 沈黙?
「処女じゃない、ですよね……?」
「黙りなさい。喋ったら殺すわよ」


 ここまではいつも通りだった。いつも通りじゃなかったのは、バイトが終わった帰り道だ。
 夜道を一人で歩いていると、途端に辺りが明るくなった。驚いて上を見ると、そこにはザ・UFOがあった。
 はー、こんなベタな展開あるんだなあと感心している内に、俺の身体は浮き上がって、UFOに吸い込まれていった。


「うーん……」
 昨日の出来事を反芻してみても、やっぱりわからない。どうして俺の頭の上に花が咲いているんだろう。これでは外を出歩けない。帽子をかぶればセーフか?
 ああ、案外アリかもしれない。そうだ帽子をかぶればナンパもできる。何も困らないじゃないか。ナンパができるならオールオッケー。よし、悩んでる時間がもったいないし、帽子をかぶって街へ繰り出そう。えーっと帽子はどこに……
「お邪魔します」
 玄関の扉が開いた。幼なじみがそこにいた。
 コイツが合鍵を使って無断侵入してくるのはいつものこと。だが俺の頭には、いつもはないものが一輪あって……。あ、しまった。なんて言い訳しよう。
「アナタ、今起きたの?」
「ほえ……?」
「またどうせエッチなアニメでも見て夜更かししてたんでしょう。まったく、前の仕事やめてからたるみ過ぎよ」
「…………?」
「なにぼーっとしてるのよ。どうせ朝ご飯もまだなんでしょう? 作ってあげるから、アナタは早くその寝癖なおしなさい」
「まさかお前、これが寝癖に見えるのか?」
「ニューヘアースタイルとでも言いたいの? ぐだぐだ言ってないで、ほら、早く」
「いや待て待て」
 俺は立ち上がって、幼なじみの手首を掴んだ。
「……なによ?」
「…………」
 幼なじみの手を俺の頭の上に置く。花が押しつぶされた感触がある。
「その歳になってなでなでしてほしいとか、気持ち悪いんだけど」
「他に言うことあるやん?」
「なによ?」
「俺の頭に何かついてない?」
「…………」
 さわさわさわさわ
「なにも?」
「…………」
「とりあえず、顔洗ってきたら?」
 幼なじみが、冷蔵庫から出した食材で料理を始める。
 俺は洗面所の鏡をもう一度見た。頭にお花が咲いたマヌケな男が、こっちを見返していた。
「…………ま、いっか」
 とりあえず、顔を洗った。


 思い切って帽子をかぶらずに外出したことを5分で後悔した。すれ違う人間のほとんどが、俺を見ていた。老若男女問わず、チラ見、ガン見、二度見三度見。俺を見ない人間のほうが珍しかった。俺はすぐに頭の花を手で隠したが、大きすぎて隠しきれない。
「なに頭押さえてるの? 恥ずかしいからやめなさい」
「取るともっと恥ずかしいことになるんだが」
「今さら寝癖のひどさを自覚したの? だから直しておきなさいって言ったのに」
「そうじゃなくて……」
 いや、もうこの際吹っ切れるか。どうせ隠し切れないんだし。そうだ確かに隠してるほうが恥ずかしい。いくぞ、両手、おーぷん!
 おお視線が五割増し。その辺のアイドルでもこんなには注目されないんでないの。あ、写メ撮られてる。ピースしたらキャーキャー言われた。モテる男は辛いゼ。
「なにしてるのよ」
「ちょっとファンサービスを」
「ふざけたことやってないで、早く行くわよ。私も暇ではないの」
 ならなんでついてきたん? という一言をぐっと呑み込む。今日のコイツは何だか機嫌が悪いから、下手なことは言わないほうがいい。
「ん? あの子……」
 そこで、見覚えのあるおさげ髪が目に付いた。
「ちょっと、どこに行くのよ」
 幼なじみの静止を振り切って、俺はそのおさげ髪のほうへ。
「やあ、また迷子かい?」
 気さくに声をかける。振り返ったその顔は、見間違えようもなく昨日の迷子ちゃんだった。
「あ、あなたは……」
 またぞろ走り出すのかと思ったら、そんなことはなかった。ただ、とても居心地悪そうにもじもじしている。
「いえ、迷子、というわけではなくて……その……」
 ちらちらと俺の顔を見てはすぐに伏せる。それを繰り返す仕草はまるで恋する女の子。出会って間もない女の子を恋に落とすなんて、俺も罪な男だゼ。ふっ――。
「あっ、そうだ! き、きのうは、突然逃げたりしてすみませんでしたっ!」
 女の子、大きくお辞儀。おさげが跳ねる。
「それは全然気にしてないんだけど。昨日はいったい何から逃げていたんだい?」
「それは……その……」
「アナタからに決まってるでしょう?」
 追いついた幼なじみ。初撃から容赦ナシ。
「またお前は適当なことを……。なんでこの子が俺から逃げないといけないんだ?」
「またどうせスケベなこと言ったんでしょ。ちょっとは自覚しなさい。自覚して舌噛んで死ねばいいのに」
「死ねとか冗談でも言うな。それにもしそうだとして、今はこう言ってくれてるんだから問題ないだろうが」
「相手が許したからいいですって? それは間違っても加害者が口にすべき言葉ではないわね」
「あ、あの!」
 迷子ちゃん、挙手。可愛いけどねー、ここは学校じゃないから手を挙げなくてもいいんだよー。
「なんだい?」
「あ、あのですね! ほんとうに気にしてませんからっ! だから、あの、許してくださいごめんなさい!」
 許したいのか許してほしいのかわからないけど、なんしか許す! つむじが綺麗なおつむをなでなでしてあげた。
「ほわ……! あ、あぅ……」
 なでなでされて喜ぶのは小さい子供だけかと思ってたけど、案外そうでもないらしい。前に幼なじみをなでなでしたときはバチギレされたものだが。
「あ、あの……恥ずかしいです……」
 言われてみて気づいたが、天下の往来でなでなでは確かに恥ずかしい。あ、違うか。もっと恥ずかしいのは、俺の頭か。すっかり意識の外だったけど、頭に花が咲いた男に声をかけられて挙句になでなでまでされたらそりゃあ恥ずかしい。道案内してあげようかと思ったが、今日はやめておこう。
「それじゃ、僕は用事があるから、またね」
「あ、はい! ありがとうございました!」
 何のお礼かはさっぱりだが、とりあえずおさげちゃんとはさよならして、元のコースへ戻る。
「なんか気に食わないわ……」
 隣の幼なじみが、なんか怖いことを呟いてる。
「おいおい、中学生相手に嫉妬なんて見苦しいぞ」
「はあ? 誰が嫉妬してるのよ? それにあの子は高校生よ。制服でわかるでしょうが」
「残念ながら俺は制服マニアじゃないからわからない。だがお前がそう言うなら、もう少し守備範囲を拡げてもいいかな」
「何の話よ」
「いや、なんでもない。つまらない話さ」
「キザったらしく髪を掻きあげないで。意味わからない上に、気持ち悪くて吐きそうになるから」
「だけどあそこにいる女の子たちは、そんな俺を見てキャーキャー言ってるゼ?」
「髪を掻きあげる豚の姿が珍しかったのね、きっと」
「でもマジで、なんでキャーキャー言ってんだろうな」
「喋る豚の姿が珍しかったのね、きっと」
「君のそういうところ、嫌いじゃないゼ」
「あらありがとう。私はあなたのこと、一切合切ぜんぶ嫌いよ」
 安定の毒舌。ああ、愛を感じる……。
「おっと」
 会話に夢中で、向かいから歩いてきた人とぶつかってしまった。
「悪いな。不注意で……お」
「いや、あたいこそ……あ」
 目が合って、固まった。ぶつかったのは、昨日たっぷりと足蹴サービスをくれたヤンキーちゃんだった。
「オメエは……」
「やあやあ、二日続けて会えるなんて光栄だねもしかすると君と僕は運命の赤い糸で繋がっているのかもしれないね会えて嬉しいよ美しい人。ところで、今日もキャラものパンツ履いてるの?」
 どぱーん!!
 俺の頭が二つの足でサンドイッチ。片方の足はヤンキーちゃん。もう片方は幼なじみ。君たち、知り合いでもないのに息が合いすぎではないかね?
 あ、あとちなみに、今日はクマさんでした。眼福。
「なに出会い頭の女の子にセクハラかましてるのよ。あなたいつか捕まるわよ? と言うか捕まりなさい日本の平和のために」
「捕まえに来るのがミニスカ婦警さんなら考えてもいいな」
「変態を即死刑にできる法律、早くできないかしら」
「お、あ、お……」
 ヤンキーちゃんの口が金魚してるのを見て、俺は放置してしまってたことに気がついた。
「あ、ゴメンね。別に君のこと無視してたわけではないんだよ? ただコイツを無視するとあとあと面倒でね。さ、ではもう一度聞こうか。今日の君のぱんつは……あ、さっき見えたんだった。可愛いクマさんだね最高だよ!」
「オメエはあたいの下着にしか興味ねえのかよ!」
 ん?
 その言葉に、俺はどこか違和感を覚えた。
 だけど俺の口はそんな違和感知らんぷり。本能のまま、煩悩のままに喋りだす。
「いや勿論ぱんつだけじゃなくておっぱいとか美脚とか○○とか○○とかおへそとか、最早色々興味津々で日夜君の研究に没頭したいぐらいだけど、目下のところ気になるのはやはりぱんつで何せ君のようなあからさまなギャップ萌えは初めて見たから、是非そのギャップを感じたい主にぱんつを見ることで感じ取りたい、ただそれだけなんだよ!」
 最後まで言い切ったところでちらっと幼なじみを見ると、携帯片手に他人の振りを決め込んでいた。いいよ幼なじみ。空気読めてるよ幼なじみ。さすが幼なじみ。
「べ、別にあたいは、好きでキャラもの穿いてるわけじゃないんだからな!」
 好きじゃないのに穿いてる事情ってどんなの?
 俺、なけなしの頭で妄想、もとい、想像してみる。
 ――ふははは、お前の大事な妹は預かったぞ!
 ――おねえちゃーん、たすけてー!
 ――クソテメー! 妹を放しやがれ!
 ――ふははは、どうしても返して欲しくば、これを穿くのだ! ファサ…
 ――な、これは……クマさんぱんつ!? こんなの穿けるわけねえだろ!
 ――大事な妹ちゃんが、どうなってもいいのかな? コチョコチョコチョコチョ
 ――やぁん! やめ、あ、あぁん! やめて! おね、おねえちゃーん!
 ――ちくしょー……。わかった、穿く! 穿くから、もう妹には手を出さないでくれ!
「ぐふっ、ぐふふっ」
「なに笑ってんだよ。気持ちワリいなあ……」
 ヤンキーちゃんドン引き。やめて、そんな目で見られたら興奮しちゃう。
「おっと、こうしてる場合じゃねえ。用事があったんだ。さっきはぶつかっちまって悪かったな」
「いやいや、君のような美女となら何回でも何百回でも喜んでぶつからせてもらうよ。でもできれば今度は、スカートをはいてパンチラサービスもおまけして欲しいかな」
「あんたってヤツは……。ま、いいや。またなっ」
 苦笑いしながら走り去っていくヤンキーちゃん。なんか男前だ。彼女が男前なら俺は女前になろう。そしてチグハグカップルの完成。アブノーマルな関係って興奮するなあ、ぐふふふっ、ぐふっ。
「あなた、彼女と前から知り合いだったの?」
 携帯から顔を上げた幼なじみ。他人の振りをしてても、話は聞いてたらしい。
「ああ。前世で永遠の愛を誓い合った仲だ。残念なことに大魔王シャルウィングによって、2人の愛は切り裂かれてしまったが……」
「だとするとおかしいわね……。あの子のあの態度、まるでアナタに心を許し切ってるみたいだった。セクハラに怒ってたのも、本気じゃなさそうだったし」
「思いっきり顔面蹴られたんですが。まあそんなことより、大魔王シャルウィングに切り裂かれた2人がそのあとどうなったかというと……」
「そういえばその前の女の子も妙だったのよね。アナタに撫でられたとき、顔真っ赤にしたりして、あれじゃあまるでアナタに恋してるみたいだったわ」
「まるでじゃなくて、恋してるんじゃないか? ふっ……。会って一日で虜にしてしまうなんて、俺も罪な男だぜ……」
「…………」
 考えこんでる様子の幼なじみ。きっと俺があまりにもモテるから、嫉妬しているに違いない。ふっ……。俺も罪な(ry
「……考えても仕方ないわね。行きましょうか」

「やあ、一日振りだね。また来たよ」
「いらっしゃいませ。ご用件を承ります」
「今日はね、君のハートを奪いにきたんだ」
「申し訳ありませんが、そちらはお渡しできません」
「なるほど。奪うまでもなく、君の心は既に僕の物ということだね」
「その通りです」
「…………」
 んん?
「えーっと……」
「他に何かご用件はございますか?」
「あー……、特に、ないかな」
「ない訳ないでしょう」
 お、幼なじみ。いいところで話に入ってきてくれた。
「アナタ、いつもさっきみたいなこと言ってるの?」
「いやあ、まあね」
「なんで照れてるのか理解できないけど……なるほどね。マメに職安通ってる癖になかなか次の仕事に就かないと思ったら、こういうことか」
 呆れたとでも言いたげな溜息をついたあと、カウンターに顔を向けて、いつもの暴言が嘘のようにしおらしい口調で話し出す。
「すみません、こんな変な男に付き合わせてしまって……。あの、この人、新しい仕事を探してるんですけど……」
「お二人はどういったご関係ですか?」
「ふぇ?」
 幼なじみが変な声を出した。なんかむちゃくちゃ可愛い。
「お二人はどういったご関係ですか?」
 文言もイントネーションも一切変えずに繰り返す受付ちゃん。対して幼なじみは、目を2、3回瞬かせて……
「他人以上、友達未満、みたいな?」
「友達未満って……そこは顔を赤らめながら『べ、別にそういう関係じゃなくて、た、ただの友達よっ!』とか言うところじゃん?」
「あんたがそう言うなら、ただの友達ってことにしてあげてもいいけど」
「手厳しいね。まあそんな君だからこそ、僕は好きになったのかもね」
「死ね」
「ということでしたら、少なくともお二人は恋人やご夫婦といった間柄ではないということですね?」
 どんな会話しても表情一つ変えない受付ちゃん。素敵だ。
「まあそうですけど……それが何か?」
 訝しむ様子の幼なじみ。確かに職安でこんなこと訊かれるなんて妙だ。恋人の有無が関係ある仕事? 受付ちゃんの旦那さんぐらいしか思いつかないんだけど。あとは受付ちゃんの恋人とか。
「失礼しました。私的な質問をしてしまいました」
「私的って……」
「この際ですので、もう一つ私的な質問をしてもよろしいでしょうか?」
 この際ってどのサイ? 
「昨日あなたが希望しておられた職業、今でしたら一人分だけ席が空いております」
「昨日希望した職業? えーっと、昨日って言えば……」

――仕事探しですね。どういった職種をご希望ですか?
――君の隣に永久就職を。

「…………」
「…………」
「そうか。ついに君もその気になってくれたんだね嬉しいよでは早速挙式の準備といこう。洋風と和風どちらがいいかな? 僕は和風がいいな君のウェディングドレス姿を想像しただけでその清らかさに僕の欲棒がギネス記録を突破しそうだよ。おっとその前にご両親にご挨拶かな? 任せてくれどんな人だろうときっと気に入られてみせるよ。僕の君への愛はマリアナ海溝より深いこの愛を前に了承しない親はいないさ。と、その前にその前に今日は君と僕との記念日だね今夜は空いてる? 今からじゃ厳しいかもしれないが何とかしてホテルの予約を取ろうフフフもちろんエッチじゃないよレストランだよ? エッチなホテルは食事の後でいいかいもちろん無理強いはしないけどね」
「もちろんOKよ。あなた」
「え……」
「…………」
「戦略的撤退!」
「ちょっ! 待ちなさいよ!」
「連絡ちょうだいね、あなた」


「ど、どうなってるんだ……?」
「それはこっちのセリフよ。なによいきなり飛び出して」
「いやだっておかしいじゃん? あんな変態発言してるのに、なんで普通にOKしてくるのあの子は?」
「変態発言っていう自覚はあったのね」
「しかもあなたて。仄かにヤンデレのかほりがしたで候」
「私もアナタのことアナタって呼ぶけど」
「お前のとはなんか違った。あれは危ない」
「そう、ヘタレなのね」
「なんでそーなるの?」
「だってそうでしょう? うまくやればあなたのしたいことができたかもしれないのに」
「セックスできたって、そのあと束縛されたり刺されたりじゃ意味がないっての」
「ちょっと……大きい声でそんなこと言わないで……。人がいっぱいいるんだから」
 顔を赤らめる幼なじみかわいいよマジ天使だよ。この顔を見る為だけにセックスって叫びたいよ。
「叫んだ瞬間、アナタは赤の他人よ。永久にね」
「その蔑むような目もいい~」
「私がアナタのことを刺したくなってきたわ」
「君になら刺されてもいい」
「ねえ、そこのキミ」
「はい?」
 声に振り変えると、そこには色々際どいお姉さんがいた。どこが際どいって、とりあえず大きく開いた胸元が際どい。あとスリットと、透け具合と、とにかく色々際どい。
「えーっと……何か?」
 多分――というか絶対、初対面だ。こんないろっぺなお姉さん、忘れられるはずがない。
「キミ、さっきセックス、とか言ってたよね」
「へ? あ、ま、まあ、その……すみません」
「ううん、謝らなくてもいいのよ? 怒ってるわけじゃないんだから。怒る理由もないしね?」
「はあ……」
 じゃあ何の用事だろうか。
 ハッ! まさかこのお姉さん、俺をエッチに誘うために声をかけてきたのか! なるほど、一目惚れした男がセックスとか言ってるのを聞いて、これはチャンス身体で迫ろうってワケか。いやあ困ったなあ身体で始まる関係か。まあ俺もそういうの嫌いじゃないけど、むしろオールオッケーだけど、ウェルカムカウボーイだけど。
「それで、ね? ちょっと提案なんだけど」
「わかりました。据え膳食わぬは男の恥。今夜のお相手、務めさせていただきます!」
「なにバカ言ってんのよ」
「いって! い、今お前、本気で殴ったな! 幼なじみにも殴られたことないのに!」
「私がその幼なじみでしょうが。それにアナタの行き過ぎた言動はちゃんと止めてあげないと、本当に警察に連れてかれるわよ」
「そっか、ありがとな。そんなに心配してくれて」
 もう一回殴られた。なんでだ。
「ねえ、キミ」
「あ、はい、ごめんなさい話の途中で。なんでしたっけ?」
「その、ごめんね? よく考えたら彼女さんの前でするような話じゃなかったから……」
「え? 彼女? あー、彼女。そうなんスよー、もうコイツったら俺が他の女と話してるとすーぐヤキモチ妬いちゃって」
 殴られた。5発。ヤバイ。殴られすぎてそろそろ新しい扉が開きそうだ。
「かのじょジャナイデス……。タダノおさななじみデス……」
「え? そうなの? なーんだ。彼女じゃなかったんだー」
「ハイ、ソウデス……」
「良かったー。じゃあさ、キミ」

「お姉さんと、エッチしない?」

「…………」
 聞き間違い、だろうか。
 目の前の綺麗なお姉さんから、エッチに誘われたような気がしたんだが。妄想じゃなく、現実に。
 いや、妄想だ。きっと妄想だ。そうじゃなかったら夢だ。その証拠に……
「? 何かしら?」
「あれ? 触れる……」
 その証拠に触れないし……って思いながら手を伸ばしてみたら、普通に触れた。しっとりとした頬の感触。夢にしてはリアルだ。
「…………」
 念の為、むき出しの二の腕にも触ってみた。細く、それでいて柔らかい、女性らしい肉付き。暑さのせいで少しだけべた付く汗の感じが、妙な色っぽさを演出していた。
「…………」
 更に念の為に、堂々とそびえ立つ双子山に手を伸ばそうとして――背後から殺気を感じてやめた。
「あら? もういいの?」
「はい。どうやら現実らしいことがわかったので」
「もしかして、こういうのって慣れてない?」
「そうですね、風俗のお誘いなら何度か……。あ、もしかしてお姉さん」
「風俗とかじゃないわよ。お金なんか取らない。ただキミのことが一目見て気に入っちゃって、しかも『セックス』なんて言ってるの聞いちゃったから、これはもしかして飢えてるのかなあ、だとしたらチャンスだなあって思って、声かけてみたの」
「そ、そうですか……」
 どうしよう。いつの間にか俺は超能力に目覚めてしまったようだ。その名も妄想具現化能力。
「何を悩んでるの? エッチ、したくないの?」
「いえ、ちょっと話がうますぎる気がして……」
「もう、疑い深いんだから」
 そうだ。もっと疑うべきだ。こんなうまい話があるわけがない。
 リアルでこういう状況に遭遇したことがないとは言え、漫画やアニメ、小説なんかではこういうシーンを見たことがある。そういうときのオチは……。
「お姉さん」
「なに?」
「お姉さんって、本当に『お姉さん』?」
「……それはつまり、オカマじゃないかって疑ってるのかしら?」
 無言で頷く。お姉さんは、少し傷ついたというように唇を尖らせた。
「まあ、こんな風に誘ってる時点でそう思われても仕方ないか……。わかったわ。ちょっとこっち来て」
「ついてったら怖いお兄さんが待ち受けてたりは……」
「そんな変なところにはいかないわよ。ちょっと場所を変えるだけ。それにもしもの時は、そっちの彼女が警察を呼んだらいいじゃない?」
 俺は幼なじみを見た。さっきから黙り込んでいると思ったら、また携帯を弄っていた。すごい、この事態に全然動じてない。いや、動じて、ちょっとは。
「……わかりました」
 頷いて、俺はお姉さんについていった。幼なじみもついてきた。どうやら話はちゃんと聞いてたみたいだ。

 ほんの2、3分ほど歩いたところで、お姉さんは足を止めた。別に路地裏でも線路の下でもない、普通の道路だ。だけど人通りは少なくて、今は俺と幼なじみとお姉さんしかこの場にはいない。
「さて、と。じゃあ私が女だっていう証拠を見せてあげるね」
 そういうとお姉さんは、おもむろにスカートをたくし上げた。
 一瞬にして顕わになる、淡い桜色の下着。少し艶のあるその下着は彼女の下腹部にぴったりと密着し、その下の形を微かに浮かび上がらせていた。スカートは口元まで惜しみなくたくし上げられ、下着どころかその上のおへそまで見える。女性が着けた生の下着をここまではっきりと見たのは、生まれて初めてのことだった。
 軽く眩暈がした。
「ね? ちゃんと女でしょう?」
 痴態を晒しているはずの彼女は、しかしまるで恥じらう様子がない。嗜虐的な笑みすら浮かべていた。
「そうですね」
と、言おうとした。しかしうまく喋れなかった。マズイ、動揺してる。こんなことならもっとエロ本でイメトレしといたら良かった。あ、でもこれを言い訳にして幼なじみに「女に慣れる為に手伝ってくれ」とか言ったらエッチなことさせてくれるかもしれない。いやいや今まさにエッチなことになりそうなんだってば。
「もしこれでも納得できないって言うなら――」
 お姉さんが、スカートをたくし上げたまま近づいてくる。一歩歩く度に下着の形も変わって、エロ本では見られないその神秘的映像から、俺はもう目が離せなかった。
「触ってみる?」
「限界です」
 途端に世界が闇に包まれた――いや、これは目隠しだ。
 どうやら、幼なじみの手で目隠しされたらしい。
「ちょっと。邪魔しないで欲しいんだけど」
「うるさいです。むしろ今まで我慢して黙ってたことを感謝してください」
「はぁあ……。意地でも離れないって顔してたから、仕方なく一緒にさせてあげようかと思ったのにな」
「余計なお世話です。それに私、そんなこと思ってませんから」
「何言ってるんだか。バレてないとでも思ったの?」
「バレるも何も。私が思ってたのは、『早く消えろ淫乱女』ってことだけです」
「…………」
 何この空気。
 さっきまでとは違う意味でヤバイ。目隠しされてるせいで2人の表情は見えないけど、それが余計に怖い。
「な、なあ2人とも。そんなピリピリしないで、みんなで仲良くしようゼ! 大丈夫! 俺の愛は、2人分どころか世界中の女性ただし美女に限るを受け入れられるだけの余裕があるから!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「ごめんなさい……」
 怖いよ。せめて何か喋ってよ。
 依然俺は目隠しされたまま。背中には幼なじみのちっぱいが当たってるのに、それを味わう余裕も……いや、あるな。
 そうだ。こんなときこそ現実逃避だ。2人が睨み合ってるのか知らないけど、どうせ見えないしどうにもならない。なら俺にできることは、今限定のこの柔らかさを堪能することだけじゃないか!
 ああ、なんてちっぱい……。結構密着してるはずなのにちっぱい。だけど適度な柔らかさがちっぱい。呼吸する度にちっぱい。背中もっと擦りたいちっぱい。いっそ鷲掴みにしたいちっぱい。でもきっと掴めるほどもないちっぱい。でもそこがちっぱい。
「……やめたわ」
 ちっぱい?
「こうなったらもう雰囲気もないし……今度は、一人で歩いてる時に声をかけることにするわ」
 ちっぱい。ちっぱい。
「でも、一つだけ言わせてもらうけど……。私は別に淫乱なつもりはないし、今日彼を誘ったのも、誰でも良かったとかそんなんじゃないのよ」
「……この人のこと、前から知ってたんですか?」
「それはさっき言ったじゃない。今日初めて会って、一目惚れよ。なんかこう、ビビビッてきたの」
「そんなの……」
「信じられない? そうね、私もついさっきまで信じてなかった。人をそんな理由で好きになるなんてね。でも今は違う。確信を持って言えるわ。これは気の迷いなんかじゃない。明日になっても明後日になっても、一週間経っても一カ月経ったって、私は彼を求め続けるわ」
 「一年後は、さすがにわからないけどね」と冗談めかして彼女は言った。
「じゃあまたね」
 巨乳さんが離れていく足音がする。
 それからしばらくして俺の目隠しをしていた手は外され、ちっぱいも背中から離れていった。ああ、俺のちっぱい……。
 ちっぱいは、怒るでも悲しむでもない、複雑な表情をしていた。その表情は、どこか怯えているようにも見えた。
「アナタは……」
「ちっぱい?」
 あ。
「…………」
「あ、ご、ごめんちっぱい……あ」
「…………」
 今日一番のハイキックが、俺の顔面に決まった。



「ねえ、おかしいと思わない?」
「お前の胸か? いや、俺は全然……」
「反対側の顔も蹴ってほしいのかしら?」
「ごめんなさい許してください土下座します」
「土下座はしないで。というか土下座にかこつけて人のスカート覗こうとしないで」
 チッ、バレたか。椅子に座ってる今なら、下から見上げれば最高のアングルになると思ったのに。
「おかしいのはそんなことじゃなくて。今日一日アナタがあまりにもモテすぎてたってことよ」
「……モテすぎるのがおかしいって。それ、もしかしてさっきの仕返し?」
「そんなつもりはないわ。だって事実、アナタ昨日までは全然モテなかったじゃない?」
「それは、まあ……」
 言い返せないのが辛いにゃ。
「それが今日になったら突然モテだして、すれ違う女の子全員がアナタに熱い眼差しを送ってる……」
「え。あれって、そういうのだったの?」
「なんだと思ってたのよ」
「えーっと……」
 俺はテーブルに移る自分の影を見た。その頭の天辺には、大きなひまわりのような花が咲いている。
「お前さ」
「なに?」
「俺の頭の上に、何も見えない?」
「何かあるの?」
「花がある」
「鼻? 頭の上に?」
「いや、多分その鼻じゃなくて……」
「何も見えないけど?」
「そうか……」
 なんか、すごい困った顔してる……。見えないものが見えるって言ったらそりゃそうなるか。まあそんな顔も可愛いけど。
「その花が、今朝から頭についてるの? 理由はわかる?」
「理由……。うーん、心当たりが……」
「あるのね?」
「なくもない」
「話して」
「…………」
 あれを、話せと。あのイカとタコとの邂逅を。
 花が咲いてる発言でもこれなのに、そこへ加えてあんな話したら……うん、十中八九ふざけてると思われるな。
「ごめん、やっぱりこれは話せない」
「ダメ。話して」
「話せない」
「話しなさい」
「無理だってば」
「どうして?」
「どうしてもだよ」
 幼なじみは、少し考える素振りをしたあと、
「このままにしておきたいから、とか?」
 まるで見当違いのことを言った。
「私に話して、元に戻されたら困るものね」
「いや、違うけど」
「女の子にモテて嬉しいんでしょ? 変態」
「それは嬉しいけど」
「ほらやっぱり」
「いや、だけどこのままにしたいとかそういうのはないから、本当に」
「嘘つかなくてもいいわよ」
「嘘じゃねえよ」
「じゃあ私のことが信用できないのね?」
「そんなわけないだろ!」
「じゃあこのままでいたいんでしょ!」
 音を立てて、コップが倒れた。
 中のお茶がテーブルを伝って、床へ零れ落ちていく。
 ぽた、ぽた、ぽた。
「……私、帰る」
 幼なじみが立ち上がって、上着を持った。俺の後ろを通って、玄関のほうへ向かう。
 一度開いた扉が、音を立てて閉まる。それでも俺は椅子に座ったまま動かなかった。気持ち悪い暑さが俺の胸の中で渦巻いていた。
 水滴は、まだ落ち続けている。
 ぽた、ぽた、ぽた。



〈続きは現在執筆中です。〉

【ボイスドラマシナリオ】やめてお兄ちゃんっ! 第2弾

・ボイスドラマシナリオの没になったものです。
・第1弾の続きではなく、書き直したものです。ストーリー・構成などは完全に異なります。
・没シナリオですので、中途半端なところで終わります。続きを執筆する予定もありません。
・言うまでもないことですが、R18です。



;タイトルコール

(ドアの向こうから聞こえるくぐもった声)
お兄ちゃーん、起きてるー?

(くぐもった声)
お兄ちゃーん? お兄ちゃーん。

;間(少し)

(くぐもった声)
入るよー、お兄ちゃん。

おはよう……って、やっぱり寝てるー。もぉ、朝だよ、お兄ちゃん。

お兄ちゃん、お兄ちゃんったらぁ。

もー、起きてよお兄ちゃん。今日は用事があるから起こしてほしいって言ったの、お兄ちゃんじゃない。

お兄ちゃん、お兄ちゃあん。

こぉら! 顔かくしちゃダメだよ。こんな掛け布団なんて……えぇいっ!

よしよし。ほら、起きてよお兄……っ!?(息をのむ)

(恐る恐る)
お、お兄ちゃん……? あの、変なこと聞いてもいい?

なんかね、お兄ちゃんの、ズボンのところが、なんか、その……おっきくなってるような気がするんだけど……。

これって、もしかして、アレかな……? その、えーっと、男の人がエッチなこと考えたらなるっていう、あの……

お兄ちゃん? お兄ちゃん……え、寝てるの? じゃあこれって寝たままボ……ぁ、じゃなくてっ。寝たまま、なってるの?

え、それって……どんな夢見てるんだろ……? ひょっとして、エッチな夢? ちょ、ちょっと気になるかも……。(最後は声をひそめるように)

にしても……おっきいなぁ。男の人って、こんなにおっきくなるんだ……。

;間

;唾をのむ

ちょ、ちょっとだけ、触ってみてもいいかな……。

お兄ちゃん? 起きてる? ……うん、寝てるよね。寝てるんだったらバレないし、ちょっとぐらい――そう、つっつくぐらいだったら、いいよね……。

じゃあ……ちょっとだけ。

;間(少し)

わ……かたい……。これ、骨は入ってないんだよね?

こんなに固いんだ……。こんなの入ったら、アソコがやぶれちゃいそう……

っ! や、やだっ! わたしったら、何考えてるんだろ!

もう……。恥ずかしいなあ……。

;間

もうちょっと、触ってみてもいいかな……。

お兄ちゃんはまだ起きないし、もう一回つっついて……うぅん、今度は、ちょっと握ってみたりして……

あと一回、あと一回だけだから……

――(息を吸う)、えいっ!

ふぁっ、に、握っちゃった……お兄ちゃんの、おちんちん……。

やだ……! これ、熱いっ。それに……なんか、ピクピクしてる……!

形が……。すごい、こんな形してたんだ……。この先っぽのところ、確か亀頭……だったかな? 服の上からでも、段差ができてるのがわかる……。

ど、どうしよ……離さないといけないのに……。すごすぎて、離せないよ……。

ああっ……。

なんか、濡れてきちゃった……。

;間

ひとりエッチ、しちゃおっかな……。

でも、お兄ちゃんの部屋で、お兄ちゃんが寝てる横でなんて……。するならせめて、自分の部屋に帰ってからのほうが……。

あ、でも、そんなことしてて、もしお兄ちゃんが起きちゃったら、せっかくのチャンスがなくなっちゃう……。

じゃあやっぱり、ここでするしかない、かも……。

お、お兄ちゃん……? まだ起きない、よね? 起きないでね? お兄ちゃん。

よ、よし。やっちゃおう。大丈夫、お兄ちゃんがおきる前に終わらせたら、バレないんだから。

いくよ……。

;間

………………あッ!

す、すごい……! すごい敏感になってる……!

お兄ちゃんのおちんちん握ってると、こんなにすごくなるんだ……。

あぁ……! ぁん……! はぁん……!

やだ……! 割れ目の上から撫でるだけで、こんなに気持ちいいなんて……!

もぉ……すぐにでもイけそう……。

あっ……! あ……、ふぁ……! っ……! ぁん……!

っは…………、はぁ、ぁぁああ!!

はぁ……はぁ……はぁ……。

イっちゃった……。

こんなに早くイっちゃうなんて……。パンツ、濡れちゃった……。

お兄ちゃん……? こんなことしてても、まだ起きないの……?

っ……!(喘ぐ) わ、わたしも、まだイケそうだし……。

じゃあ、せっかくだから……

んしょっ、と。(体勢を変える)

ごめんねお兄ちゃん。ちょっとだけ、手、借りるね。あとでちゃんと綺麗にするから……。

それに、パンツの中には入れないから……。上から当てるだけだから……。

……っ、

ああ……! お兄ちゃんの手が……!

お兄ちゃんのごつごつした手が……わたしの、触ってる……!

すごい……すごいよ……。上からなのに、こんなに感じるなんて……!

お兄ちゃんの指を筋に当ててると、まるでお兄ちゃんにしてもらってるみたいな……

ぁんっ、どうしよう。腰が勝手に動いちゃう。すごい……! 気持ちいい……! あ……ん!

あ……手もいいけど、腕に擦りつけるのも気持ちいいかも……。わたしの太ももに、お兄ちゃんの腕があたって……。

ん……! やだ……また、イキそう……!

こんな朝から2回もイっちゃうなんて……でも、止められないよ……!

あ、…………あぁあッッ!!

;間(少し)

あっ……ふぅ……。
また、イっちゃった……。

こんなにすぐイっちゃうなんて、わたしの身体おかしいのかな……。もしお兄ちゃんが起きてたら、何て言われるんだろう……。

あ……お兄ちゃんの手、濡れちゃってる……。バレないからって、やりすぎちゃった……。

えーっと、ティッシュティッシュ……。あ、あった。

綺麗に拭いとかないと、バレちゃうもんね。よいしょ、よいしょ……

うーん、なんかまだベタベタしてるなあ。

水があったらいいんだけど……下から汲んでこよっかな? ううん、それよりも……。

;間

……れるっ(舐める)。

れるっ、れる、れる……はむ。くちゅ、ちゅぱ、ちゅー……、んはっ、ぁ……

どう、かな……? ちょっとは、マシ?

うん、いけそう。じゃあ、残りも……れろっ。

える、ちゅ、ちゅぱ、あむ、っは……あむ、ちゅ、じゅるっ……

ふぅ……終わった……。

さて、と……もうそろそろ終わりにしないと、さすがにお兄ちゃん起きちゃうよね。

よいしょっと(立ち上がる)。まだ、ちょっと物足りないけど……。仕方ないよね。明日からも起こしに来るって言えば、またチャンスもあるかもしれないし……。

よし、行こっと……ひゃうっ!?(腕を掴まれる)

痛っ……! え、な、ななななに? えっ!? お兄ちゃん!?

な、なんで!? 寝てたんじゃないの!? なんでわたしお兄ちゃんに押し倒されてるの!? え、も、もしかして、お兄ちゃん起きてたの!? 嘘! い、いつから!? まさか……最初から!? 嘘! 嘘嘘嘘!

じゃ、じゃあ……わたしが、おな……してたときも、お兄ちゃんの手に擦りつけてたときも、ペロペロしてたときも、ずっと、ずっと起きてたの……?

あ……あぁ……やだ……そんな……うそぉ……。

あっ、おに、お兄ちゃん……。その、ごめんなさい……。お兄ちゃんのおっきいおちんちん見てたらね、その、ムラムラしちゃって、つい……。嫌だったよね。汚いの触らして。ごめんね。ごめんね。

お願い、許して……なんでもするから……。お願い……。

え? な、なに? お兄ちゃん? ちょ、ちょっと、顔、近いよ……え? あむ……!(ディープキス)

んむ……! くちゅ……はむ……、んはぁ!

お、お兄ちゃん? な、なんでキスを……どういう意味? 怒ってるの? 怒ってないの?

え? なに? 耳を見たいの? いいけど……な、なんで?

お兄ちゃ……あッ! はぅぁ……! ま、まって、耳たぶは、はんぁ……! だめぇ……あんっ! ぁ……! はぅ……

んはぁ……は、ぁっ! やだ……えっちな音が……はぁんっ! やめてっ! 穴に舌入れないでぇ……ぃやん! ぁ……く……。

ふぁ……! い、いつの間に服が……あぁんっ! 脱がされ……あッ……!

ま、まってお兄ちゃんっ! おっぱい触るんだったら、もっとやさしく……あぁああッッ!!

だめだよ! そんな……耳とおっぱい一緒にされたら……はぁん! ……お、おかしくなっちゃうぅ!

だめぇ! またイっちゃうぅ!

あぁ! ああぁぁアアッ!!

はぁ……! はぁ……! あんッ! ちょ、ストップ! お兄ちゃあぁん! もうイった! もうイったよ! イったから……やぁんっ! や、やめてぇ! 少しだけ、休ましぇあぁん! おにいひゃぁんっ!

あ、だ、だめぇ! そ、そこは……! そっちに手いれちゃだめぇ! すっごく感じやすくなってるからぁ! パンツびしょびしょだし……ホントにダメだったら! お兄ちゃん! 汚いから……だめ……! ああっ!

ああ……嘘、嘘だよ……。お兄ちゃんがわたしの、クリトリスを……っ! はぁん……! あぁあん……!

やだぁ……音が……。すごいエッチな……くちゅ、くちゅって……

や、やめてお兄ちゃん……。そんなところ触っちゃ汚いよぉ……。あ、ぁあっ……! やめ……はぁんっ!

ら、らめ……力はいんないよ……。はぁ……ぁん……!

(ここからは少し舌足らず気味に)
あ……そこは、広げちゃだめぇ……そこからはだめだよ……ダメ、なのに……脚が、脚が勝手に開いちゃうよぉ……。

ちがうの、ダメなの……だめ……やぁんっ! はぁ……はぁ……ぁはぁんっ! くりくりしないでぇ……! 気持ち……じゃなくて、その、こしょばいからあぁん!

アッ……! そ、そこ! そこが…………ダメ……! だめ、だよ……! そこが、だめなところだから……そこ押したら気持ちよくなっちゃうからぁ! だから押しちゃだめぇ……!!

はぁっ……! あんッ! ……すごい、お兄ちゃんの指……! っ……! 指が、奥まで、入ってくるぅ……! はぁん! だめぇ、お兄ちゃはあん!

あんっ! あぁ! イく! イっちゃうよお兄ちゃん! ぁん! もう、我慢できない……っ! あぁんッ! 

あ……アァアアーーッ!! しゅごい! しゅごいよぉぉ! お兄ちゃんの指が、わたしの中で暴れてるぅ!

イっちゃうぅ!! 指でイっちゃうよぉ! あぁッッ! あはぁああっっ!

お兄ちゃああんっ!!

;間

……っ、はぁ……はぁ……はぁ……あんっ!(指を抜かれる) ……はぁ……はぁ……。

(息を切らせながら)
もう終わり……だよね……。お兄ちゃん……すごかった……。こんなの、初めてだよ……。人にしてもらうのが、こんなにすごいなんて……。まだ頭がぼーっとしてる……。

でも、どうして……? どうして、こんなことしたの?

え……? わたし? わたしがなんでもするって言ったから……?

た、たしかに言ったけど……。えっと……つまり、じゃあ、お兄ちゃん、したかったの? わたしと、こんなことを……?

で、でも、わたしたち兄妹だし……あ、でも、わたしも寝てるお兄ちゃんに……。

あ、ああ……! そ、そそそそうだった! わたし、お兄ちゃんが寝てるからって……!

ごめんなさいっ! わたし、その……ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいっ!

やだ、どうしよ……。わたし、なんてこと……あっ! 

服が……わたし、なんて格好で……あ、お、お兄ちゃん、ちょっと目つぶっててっ。

あ〜……どうしよう。お兄ちゃんにすごいところ見せちゃった……。パンツもぐしょぐしょになっちゃったし、シャワー浴び直さないと……ううん、それよりも……

ね、ねえ、お兄ちゃん……? その、お願いだから、お父さんとお母さんには、このこと内緒にしてて……。わたしのしたことがバレたら、すごい怒られちゃうよ。

え? ダメ、なの……? そんな……(半泣き)。

ぐすっ、お、お願い、言わないで……。もうしないから……それに、なんでも言うこと聞くよ……? いい子にするから、だから許して、お兄ちゃん……。

え……? していい? 何を?

もしかして……さっきの、エッチなこと? して、いいの? あ! ああ……じゃなくてっ!

で、でも、お父さんとお母さんには言うんでしょっ? え……言わない代わりに……?

;間

っ!(息をのむ)

ほ、本気なの……? だ、だってわたしたち、兄妹だよ? 

……え? ううん、する……するよ! だって、しないと、言うんでしょ? は、恥ずかしいけど……! 我慢、するもん! だからお願い、お父さんとお母さんには言わないで……。

で、でも……、

本当に、わたしでいいの? わたしなんて、その……まだ子供だし、胸も……そんなに大きくないのに……。

あ……うん、そうだよね……。お兄ちゃんも、男の子だもんね。そういう気持ちになるときもあるよね……。

わかった。わたし、がんばるよ。あんまりうまくないかもしれないけど、お兄ちゃんが楽しくなれるように、がんばる。

ただ、その、お兄ちゃん……

できたら、できるだけ、できるだけでいいから、次からは……

やさしく、してほしいな……。




もしもし? お兄ちゃん、聞こえる?

あ、聞こえてるみたいだね。こっちも大丈夫だよ。

それで、どうしたの? 部屋となりなのに、わざわざ電話なんて。

え? な、なにしてたのかって……それは、その、あの、えと……。まあ、色々と……。

色々は色々だよ。女の子には、人には言えない秘密がいっぱいあるんですっ。

っ! ちが……! エッチなことじゃないもんっ! 違うんだからね! ひとりエッチなんて、してないから! もうっ! 本当にしてないってば!

うー……。そ、それに! お兄ちゃんだってするでしょ? ひとりエッチ。だったらわたしがしたって……え?

今、してるの……? ひとりエッチを?

;間

そそそそっかぁ。たた、確かに、ひとりエッチの最中じゃ、部屋から出らららないから、でで、電話で話すしかないよねー。アハハハハ……

そっかそっかぁ。お兄ちゃん今ひとりエッチしてるんだぁ……。へー……。

だったら、こんな風に電話してないほうがいいのかな? だって、わたしなんかと話してたら、邪魔、しちゃうよね?

え? わたしと話してるほうがいいの? そう、なんだ……ふーん……。

あっ……も、もしかして、この前の約束……。

お兄ちゃんがエッチなことするときにお手伝いするっていう、アレ……。

もしかして、わたしにひとりエッチの手伝いをしに来いだなんて言うんじゃ……え……そうじゃないの? そう……。うん、なら、いいけど……。

え? なに? 何か欲しいの?

オカズ……?

(ここから独り言)
……えっと、オカズって、どういう意味だろ? お腹が空いてるわけじゃ……ないよね。えーっと、ぐるぐる検索で、オカズ、意味、と。

出た。えっと、これかな?

あ、お兄ちゃん? ごめん。ちょっと待ってね。

えーっと、オカズっていうのは……

……っ! や、やだ……! オカズって……!

あ、おに、お兄ちゃん? オカズって……つまり、わたしのエッチな写真が欲しいってこと!? え? 写真じゃなくてもいいの?

あ、あの、よくわからないんだけど、そういうのって、直接会ってするんじゃダメなの? その……自分の裸を写真で撮るのって、割と恥ずかしいっていうか……え? 恥ずかしがってるのがいいの?

うー……お兄ちゃんがわかんないよぉ……。で、でもお兄ちゃんのに付き合うって約束だし……。

わかった……がんばる。それでえっと、どうしたらいいのかな? やっぱり写真? だよね……。うん、わかったよ……。

でも、エッチな写真って言っても、わたしどんなの撮ればいいのかわからないんだけど……

ぅぇえ! お、おっぱい!? えと、まあ、そうだけど……うー……恥ずかしいなぁ……

あ、あの、念のために聞くんだけど、もちろんブラは外す……よね? ……だよね。はぁ……。

た、確かにこの前も色々見られたかもしれないけど、あの時はそれどころじゃなかったから……

ねえ、せめて……一番大事なところは隠すとかじゃ、ダメかな? ……え、いいの? ホントに!? あぁ、良かったぁ……。

うん。じゃあ、今から撮るね。

(ここから独り言)
さて、と。まずブラを外して……

上の服も、脱いだほうがいいのかな……。でも脱げとは言われなかったし、おっぱい撮るなら、半分着たままでもたくしあげたら撮れるし……

よし、いいや。着たままで撮ろっと。

あとは携帯のカメラで……えいっと。

どうかな……。うわぁ、すごい写真になっちゃった……。こんなの、お兄ちゃんに見せられないよぉ……。

どうしよう……。もう少し隠して、撮り直そっかな……。

え? あ、ままま待って、お兄ちゃん! 今送るから! だから待って!

えと、えと、撮り直してる時間はないし……。もう、これを送るしかない、よね……。

うー……えいっ!

送、ちゃ、た……。

あ、ダウンロードされた。今、お兄ちゃんがわたしのおっぱい見てるんだ……。

やだ……すごい恥ずかしい……。

もし、もっと見せろとか言われたらどうしよう……。全部脱げとか、言われたら……

あの……もしもしお兄ちゃん? どう、かな? ひとりエッチ、できた? ごめんね、わたし胸あんまりおっきくなくて……

あ、そう? 良かったぁ。え? 服を着たままなのが良かったの? それ、恥ずかしかったから脱げなかっただけなんだけど……。でも、喜んでもらえたなら良かったよ。

え、もっと欲しいの? 今度は、どんな写真?

え? なに?

えーっと、上乳と下乳はわかるんだけど……横乳と中乳って、なに?

;間

うぅ……。

結局、大事なところ隠しただけで、ほとんど全部見られちゃったよ……。

わたしきっと、これから絆創膏見るたんびに今日のこと思い出すんだろうなあ……。

あ、お兄ちゃん……? さすがにもういいよね? もう、服着ていい?

だよね。もう上は服着ていいよね……って『上は』?

上はって、どういう意味? 下って、どこの下?

え……

ダメダメダメダメだよ! そんなの見せられないよ! おっぱいでもあんなに恥ずかしかったのにそんなの……見せられるわけないよ!

大事なとこ隠してもダメ! それにどうせ、絆創膏で隠すだけでしょ!? そんなの見せてるのと変わらないよ!

ダメだってば! ダメ! ぱ……! ……パンツなら、まだ、いいけど……。

わ、わかった……。じゃあ、パンツの写真送るから、それで我慢してくれる?

『仕方ないな』って……もぉ……

じゃあ、今から撮るから、ちょっと待っててね。

(ここから独り言)
もおっ! お兄ちゃんのエッチ!

妹のパンツの写真ほしがるなんて、変態だよ……。そりゃ、わたしだってちょっとはエッチだけど……。

ああ、どうしよ。パンツの写真なんて。今日、どんなパンツ履いてたっけ……? やだ、ハム次郎の履いてた。履き変えないと。

お兄ちゃん、どんなパンツが好きなのかな……。やっぱり、布地が少ないのがいい? でも、これはちょっと恥ずかしいし、かと言ってこっちは子供っぽいかも……ああっ、早くしないと!

もう、この白いのでいいや。お兄ちゃんの好みじゃなくても、そんなの知らないもん。よいしょっと。

えっと、カメラカメラ……。うーん、スカートは脱がないでもいいんだろうけど……でも、どうやって撮ったらいいんだろ?

立ってたら撮りにくいし、座って撮るほうがいいのかな? とりあえず、ベッドで座って撮ってみよっかな……。

よいしょっと。

うぅ……何やってるんだろわたし……。自分でスカート捲ってパンツ撮るなんて、これじゃまるでわたしが変態みたいだよ……。

もう、早く終わらせよ。えいっ。

よし、撮れた。どうかな……?

……あぁ。

見なかったら良かった……。

でも撮り直してもどうせ一緒だし……送るしかないんだよね……もうやだぁ、これ……。

もしもし、お兄ちゃん? う、うん、撮れたけど……。

うぅ……わかってるよ……。送る、送るから……。

はい、いま送ったよ……。

お願い、もう何も言わないで……。もう何も言わないで、オカズにしておいて……。

え? シ、シミ!?

う、嘘! 嘘だよね!? だってさっき履いたばっかりだし……。

あ……や、やっぱりシミなんてないじゃないっ! もう! お兄ちゃん、嘘ついたでしょ! 嘘つき! ひどいよっ!

毛……! 毛が出てたりもしないよっ! だってわたしまだ生えてないし……って、ちょ、ちょっと! 変なこと言わせないでよぉ! エッチ! 変態!

え? な、なに? 今度は。

手を入れるの? どこに? パ、パンツに!?

それってつまり、わたしも、お兄ちゃんも同じように、ひ、ひとりエッチを……

〜〜っ! やだよっ! そんな写真、見せたくないよ!

え……写真はいいの? 手を入れるだけ? それでなんでお兄ちゃんが嬉しいの?

ででで、でも! それでもやだよ! お兄ちゃんと電話しながら、ひとりエッチするなんて……

え……? あ、そ、それはダメ! お父さんとお母さんには、バラしちゃダメ!

わかったよ! やる、から……! だから、お父さんとお母さんには言わないで……。

う〜……。わたし、これからもお兄ちゃんの言いなりなのかなぁ……。

ううん、なんでもない……。じゃあ、入れるよ……。

;間

……っ。

いま、入れたよ……。

え? どんな感じって……えっと、なんか変な感じ……。いつも触るときと、なんか違うような……。

あっ! い、いつも触るときって言うのは、お風呂とかでだから! いつもひとりエッチなんてしてないよっ!?

まあ、その……たまにはするけど……。

それで、やっぱりこれで終わりじゃないんだよね? うん、わかってるよ……。もうわたし、お兄ちゃんの言う通りにするから……。次は、どうすればいいの?

;間

あれ? お兄ちゃん?

お兄ちゃーん、もしもーし?

え……もしかして、いないの? な、なにこれ。どうしたらいいの? こんな、パンツに手を入れたエッチな格好のまま、わたしどうしたらいいの?

お、お兄ちゃんっ! ねえ、聞いてるよね!? 次どうしたらいいのっ!? ねえったらぁ!

やだ……どうしよう……。こんな状態で放ったらかしなんて……。

えっと……手、出してもいいかな……このままじゃ、辛いし……あ、で、でも、もし今お兄ちゃんが聞いてるとしたら、勝手なことしたら怒られちゃうかも……。

あぁ……どうしよぉ……。お兄ちゃぁん! 聞いてるの!? 聞いてないの!?

うぅ……なんでこんな……。

それに、なんだか……。っ……。

あッ……! やだ、だめ……! 手で触ってるせいで……あッ……!

お兄ちゃん……! 早く、なにかゆってぇ……。じゃないと……はぁ……! はぁ……っ!

どうしよう……このままじゃ、わたし……んっ! どんどんエッチな気分になっちゃう……!

お兄ちゃんに言われたんじゃないのに、勝手にひとりエッチしちゃうよぉ……!

お兄ちゃぁん……お願い、早くしてよぉ……。もうわたし、我慢できないよぉ……。

ダメ……手が、動いて……ぁん! ……やめないと……せめて、電話を切って……ゃあん! やだ、これ……気持ちイイ……。

お兄ちゃんに聞かれてるかもしれないのに……はぁ、はぁ……お兄ちゃんに、っ、聞かれてるかもって思うと……ぁ……っ! やぁんっ! ……イっちゃう! イっちゃうよおぉぉ!!

ああぁぁあアアア!!

あっ……、どうしよう……すごい声だしちゃった……。これがほんとに、お兄ちゃんに聞かれてたら……

お兄、ちゃん……? ぁあッ……! 聞いてる……? っ……!

すごいよ、お兄ちゃん……あ……! ぁ……! わたし、何回でも、イっちゃいそうだよ……。

おにい、ちゃぁあ、ん……! あ、はぁんんッ!!

あぁ……! やだ……本当にお兄ちゃんが聞いてたら、わたし……はぁ……! はぁ……! もう、お兄ちゃんになんて言ったら、あぁッ……!

ひゃっ!?(肩を掴まれる) え……だ、だれ!? お、お兄ちゃん!?

どうして!? いつの間にわたしの部屋にいるの!?

普通にドアから? や、やだ、ヘッドフォンしてたせいで、全然気づかなかったよ……。

ふぇ……? あ……きゃああっ!! わたしこんな……! やだっ! お兄ちゃんのえっち! 見ないでよぉ!

やだぁ……こんな、こんなところ、お兄ちゃんに見られるなんて……

ああ! お兄ちゃん! そっちの脱いだパンツも見ちゃだめだよ! あ、ち、違うの! いつもそんなキャラもの穿いてるわけじゃないの! 今日は、その、たまたま……

あ、だ、だめぇ! 触らないで! 返してお兄ちゃん! 返してったらぁ!

ちょ、ちょっと何してるの!? 匂い嗅いじゃだめだよ! やだっ! そんなところ汚いってば!

て、えぇ!? 今舐めた!? 舐めたよね!? ななななに考えてるのお兄ちゃん! やめてっ! それだけはやめてっ! お願いだからっ!

え……? な、なに? さっき? わたし?

……っ!

あ、えと、そういえば……えっと、み、見てた、の……? ぜ、ぜんぶ……?

はぅ……! や、やっぱりぃ……。

そんな……聞かれてるどころか、見られてたなんて……。お兄ちゃんが見てる前で、わたし、あんな……あぁ、もう、消えちゃいたいよぉ……。

え? ごちそうさま? もぉ! そんなこと言わないでよぉ……!

続き? しないよ! あんな恥ずかしいのに!

……え? お兄ちゃんが、するの? ひ、ひとりエッチを?

どこで? ここで!? え、え、ええ!?

あ、ああ、じゃ、じゃあわたし、ちょっとリビングに行ってるから……え、だ、ダメなの? ここにいないとダメ? え、で、でも、お兄ちゃん、ここでするんでしょ?

や……! ちょ、ちょっと! 脱がないでよ! あ、やだ……! っ……!

や、やだよ……! 絶対に目、開けないもん! お兄ちゃんがするところなんか、見たくないんだから! 終わるまで、絶対に開けない!

開けないったら! 無理やり開けようとしてもダメ! ダメだよ! ちょ、や、やめて! お兄ちゃん! あぁ! やめ……! いやぁぁああッ!!

ああ……見ちゃったぁ……。お兄ちゃんの、お兄ちゃんの、おちんちん……。

あっ……やだぁ、そんなに、近づけないで……。か、顔に、当たっちゃう……!

わ、わかった、わかったよ……! ちゃんと目、開けとくから……ちゃんと見るから、だからお願い、顔に当てるのはやめて……。

うぅ……お兄ちゃんの見るの、小学生のとき以来だよ……。

あのときよりも、すっごくおっきくなってる……。それに、なんだか……ねえ、お兄ちゃん。このヌメヌメしたのって、なぁに?

え? 触ってみたらって……や、やだよぉ……だって、気持ち悪いもん……。

あ、や、あ、あのっ! この前寝てるときに触ったのは、服の上からだったから! だからさわれたのっ! 直接さわるのは、わたしにはまだ無理だから……!

え? あ、ああ、ひとりエッチするんだよね。うん、ちゃんと見てるから……。だから、早く終わらせて……。

きゃっ! ちょ、ちょっとそれ! わたしのパンツ! まだ持ってたの!?

ちょっと! 待って待って! そんなことに使わないで! やだ! ダメ! だめだよ! ああ!

やだぁ……わたしのパンツが……。

そんな……さっきまでわたしが穿いてたパンツで、そんな、激しく……だめ、だめだよぉ……あぁッ……。

……ふぇ? ぁ、な、なに? お兄ちゃん。

わたしもひとりエッチしろ? もう! だから嫌だって、さっきから言ってるのに……!

え……したそうな顔してたって……。そ、そんな顔してないよ! わたしそんなエッチじゃないもん!

た、ただ、お兄ちゃんのひとりエッチしてるの見てて、ちょっと、ちょっとだけ思っちゃっただけで……べ、べつにそんな……。

……あ、あれ? あの、今気づいたんだけど、確か男の人のひとりエッチって、最後に先っぽから、せ、精子? とかが、出てくるんじゃなかったっけ?

えっと、それってどんな風に出るか知らないんだけど、わたし、ここにいて大丈夫なのかな?

あ、あの、お兄ちゃん? 気持ちよさそうなところ悪いんだけど、わたし、よけたほうがいい? え? ここでいいの? そ、そう……。

あ、お兄ちゃん、なんか今ピクピクって……ぅきゃああああ!!?

な、なにこれぇ……! なんか、ベトベトした白いのが顔に……もしかして、これが精子……?

もぉ、お兄ちゃんの嘘つきぃ……大丈夫って言ったくせにぃ……。ふぇぇ……気持ち悪いよぉ……。

え……ま、まだやるの? お兄ちゃん……。ちょ、ちょっと待って、やるならわたしの顔じゃなくて、どこか違うところに……って! ちょ、ちょ、こっち来ないでよぉ! やめて! やめてお兄ちゃんっ!

いぃやぁぁぁああ!!

;間

もう、満足した……? お兄ちゃん……。

そう、良かったね……。その代わりに、わたしの顔はベトベトになっちゃったけどね……。

うぅ、これ、拭いても拭いてもベトベトが取れないよぉ……。お風呂はいったら取れるのかなぁ……。やだ、髪の毛にまで付いてる。あっ! それよりも、服はどうしよう。う~、お気に入りの服だったのに~……。

もぉ……ひどいよぉ……。ひどいよぉ……。

え、なに? お兄ちゃん?

ドンマイ?

バカああああああ!!





あ、おかえり、お兄ちゃん。

あのね、お兄ちゃん。今日はお父さんもお母さんも遅くなるから、先にご飯食べといてって。

ねえ、お兄ちゃん、聞いてる?

お兄ちゃん。お兄ちゃん?

お兄ちゃん……。

;間

……と、とりあえず、もうすぐご飯できるから、それまでお兄ちゃんは、部屋でゆっくり……

え? お兄ちゃん?

な、なに? え、え……きゃあ!

な、なに? なんなのお兄ちゃん? あ、ちょ、ま、まって。まさか、ここで? だ、だってここ、玄関だよ? 鍵だってかけてないし、人が来たら……あッ!

だ、だめ、お兄ちゃん……! そんなところ……あっ! ま、まずいよ……人が来たら……あぁんッ! そ、そこは……! アアッッ!!

だ、だめっ! そっちは……! ダメだったら! ホントに……! あッ! だめ……ダメだよ!!

ダメっ! ホントに……! ホントにダメだから! やめて! やめてよぉっ!

やめてってばぁ!!(一際強い声で)

ぁ……! ご、ごめん、蹴っちゃった……。

ででででも、お兄ちゃんが、悪いんだよ! ダメって言ってるのに! う、上はともかく、下はダメなの!

だ、だって! わたしたち、兄妹だよ!?

こんなの……こんなの、やっぱりダメだよ! こういうことは、恋人どうしじゃないとしちゃダメなんだよ!

(辛そうに)
だから……だからわたしは……もうお兄ちゃんには触らせないって決めたの!

な、なに……? い、言っとくけど、お父さんやお母さんにバラされたってわたしは……、え……?

あ……そ、そういえば、お兄ちゃん、今日はどうかしたの? すっごく疲れてるみたいだし、こんな……帰ってすぐにこんなことするなんて、いくらお兄ちゃんでも……

え……。

面接、落ちたの……?

そ、そう……それは残念だったね……。……で、でも、その会社じゃないとダメってわけじゃないし……。それに、きっとまたチャンスはあるよ。だから、その、えっと……。

ううん、無理なんかじゃないよ! お兄ちゃんなら、きっと……、え……? あ……。

;間

うん、そうだよね……。そうに決まってるよね……。ごめんね、お兄ちゃん。

わたしの、せいだよね……。っ……、だって、お兄ちゃんが喋れなくなったのは、わたしのせいだもん……。

わたしがあのとき、池に落ちなかったら……。お兄ちゃんに、助けてなんて言わなかったら……。

そしたらお兄ちゃんの喉は、きっと今でも……。

ごめん、ごめんね、お兄ちゃん。お兄ちゃんの人生をダメにしちゃったのは、わたしなんだよね……。

ごめんね……。ごめんね……。うっ……、ひっく……! ぐすっ……(泣く)

;間

え……? なに……?

きゃ……! び、びっくりしたぁ……。お兄ちゃん、いつの間にズボンとパンツを……。

な、なに? おちんちん出して、どうしたいの?

え? な、舐めるの? わたしが? お兄ちゃんのおちんちんを?

そんな……それはさすがに……あ、でも……。

そっか……そうだよね……。これがわたしの、つみほろぼし、なんだよね……。

わかった、するよ。舐めるのでも、なんでも、するよ。お兄ちゃんがしてほしいこと、ぜんぶしてあげる。ううん、やらせて、お兄ちゃん。それでお兄ちゃんの気が、少しでも紛れるなら……。

えっと、ね……でも、あの……わたし、こういうのって、初めてで……。

その……すっごい下手っぴかもしれないけど、それでも、許してね? お兄ちゃん。

う、うん、じゃあ……

;唾を飲む

あ……う、うん、ちょっと待って。すぐするから。したくないんじゃないんだよ。ただ、あの……緊張しちゃって……。

だ、だって、舌で舐めるって、手で触るのとは違うじゃない? なんかもう、舌をお兄ちゃんのに近づけただけでも、その……ドキドキしちゃって……。

で、でも大丈夫。ちゃんとするから。しないで逃げたりしないから……。

うん、じゃあ、行くよ……。

……れる。

〜〜っ!!

っ! な、なんでもないっ! つ、続き、するよ!

……れるっ、えぅっ、ぴちゃ、える、れる、れる……。

(嫌そうに)
っ、な、なに、この汁、変な味……。ちょっとしょっぱい、ような……。

わ、わかってるよ。ちゃんと、ちゃんと舐めるから……れるっ。

ぴちゃ、れる、える……。はぁ……はぁ……れる、っ、れろ、れる、れる……。

お、お兄ちゃん、どう? 気持ちいい? まだ、足りない? うん、そうだよね。がんばるよ。れるっ……

れ……え? それって、口でくわえろってこと? 赤ちゃんがおしゃぶりをくわえるみたいに?

あうぅ……わ、わかったよ、するよ……。

;唾を飲む

は、ーーあむっ。

んーっ、んむ、んあ、じゅるっ、あむ、あむ、ん、っ、ちゅぱ、あむ……

ろ、ろうかな(どうかな)? おひいひゃん(お兄ちゃん)。……ちゅぱ、も、もっろ?(もっと?)

ら、らめればいいろ?(舐めればいいの?) ん、わかっら。……れる、はむっ……はんはる(がんばる)。じゅるぅ、える、れる、ちゅぱ、はぁむ、くちゅ……

れるっ、あむっ、れろ、ちゅばっ、はむ、れる……れる……

……ぷはぁ。はぁ……はぁ……はぁ……。ど、どうだった? お兄ちゃん。

え、か、勝手にやめるなって……。でも……。そ、それって、お兄ちゃんがいいって言うまで、ずっとくわえてないとダメってこと……?

あ、う、ううんっ! くわえてるのが嫌なんじゃないよ! ごごごごめんなさいっ! ただ、その、お兄ちゃんが気持ちいいかどうかわかんなかったから、聞こうと思っただけで……

え……き、気持ちよくなかったの……?

そ、そうなんだ……。気持ちよくなかったんだ。がんばったのに……。

ごめんなさい……。わたしが、うまくないせいで……。じゃ、じゃあわたし、あとでもっとうまくできるように勉強しとくよ。だから今日は……え? お兄ちゃん?

あ、え? な、なに? お兄ちゃん……お兄ちゃ……もがあ!?(ペニスを無理やり口へ)

もが、が、がっ、もぐ……ほ、ほひいひゃ(お兄ちゃ)はぐぅ! はが、はがひへ!(離して) ひゃへへ!(やめて) ほひい(お兄)ひゃぐぁ! か、かはっ! あが、がはっ……! が、っ……

(喉まで挿入)っ!? ぐぅ! お、ぅおぇええ! はぅ……! ぐぷっ! ひぐぅぅ……! はぐむ……ぉぐぅっ……! ……っ! ぐぉええ……! ぐぷ……

あが!? が、が、が、が、が……!(兄がピストン運動。小刻みに長時間。その度に呻く) はがぁ……はがぁ……(くわえたまま息を整える)あが、が、が、が、が、が……!(ピストン運動)

が、が、が……っ!?(口内射精)……っ、っ! んんっ……!(ペニスを引き抜く) ん、んーっ!(精液を吐き出したいのに兄に口を抑えられる) んぅっ! ん! んーっ! ん、んーっ!  んーっ! ん……っごくん……

はぁ……はぁ……はぁ……

……の、飲んじゃった……。お兄ちゃんの精液、飲んじゃったよぉ……!

ぃやあ……! 口の中いっぱいに、苦いのが……お兄ちゃんのの味がぁ……。

それに……お、お兄ちゃんっ! いくらなんでも、喉まで入れるのはひどいよっ! し、死んじゃうかと思ったんだから! やめてって言ってもやめてくれないしっ! もう、なに考えてるの!?

え……? あ……。

あ……!

ご、ごごごごめんなさいっ! 偉そうなこと言ってごめんなさいっ! そ、そうだよね。わたしに、文句言う権利なんてないんだよね。ごめんなさい、忘れてました!

(怯えながら)
さ、さっき言ったのは、ま、間違い、だから。その、お、お兄ちゃんは、好きにしていいから。わたしの身体、好きにしていいから。口も、む、胸も……あと、その……下のほうも……。身体、ぜんぶ……。

お兄ちゃんのしたいこと、なんでも、して? わたし、なんでもするから。せ、精液、だって、お兄ちゃんが飲めって言うなら、いくらでも飲むよ?

そ、それに……ぐすっ……ホントの意味のエッチだって……して、いいから……。

だからお願い、お兄ちゃん……。

わたしのこと、嫌いにならないで……。

……ぐすっ……ひっく……うぅ、おに、お兄ちゃ……ひぐっ、う、うぇぇ……

ひっぐ……ぐすっ……ひっく、あむっ……れる、れる、っ……れろ……ちゅう……ちゅる、ちゅうぅ……ちゅるるるる……ごくんっ。

れろ……れる、はむ……ちゅうぅぅぅ……

はぁ……はぁ……ぐすっ……、れろ……。れろ、れる、くちゅ、ちゅぱ……。れろっ……

はむ、じゅる……じゅるるる……。じゅるるるる……じゅるるるるるる……

ふはぁっ……、はぁむ、れる、れろ、れろれろ、ぺちょ、じゅるるるるじゅるるるる……はぁ……はぁ……

あむっ……ん……ん、くちゅ、れろ……おひいひゃん(お兄ちゃん)……はむ……れる……っ、おひいひゃん……!

じゅるるるるっ……じゅるるる、じゅるるるるるっ……!

(射精)……んぅっ! ん……! んぅ、ぅ……。

……ごくん。

っふぅ……、はぁ……はぁ……お兄、ちゃん、はぁ……お兄ちゃん……お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……。

ちゅぅぅ……。ちゅるるるる……ごくん。れる、ぺちゃ、れる、れる、れる、ちゅぱ……ん。

おひいひゃん……れるっ……

おねがい……くちゅ、

きらいに、ならないで……。




お兄ちゃん、入ってる?

入ってるよね、お兄ちゃん。

えっと……あの、そのね? 背中、流してあげよっかなぁって思って、その……。わたしは、お兄ちゃんにつみほろぼししないといけないから……こういうことも、したほうがいいのかなぁって……。

あ、あの、入ってもいいかな……? あ……ご、ごごごめん。見えなかったら、返事できないよね。ごめんね、ごめんねお兄ちゃん。

あ、あの、それじゃ……。いいかどうかわからないけど、とりあえず入るね。おじゃましまーす……。

あ……お、お兄ちゃん、湯船に浸かってなかったの……? やだ、そんな……、あ、えっと、うぅ……ど、どうしよう〜……。

え? あ、このバスタオル? うん。恥ずかしいから、巻いてきたんだけど……えっと、取ったほうがいい?

お兄ちゃんが取れって言うなら、取ってもいいよ。お兄ちゃんの言うことは、わたしなんでも聞くから。

取らなくてもいいの? そう、わかった。

じゃあ、お兄ちゃん。背中、流させてもらってもいい、かな……。

うん、ごめんね。背中流したら、すぐに出てくから。

よいしょっと。じゃあ、流すね。

んっしょ、んっしょ。

……これぐらいの強さでいい? ん、もうちょっと強く、だね。んっしょ、んっしょ、んっしょ……(徐々に声を小さくしていく)

;間(長め)

お兄ちゃん……。

ねえ、お兄ちゃん……。

どうして……

どうしてお兄ちゃん、あれからずっと、わたしのこと、さけてるの……?

玄関でした日からずっと……話しかけても、返事してくれないし……。

ねえお兄ちゃん、もしかして、わたしのこと嫌いになっちゃったの……?

……ううん、それよりも……

ねえ、お兄ちゃん……。

お兄ちゃんは、何を悩んでるの?

わかるよ。だってお兄ちゃん、近頃ずっと辛そうな顔してるもん。

そんな辛そうな……悲しそうな顔してるお兄ちゃんなんて、わたし見たくないよ……。

;間

……終わったよ、お兄ちゃん。

じゃあわたし、出るね。はい、タオル。

……? お兄ちゃん?

お兄ちゃん……。

ひゃぁっ!?

お、お兄ちゃん!? あぅ……く、苦しいよ……そんな、抱きしめちゃ……。

はぅ……、あぁ……ぁふ……、はぁ……おにい……ちゃん……あ、あぁ……。

っはぁ……、ふぅー……。

ど、どうしたの……? お兄ちゃん……。

あ、謝らなくてもいいよっ……そんなに嫌じゃなかったし……。なんだったら、もっと抱きしめててもいいんだよ? わたしの身体は、お兄ちゃんの好きにしていいんだから。

お兄ちゃん?

え? 違う? なにが違うの?

え……。

そんな……そんな嘘、つかなくてもいいよ……。

そんなこと言わなくても、わたしお兄ちゃんから逃げたりしないから。

だから……わたしのこと許すだなんて、そんな嘘、つかなくてもいいよ……。

え? なに? わからないよ……。わからないよお兄ちゃん。

お兄ちゃ……あ……!

;間

お兄ちゃん……。

あったかい……。お兄ちゃんの身体、あったかくて、なんだか安心する……。

えへへ……なんだか、今度の抱きしめ方は、さっきと違って優しいね……。いつものお兄ちゃんじゃないみたい……。

;間

本当、なの……? 本当に、わたしのこと許してくれるの? お兄ちゃん。

ううん、お兄ちゃんが許してくれたからって、わたしがしたことはなくならない……。だって、お兄ちゃんの声は戻らないもん。でも……

でもお兄ちゃんが許してくれるのは、すごく嬉しい。なんていうのかな……、救われた気持ちになるよ。

ありがとう、お兄ちゃん。許してくれて。

;間

え……? してほしいこと? わたしがお兄ちゃんに?

うーん、してほしいこと……してほしいこと……。

……うん、ない、かな。

ううん、ホントはあるけど、それはダメなことだから、いいの。

こうやって優しく抱きしめてもらえるだけで、わたしはすっごく幸せなんだよ……お兄ちゃん……。

;間(長め)

っ……、

ぐすっ……、

お兄ちゃん……、ひっく……、

ぐすっ、ひっく、すん、っ……

ダメだね、わたし……。

いますっごく幸せなのに……幸せなはずなのに……。

お兄ちゃん、わたし……

わたしたち、なんで兄妹なんだろうね……?

っ……、兄妹じゃ……なかったら、ぐすっ……、わたし、わたしは……。

お兄ちゃん……。

好き……。

お兄ちゃんのこと、大好き。

兄妹の好きじゃなくて、男の人として好きなの。お兄ちゃんと、ずっと一緒にいたい。ずっと、ずっと、ずっと。

ホントはね、お兄ちゃんに触られたり、見られたり、えっちなことされるの、ホントはそんなに嫌じゃないんだ……。

ちょっと恥ずかしいけど……すっごく気持ちよくて、夢中になっちゃいそうで……。

だけど、わたしたちは兄妹だから……。

だから夢中になっちゃダメだって思って、でも、お兄ちゃんに嫌われるのは、もっと怖くて……。

ごめんね、お兄ちゃん。お兄ちゃんは遊びのつもりだったかもしれないけど、わたしは本気だったの……。だから余計に、遊びでされるのが、嫌だったの……。

気持ち悪いよね。兄妹でこんなの。でも、ずっと前からなの。お兄ちゃんが喋れなくなる前から、ずっと、わたしはお兄ちゃんのことが、好きだったの……。

……わたしが、お兄ちゃんにしてほしいことはね。

わたしを、お兄ちゃんの恋人にしてもらうことなんだよ。

恋人になって、手を繋いで歩いたり、2人で映画見たり、海に行ったり、キスしたり……

えっちなことだって……恋人どうしなら、心の底から気持ちよくなれるかもしれないのに……。

本当……、

どうしてわたしたちは、兄妹なんだろうね……。

;間

……え?

手?

あ、手だね。いいけど……なにするの? あ……

こ、これって、恋人つなぎ……。

お兄ちゃ……ぁむっ!

ん……! っ……、っ……! んぁ……! くちゅ……はぁ……、はむ……ぁ……、れる、くちゅ……はん……っ……っあ……! っ……! ぁん……! っ……

ぷはっ……! はぁ……、はぁ……、はぁ……。

お、お兄ちゃん……? 手を繋いで、キスして……これって、まさか……ひゃんっ!

あッ、お兄、ちゃん……! そこは、ダメって、前に……ひぁんっ! あぁんっ! だ、ダメだよ……! 下は……恋人じゃ、ないと……! あぁあんっ!

あぁ……! そんな、そんな優しくされたら……。わたし……あぁん! だ、だめ! 直に触っちゃダメぇ……!

やだぁ……お兄ちゃん、すごすぎるよぉ……! 指で、なぞってるだけ、なのに……ハァ……ハァ……身体が、身体が熱いよぉ……っハァ……お兄ちゃぁん……。

だめ……! もう、我慢できないよ……! お願いお兄ちゃん……。わたしを……恋人にして……わたしの身体、めちゃくちゃにしてぇ……!

あぁんッ! おに、ちゃ……? いま、柔らかいのが……えぇええ!?

そ、そんな……! 嘘……お兄ちゃん、口で……なんて……そんな……!

あぁ……! だ、だめぇ! そんな……そんなところキスしちゃ……、あぁ! い、息が……かかって……はぁんっっ!!

あっ……や、あぁ……! 舌は、あはっ……ぁ……! あぁ……! 舌は、だめだよ……! あぁん……! あぁ!

あ……や、やだぁ……! えっちな水が、こぼれて……あぁん! お、お兄ちゃん……みないでぇ……あッ……!

あぁあ! な、舐めちゃだめぇ……! ちょ、すわ、吸わないで! ……あぁんッ! そんな! ぁ! はぁんっっ!

ああッ! お兄ちゃんの、お兄ちゃんの舌が! あぁッ! あぁあああ!! あはぁぁあん!

ハァ……! ハァ……! 動いてる……! っ……! お兄ちゃんの舌が、わたしの中で動いてるよぉぉ……!

やだぁっ! そんな、そんなとこまで……ああッ! だめ、だめだよ! お兄ちゃぁんっっ! あぁん!

あッ……! だ、だめ……! も、イっちゃう……! お兄ちゃぁん……! あぁ……!

あぁ……んっ……! でも、まだ……あぁっ! お兄ちゃん……っ……!

まだ……舐めてないところ……ぁんっ!!

お願い、お兄ちゃん……、ハァ……! わたしが、イっちゃう前に……っ……!

まだ、舐めてない、一番大事なところ……

おねがいお兄ちゃん! わたしの、クリトリス……お兄ちゃんの舌で、気持ちよくしてぇぇっ!

……ッッッ!! ぁぁあアアア!!

アアッ! あひゃあああッ! お兄ちゃんの! お兄ちゃんの舌があああ!!

ぁびゃあっ! あんッ! んはぁ、あんっ! ああ!!

すごい! あ……ああっ! お兄ちゃん! お兄ちゃぁん!

イっちゃう! もう! イっちゃうよぉぉお!!

ああぁぁぁぁぁあアアアッッ!!

;間

…………っ!

はぁ……はぁ……あっ……く……、はぁ……はぁ……はぁ……。




【ここから先はありません。執筆する予定もありません】

2014年12月3日水曜日

Take Over その2

;続編ではなく、改稿版です。
;☆シーン001
;■魔法研究室
;♪再生
;●なし
;△扉を開ける音
 部屋の中は、誰もいなかった。
 〇〇〇〇さんが、先に入るようにと促してくる。
 言われるがまま先に入ると、〇〇〇〇さんが後から入ってきて、なぜか扉に鍵をかけた。
;△扉を閉める音
;△鍵をかける音
;●〇〇〇〇
 クラス一の美人と言われている〇〇〇〇さんと、狭い密室で二人きり。
 なのに僕は、ちっとも甘い気分にはなれなかった。
 それどころか、まるで実験動物にでもなったかのような気がした。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……脱いで」
 静かな、だけどはっきりした声で、〇〇〇〇さんが言った。
 これが「上着を脱いで」とかいう意味ならまだ良いんだけど、そうじゃないことぐらいは僕にもわかっている。
 でも、わかってるからと言って、そう簡単に従えるものじゃない。
【△△△△】
「え、あ、あの……」
【〇〇〇〇】
「……脱いで。早く。時間がない」
 〇〇〇〇さんの言い方は、自分が正しいと確信しているような、堂々とした言い方だった。
【△△△△】
「でも……」
 〇〇〇〇さんが、正しいはずがない。
 その思いを盾にして、僕は抵抗を続ける。
 しかし……
【〇〇〇〇】
「……自分で脱がないのなら、私が脱がす」
 その言葉が、僕の盾を突き崩した。
【△△△△】
「うっ」
(〇〇〇〇さんに、脱がされる……)
;☆もやもやエフェクト(想像を表現)
 一瞬、それを想像してしまい、僕は慌てて首を振った。
(人に脱がされるくらいなら、自分で脱いだほうがマシだ)
「わ、わかりました。自分で脱ぎます」
 僕がそう言うと、〇〇〇〇さんは軽く頷いた。
 なんとか、最悪の事態は免れたらしい。しかしその代わりに、自分で脱ぐことが決定してしまった。
;●なし
(くそ……)
;△衣擦れの音
 僕はベルトを外して、ズボンを下ろした。
 ここまではそれほど抵抗はない。問題はここからだ。
 僕はパンツに手をかけながら、チラッと〇〇〇〇さんの顔を見た。
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんは、人形のように感情のない瞳で半裸の僕を見下ろしていた。
 抵抗は無意味。
 そのことを言外に伝えてくる、冷たい視線だった。
;●なし
(なんで、こんなことに……)
 僕はパンツを下ろし、恥部を晒した。
 少し上向きにそそり立つ僕のアソコが、〇〇〇〇さんの目に晒される。
 女の子の前にいるせいか、そこは既に熱く、固くなっていた。心臓の動きに合わせて、血が脈打つのを感じる。
(見られて興奮するなんて、これじゃあまるで変態だ)
【△△△△】
「ぬ、脱ぎました」
 自己嫌悪に陥りながら、僕は言った。
;●〇〇〇〇 しかめ面
;♪音量下げ
【〇〇〇〇】
「…………」
【△△△△】
「あの……、〇〇〇〇さん?」
【〇〇〇〇】
「……なに、それ」
【△△△△】
「え?」
;♪変更
 〇〇〇〇さんの視線を追うと、それは僕の股間に向かっていた。珍しそうに、そこを凝視している。
(それは確かに、女の子からしたら男のアレを見るなんて珍しいだろうけど……)
 それでも、その〇〇〇〇さんの見入り方は異様に思えた。
【〇〇〇〇】
「……気持ち悪い」
【△△△△】
「気持ち悪いって……。〇〇〇〇さん、もしかして見るの初めてですか?」
;●なし
 だとしたら、とても意外なことだった。
 ここまで強引に物事を進めてきた人が、そんなにウブだったなんて。
 なんだか、すごく親近感が湧いてくる。
;●〇〇〇〇 しかめ面
【〇〇〇〇】
「……別に、初めてじゃない」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……ただちょっと大きかったから、びっくりしただけ」
【△△△△】
「大きい、ですか?」
 〇〇〇〇さんが、ゆっくりと頷く。
(そうか、僕のは大きいのか)
 微妙に喜んでいる自分がいた。
;♪変更
【〇〇〇〇】
「……もういい。無駄話してる場合じゃない」
【△△△△】
「あ、はい」
 〇〇〇〇さんの言葉で、僕は我に帰った。
【〇〇〇〇】
「……精液を採取する。出して」
 それはつまり、オナニーをしろという意味で……。
 〇〇〇〇さんが、部屋から出ていこうとする様子がないということは……。
(〇〇〇〇さんの目の前で、オナニー……?)
 絶対、無理だ。
 それをすると、僕は越えてはいけない一線を越えてしまう。
 なんとしても回避しないと。
 僕は必死で、頭を働かせた。
【△△△△】
「あの、トイレとか……、せめて部屋の隅でじゃダメですか?」
【〇〇〇〇】
「……どうして、そこがいい?」
【△△△△】
「いえ、〇〇〇〇さんの前じゃ、恥ずかしいですし……」
 まともな言い分のはずだ。それに〇〇〇〇さんは精液が欲しいだけだから、言い返す理由はない。
【〇〇〇〇】
「……恥ずかしい?」
 僕の言葉を遮って、〇〇〇〇さんが言った。
【〇〇〇〇】
「……見られて興奮してる人が、何が恥ずかしい?」
【△△△△】
「ぐっ……」
 やっぱり、見抜かれていた。
 いや、当たり前か。
 これだけビンビンに勃起していたら、興奮しているのは一目瞭然だ。
;♪変更
【〇〇〇〇】
「……それに、私も見てみたい」
【△△△△】
「え?」
 平然とした顔で、〇〇〇〇さんがとんでもないことを言い出した。
【〇〇〇〇】
「……男の子の自慰行為に、興味がある」
【△△△△】
「えっと……、なんでですか?」
 普通の人なら、この場合は性的に興味があるということになるだろうけど、〇〇〇〇さんに限ってそれはないと思う。
【〇〇〇〇】
「……知への欲求」
【△△△△】
「知への欲求?」
;●〇〇〇〇 しかめ面
 さっぱりわからない、という意味を込めて復唱すると、〇〇〇〇さんは少し見下したような目で僕を見た。
;●〇〇〇〇 目つぶる
 それから、仕方ないと言うように軽く息を吐き、言葉を付け足した。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……多くのことを、知っておきたい」
【△△△△】
「はあ……」
【〇〇〇〇】
「……知らないことがあるのは、気持ちが悪い」
【△△△△】
「…………」
【〇〇〇〇】
「……だから、見せて」
 やっぱり、わからない。
【〇〇〇〇】
「……見せて」
 機械的に要求してくる〇〇〇〇さんには、ある種の凄みのようなものがあった。
 その凄みに押されて、僕は従ってしまいそうになった。だけど、なんとか自分を奮い立たせて、僕は言った。
【△△△△】
「嫌……です」
;●〇〇〇〇 しかめ面
;♪変更(もしくは音量を下げる)
;☆背景のみ、一瞬青白くする
 空気が、変わった。
 そう思えるほどに殺伐とした雰囲気を、〇〇〇〇さんは醸し出していた。
【〇〇〇〇】
「……嫌?」
 僕は、おそるおそる頷く。
 心の中には、〇〇〇〇さんの言う通りにして楽になりたいという気持ちもあったけど、ここばっかりは譲れない。
 問題は、〇〇〇〇さんがどう来るかだけど……。
;●〇〇〇〇 目つぶる
【〇〇〇〇】
「…………」
(なんだ?)
 何か、ブツブツと呟いているのが聞こえる。
(これは、呪文?)
 僕は耳を澄ませて、何の呪文か聞き取ろうとした。
 その時、
;●〇〇〇〇
;☆画面を赤くする
;△炎の音
 〇〇〇〇さんの周囲から熱風が巻き起こった!
【△△△△】
「う、わ!」
;☆画面を真っ暗にする
 僕は咄嗟に、腕を顔の前にかざした。この後に来るであろう更なる熱気から、顔を守るために。
 しかし予想に反して、僕の身には何も起こらない。
(…………?)
 僕はゆっくりと腕を下ろし、目を開いた。
;☆元に戻す
;●なし
【△△△△】
「あれ?」
 何も変わっていなかった。
 〇〇〇〇さんが魔法を使う前の魔法研究室のままだ。
(てっきり、怒って放火したのかと思ったけど……)
 僕は、〇〇〇〇さんのほうを見た。
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんは、僕の足元を見ていた。
 その視線を追って、僕も僕の足元を見てみた。
(あれ?)
 何かが足りない。
 それはすぐにわかった。でも何が足りないのか? それがわからなかった。
 しばらく考えて、僕はようやく答えを出した。
【△△△△】
「僕の、パンツ……」
 脱いだはずのパンツが、どこにもない。ズボンはあるのに。
【〇〇〇〇】
「……ズボンも、燃やす?」
 その言葉で、さっきの魔法が何をしたのか、僕は理解した。
 僕のパンツを、跡形もなく燃やしたのだ。これで帰りは、ノーパン決定だ。
 そして、もしズボンまで燃やされたら、僕は下半身丸出しで帰ることになる。
【△△△△】
「や、やめてください!」
 僕はズボンを庇いながら、必死で叫んだ。
【△△△△】
「な、なんでもしますから、ズボンだけは燃やさないでください!」
【〇〇〇〇】
「……じゃあ、出して」
【△△△△】
「いや、あの、それは……」
;●〇〇〇〇 目つぶる
【〇〇〇〇】
「…………」
 〇〇〇〇さんが、呪文を唱え始める。
【△△△△】
「わ、わかりました! 言う通りにします!」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……出して」
【△△△△】
「……………………………………はい」
;♪変更
 結局、僕は〇〇〇〇さんに従うしかなかった。
 しぶしぶ、自分の竿の部分に手を当てた。
【△△△△】
「うっ、く」
;☆画面を真っ暗にする
 目をつぶり、手を前後に動かして、扱く。
(ああ、ついに、ついに僕はやってしまった……)
 後悔しても、遅かった。
 思えば、この魔法研究室に入った時点で、色々と手遅れだったんだ。
【〇〇〇〇】
「……そうやって手で陰茎をこするのが、気持ち良いの?」
【△△△△】
「は、はい」
【〇〇〇〇】
「……結構、強くこすってる……。いつも、最初からそんな感じ?」
【△△△△】
「い、いえ。その時の気分で……」
 妙な気分だった。
 女の子の見ている前で、僕はオナニーしている。
 屈辱的な体験のはずなのに、やってみると、なぜかいつものオナニーよりも気持ちいい。
 かつてないほどの興奮を、感じている。
 僕は薄く目を開いた。
;●なし(できれば、〇〇〇〇胸から上)
;☆元に戻す
 〇〇〇〇さんは、すごく熱心に観察していた。
 さっきまで立っていたのに、今は膝立ちで、顔を近づけて観察している。
(そんなに近づいて、何かの拍子に当たったりでもしたら……)
(当たったら、どうなるんだろう……?)
 〇〇〇〇さんは、たぶん気にしないだろう。
 僕だって、興奮こそすれ、嫌なことは何一つない。
(むしろ、当ててもいいんじゃないか?)
 つい、そんなことを考えてしまう。
【〇〇〇〇】
「……いつもは、何を考えながらしてる?」
【△△△△】
「な、なにって……。それは、女の子の裸とか……」
【〇〇〇〇】
「……それだけ?」
【△△△△】
「あ、あと……」
 なぜだろう。
 〇〇〇〇さんを前にすると、嘘がつけなくなってしまう。
【△△△△】
「あと、女の子が、おしっこ、する、ところとか……」
(こんなこと、誰にも話したことないのに……)
 〇〇〇〇さんは、決して僕を罵らない。
 ただ質問を重ねてくるだけだ。
【〇〇〇〇】
「……ずっと擦ってるけど、それだけで興奮する?」
【△△△△】
「は、はい、大抵は、これで出ます」
【〇〇〇〇】
「……出なかったら?」
【△△△△】
「え? あの……、タマを、弄ったり……、肛門を触ったり……」
【〇〇〇〇】
「……たま……」
 そう呟いたっきり、〇〇〇〇さんは黙りこんでしまった。
 質問されるのも恥ずかしいけど、無言で観察されるのもなんか嫌だ。
【△△△△】
「あの……、〇〇〇〇さん?」
 呼び掛けはちゃんと聞こえたらしく、〇〇〇〇さんが上目遣いに僕を見た。
 そして、
;☆画面揺らす
【△△△△】
「ぐう!」
 そして右手で、僕のタマを鷲掴みにした!
;☆CG
 その掴み方は、初めて男のモノを触ったとは思えない、強烈な掴み方だった。
 突然の暴挙に、僕の頭はついていけない。
【△△△△】
「痛い! イダダダッ!」
【〇〇〇〇】
「……本当に、玉が入ってる……」
【△△△△】
「痛いっ痛いです! 〇〇〇〇さん!」
【〇〇〇〇】
「……なんか、ぐにぐにしてる」
【△△△△】
「だからそれすると痛いんですッ!!」
【〇〇〇〇】
「……これ、潰したらどうなる?」
【△△△△】
「ぇええ!? だだだダメですよそんなことしたらっ! 精子が作れなくなっちゃいます!」
【〇〇〇〇】
「……それは困る」
;♪変更 音量低め
 そう言うと、〇〇〇〇さんは握る力を弱めた。
 もし困らなかったら、潰していたんだろうか。
だとしたら、危なかった……。
【〇〇〇〇】
「……これくらい?」
【△△△△】
「は、はい、それぐらいです」
;♪音量通常に戻す
 今度はさっきと打って変わって、優しい手つきになった〇〇〇〇さん。
 僕のタマを、袋の中で転がすように、指先を動かしてくれる。少しぎこちない動作だけど、それが逆に興奮させられる。
(き、気持ちいい……!)
 こうなってくると、女の子に大事なところを触られているという事実が、僕の中で浮き彫りになる。
 今、僕のタマを触っているのは、クラス一美人と言われている、〇〇〇〇さんだ。
 彼女が、僕の汚ならしい金タマを、素手で触っている。
【△△△△】
「はぁ……ふぁ……」
 出したくないのに、喉から喘ぎ声が漏れ出てしまう。
(ヤバい……)
 もう、今にも出そうだった。
【〇〇〇〇】
「……まだ、出ない?」
;シーン001

【△△△△】
「ふぁ、ぁ。い、もうすぐ、でましゅ」
(なんて声を出してるんだ、僕は)
 恥ずかしい。
 だけど、どうしたら普通の声が出せるのか、わからない。
 なにが普通なのかも、わからない。
 というかもう、どうでもいい。
 とにかく、気持ちいい!
【〇〇〇〇】
「……やっぱり、擦るほうがいい?」
 聞きながら、〇〇〇〇さんが手を持ち変えた。
 掴む場所を、タマから棒へ。
 そして優しい動きから、激しい動きへ。
 〇〇〇〇さんの手が、僕の肉棒を扱く。
 たおやかな親指と中指が、しっかりと僕の竿を掴み、力強く擦る。
(こ、これは……!)
 僕の身体に、熱い何かが溜まっていく。
 抗えない何かが、押し寄せてくる。
(く、来る!)
【△△△△】
「ふぁああぁあーーッ!!」
;☆CG終わり
;☆画面を真っ暗にする
;♪停止
 ついに、出た。
 僕の局部の先端から、白濁した液体が。
 それは〇〇〇〇さんの顔に当たる寸前で、〇〇〇〇さんが差し出したカップに受け止められた。
;☆画面元に戻す
;●なし
;♪変更、再生
 服の中にでも忍ばせていたのだろうか。いつカップを取り出したのか、まったくわからなかった。
 〇〇〇〇さんは僕の竿から手を放し、カップの中を覗きながら立ち上がった。、
 何も言わずに、たくさんの器具が並べられた机の前に行くと、取ったばかりの僕の精液を、謎の液体と混ぜ合わせる。
 その様子を見ている内に、僕は自分が何をしたのかということを、今更ながらに理解した。
 僕は、〇〇〇〇さんの手コキでイってしまったんだ。
 それを自覚すると、途端に恥ずかしくなってきた。慌てて落ちていたズボンを履くと、扉に向かって歩きながら、僕は言った。
【△△△△】
「あ、あの、僕、もう帰ります」
 ここまでしたんだから帰してくれないってことはないだろうと、そう思いながら聞いたんだけど、予想に反した答えが帰ってきた。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……待って」
;●なし
 机の上に精液の入った瓶を置くと、ゆっくりとした足取りで、〇〇〇〇さんが僕のすぐそばまでやってきた。
;●〇〇〇〇 目つぶる
【〇〇〇〇】
「…………」
 空っぽの手を僕の股間へとかざすと、なにやらブツブツ言い始めた。
(これは、呪文?)
 でも、さっきの炎の魔法とは違う。
;△魔法の音
;☆ピンクのエフェクト
 〇〇〇〇さんの手のひらが、淡いサクラ色の光に包まれた。その光が当たると、少しずつ僕の股間が締めつけられていくように感じる。
 光が消える頃には、その圧力は確かなものとして感じられたが、痛いというほどではなかった。
【△△△△】
「何をしたんですか?」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……古代マナリア人が作り出した、子孫根絶の魔法」
【△△△△】
「…………」
 もしかして〇〇〇〇さんは、わざとわかりにくい言葉を使っているんだろうか?
 それとも、人と話すのに慣れていないんだろうか?
 後者だとしたらちょっと可愛いなあなんてことを考えつつ、僕は質問を重ねた。
【△△△△】
「えっと……、どういう魔法ですか?」
;♪変更
【〇〇〇〇】
「……勃起すると、激痛が走る」
【△△△△】
「え!?」
【〇〇〇〇】
「……この魔法を解けるのは私だけだから、アナタは明日ここに来るしかない」
 僕は愕然とした。
 可愛いなんてとんでもなかった。僕はそれはそれは恐ろしい魔法をかけられていたのだ。
【△△△△】
「そんな……! こんなことしなくても、ちゃんと来ますよ!」
【〇〇〇〇】
「……信用できない」
【△△△△】
「どうしてですか! 僕が何をしたんですか!」
;●〇〇〇〇 しかめ面
 僕がそう聞くと、〇〇〇〇さんは急に黙りこんでしまった。
【△△△△】
「〇、〇〇〇〇さん?」
【〇〇〇〇】
「……(男なんか)」
【△△△△】
「え……、なんですか?」
 声が小さすぎて、聞き取れなかった。
 だけど、〇〇〇〇さんは答えてくれなかった。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……とにかく、アナタは明日もここに来る。
 ……そしたら魔法を解いて、精液を出せる。
 ……精液を出したければ、明日ここに来るしかない。
 ……わかったら、もう帰って」
;●なし
 立て続けにそう言うと、〇〇〇〇さんは机に向かい、元の作業に戻った。
 僕は何か言い返そうかとも思ったけど、結局何も言わずに、魔法研究室を後にした。
;■フェードアウト

;シーン002
;背景指定で、「通学路」と「校舎裏」がありますが、都合が悪ければ他の場所に変更することも可能です。
;☆シーン002
;■△△△△の部屋 暗い
 普段、僕がエロい妄想をすることは、あまりない。
 オナニーも週に1回か2回ぐらいだ。
 だから僕は、1日オナ禁ぐらいはへっちゃらだ。
 へっちゃらなはずだったんだ……。
;☆画面揺らす
【△△△△】
「ウギャアアアアッ!!」
;■通学路
;♪変更
;●□□□□
【□□□□】
「おい、大丈夫かニャ? ニャんかふらふらしてるニャ」
 目を擦りながらの登校中。
 いつも通り僕の肩に乗っかった相棒の黒猫が、いつも通りの舌足らずな口調で聞いてきた。
;●なし
【△△△△】
「いや、大丈夫じゃない……。ほとんど寝れなかったし」
 寝ようと思って目をつぶる度に、〇〇〇〇さんに手コキされた時のことが頭に甦った。すると股間に激痛が走る。痛みと興奮で、眠れるはずがなかった。
 一度なんか、完全に眠れたのに、夢に〇〇〇〇さんが出てきたせいで勃起してしまい、激痛で目が覚めた。
;●□□□□
【□□□□】
「エロいこと考えニャきゃいいんだニャ」
【△△△△】
「それができたら苦労しないよ……」
 重いため息をついて、重い足取りで学校に向かう。放課後まで射精できないと思うと、この上なく気が重い。
【△△△△】
「僕、放課後までもつのかな……」
【□□□□】
「もたなかったら、どうするのニャ?」
 どうしようもないのが、何よりも恐ろしかった。
;●なし
【△△△△】
「はあ……」
 もう一度大きいため息をついて、僕は足を進めた。

;♪変更
;■教室
 授業中は、少しも気が抜けなかった。気を抜けば、すぐに妄想に走ってしまう。
 しかし妄想しないようにと意識し続けると、逆にそのことを考えてしまう。昨日の夜のことがあるので、寝てしまうのも得策とは言えない。
 仕方なく、僕は授業に集中することにした。勉強していれば、変なことは考えない。休み時間も、無駄に難しい呪文を暗記し続けた。
 そうこうしている内に、ようやくお昼休みになった。
;☆画面を真っ暗にする
;☆画面を元に戻す
【△△△△】
「あと、2時限……」
 気を張り詰めていたおかげで、ここまでは何事もなく過ごすことができた。
 だけど油断は禁物だ。一度でも勃起したら、これからの僕の学校生活は暗黒に包まれてしまう。
 今日はお昼ご飯もなしにしよう。空腹にして食欲が強くなれば、少しはあっちの欲求が紛れるかも知れない。
 みんながお弁当を食べているのを横目に、僕は自習勉を続けた。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
 声と共に、教科書に影がかかった。
【△△△△】
「な、なんですか? 〇〇〇〇さん」
;●〇〇〇〇
 僕の机の前には、〇〇〇〇さんが立っていた。
 少しだけ声が震えてしまったけど、それも仕方ない。
 この人には昨日あんなことをされて、それが今でも継続中なんだから。これで普通に話ができる人がいたら、その人の心臓は毛むくじゃらに違いない。
【〇〇〇〇】
「……きて」
 それだけ言うと、〇〇〇〇さんは教室から出ていった。
;●なし
 僕がついてくるかどうかさえ確認しない。まるで僕がついてくると確信しているみたいに。
 そして悔しいことに、その考えは間違っていないのだった。

;■屋上
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんに連れていかれたのは、校舎裏だった。てっきり魔法研究室に連れていかれると思っていたので、意外だった。
【〇〇〇〇】
「……今朝、本を読んだ」
 唐突に、〇〇〇〇さんが話し始めた。
【△△△△】
「はい?」
【〇〇〇〇】
「……そしたら、いい精液を取るためには、適度な興奮が必要だって書いてあった」
 〇〇〇〇さんの話は相変わらず取り留めがなくてわかりにくかったけど、なんとなく、僕にとって良い話ではないような気がした。
【〇〇〇〇】
「……今日、アナタをずっと見てた」
【△△△△】
「そ、そうなんですか」
【〇〇〇〇】
「……アナタはずっと勉強してばかりで、ちっとも興奮してない」
【△△△△】
「いえ、あのですね〇〇〇〇さん……」
【〇〇〇〇】
「……確かに学生の本分は勉強だけど、それだと私が困る」
【△△△△】
「や、ちょ、ちょっと待ってくださいよ……!」
【〇〇〇〇】
「……だから、私が興奮させることにした」
【△△△△】
「こ、興奮!?」
(何言ってるんだこの人は! そんなことしたら、僕の股間が……!)
【△△△△】
「ま、ままま待ってください〇〇〇〇さん! そそ、それはっ! だ、だめというか、なんというか!」
 恐怖でパニックになってしまって、言葉がまとまらない。
 言葉で逃げられないなら、身体で逃げるしかない。
;△足を引く音(ザザ、みたいな、砂と靴裏の擦れる音)
 そう思って足を一歩引いた瞬間、まるで地面に穴が開いたみたいに、僕の上体が落ちた。
(あ、こ、腰が、抜けた……!?)
 これで逃げる手段はなくなった。
 尻餅をついた僕は、そのまま必死で後退りをした。
 しかし当然ながら、腰の抜けた僕よりも〇〇〇〇さんのほうが早い。あっと言う間に追いつかれてしまった。
 両手を掴まれ、引き寄せられる。
;☆画面を真っ暗にする
;△心臓の音(ここからしばらく流し続ける)
(ああ、もう駄目だ)
 僕は諦めて、これから来る股間の激痛に備えることにした。目を閉じ、歯を食いしばる。
 僕の手はそのまま引っ張られて、手のひらを固い何かに押し当てられた。
;△心臓の音終わり
(なんだ?)
 感触は、何かの布地のようだった。布地越しに体温が伝わってくるから、〇〇〇〇さんの身体のどこかを触っているのは間違いない。
 だけど、女の子にこんな固くて広い部分があっただろうか?
 気になって、僕は目を開いた。
;☆CG希望(入れられない場合、テキストを一部変更します)
 僕の手は、〇〇〇〇さんの胸に当てられていた。
(え、胸……?)
 これが成長期を終えた女性の胸の感触なのか?
 それはもう真っ平らで、男のそれとほとんど変わりなかった。その気になれば、手探りで肋骨の数が数えられそうだ。これじゃあ全く興奮できない。
 しかも、目の前の〇〇〇〇さんの顔がいつもと同じ無表情だったから、余計に興奮できなかった。
 これで照れたような表情をしていたならまだ興奮できたかも知れないのに、〇〇〇〇さんときたら授業で魔法薬を作っている時と同じ表情をしているので、否が応でも、これが研究の一環だということを思い知らされた。
【〇〇〇〇】
「…………」
 〇〇〇〇さんは何も言わない。どうやら僕の反応を待っているようだ。
 どうしよう。ここは、素直に感想を言っておくべきだろうか。それとも、興奮したようなフリをしておいたほうがいいんだろうか。
【△△△△】
「〇〇〇〇さん、あの……」
【〇〇〇〇】
「……なに」
;☆選択肢
; 胸がないので興奮できません。
; すごく興奮します!
;☆すごく興奮します! を選択した場合
 僕は一度つばを飲み込んでから、意を決して言葉を発した。
【△△△△】
「す、すごく興奮します!」
;☆〇〇〇〇をしかめ面に
【〇〇〇〇】
「…………」
 せっかくコメントしたのに、〇〇〇〇さんはまだ何も言ってくれない。
 しばらく、無言の気まずい時間が流れた。
;☆〇〇〇〇の表情を元に戻す
【〇〇〇〇】
「……興奮、する?」
【△△△△】
「はい! すご、く……」
 元気良く返事をしたものの、〇〇〇〇さんの冷たい視線に射すくめられて、その後の言葉は尻すぼみになってしまった。
 〇〇〇〇さんに見つめられると、嘘をつくことがこの上ない罪のように思えてくる。そういう魔法だと言われたら、信じてしまいそうなくらい不思議な力だった。
【〇〇〇〇】
「…………」
【△△△△】
「…………」
 〇〇〇〇さんは何も言わない。僕も何も言えない。気まずい時間に、なかなか終わりは来ない。
 〇〇〇〇さんが僕の嘘に気付いているのかどうかはわからない。〇〇〇〇さんには表情がないから、わかりようがない。
 だからと言って、自分から聞くわけにもいかないから、僕は黙るしかない。
 どこかから、誰かの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。きっと馬鹿話に花を咲かせているんだろう。うらやましい。
 僕は昼休みに、いったい何をしているんだろう。
 わかってる。〇〇〇〇さんの胸を触っているんだ。
 なのになんでこんな追い詰められたような気分にならないといけないんだ。普通なら、飛び上がって喜ぶようなシチュエーションなのに。
 〇〇〇〇さんも、僕の嘘に気付いているならそう言ってくれればいいのに。問い詰められて、罵られたほうが楽なのに、そうしないのは、やっぱり〇〇〇〇さんだからだろうか。確かに怒ったり人を罵ったりしてる〇〇〇〇さんは想像がつかない。
 この追い詰め方は〇〇〇〇さんらしいやり方だけど、かなりいやらしいし、精神に応える。
 こんなに辛い沈黙は、生まれて初めてだった。実際には20分程度の時間のはずだけど、僕には1時間ぐらいに感じられた。
;☆画面を真っ暗にする
;☆画面を元に戻す
 予鈴のチャイムが聞こえた。あと5分で昼からの授業が始まる。
【〇〇〇〇】
「……終わり」
 〇〇〇〇さんはそう言うと、僕の手を解放した。
;☆CG終わり
 立ち上がって、服についた埃を払う。
 最後まで、何も言われなかった。ただ胸に手を押し当てられるだけだった。だけど僕の精神は疲れきっていた。
【△△△△】
「あの、〇〇〇〇さん……」
【〇〇〇〇】
「……なに?」
【△△△△】
「…………」
 本当は僕の嘘に気付いていたんでしょう? と言いたい気持ちを、ぐっと堪えた。
 これを言ってしまうと、完全に認めてしまうことになる。
【△△△△】
「なんでも……ないです」
 僕がそう言っても、〇〇〇〇さんは動こうとはしなかった。
 しばらくして、辺りが静かになってきたところで、ようやく〇〇〇〇さんが動いた。
;●なし
 僕に背を向け、教室のほうへと歩き出す。
 〇〇〇〇さんが角を曲がって、姿が見えなくなったところで、僕は立ち上がり、教室に向かって歩き出した。
【△△△△】
「はあ……」
 人知れずため息をつきながら、僕も角を曲がる。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「うわ!?」
 そこに〇〇〇〇さんがいた。
 まだ教室に行っていなかったんだ。
 思いがけず近い距離に、僕は慌てて飛びのいた。
【△△△△】
「な、なんですか〇〇〇〇さん」
【〇〇〇〇】
「……放課後」
【△△△△】
「放課後?」
【〇〇〇〇】
「……放課後、研究室にきて」
【△△△△】
「は?」
(何言ってるんだ〇〇〇〇さんは。行くに決まってるじゃないか。じゃないと魔法が解けないんだから)
【△△△△】
「それは……行きますけど」
 僕がそう言うと、〇〇〇〇さんはこくんと頷いて、今度こそ教室に向かって歩いていった。
(なんだったんだ、いったい)
 胸に渦巻く疑問を抱えながら、僕も教室に向かった。

;☆胸がないので興奮できません。を選択した場合
 僕は一度つばを飲み込んでから、意を決して言葉を発した。
【△△△△】
「む、胸がないので興奮できません……」
;△空気が張り詰める音
;☆一瞬青白くする
 昨日〇〇〇〇さんの要求を断った時と同じ冷たい空気が、辺りに広がった。
 ピリピリとした空気は、肌に痛いと感じるほどだった。
【〇〇〇〇】
「……そう」
;☆CG終わり
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんは僕の手を離し、ゆっくりと立ち上がった。
【△△△△】
「すすっすみません! すみませんでしたっ!」
 急いで謝ったけど、どれだけ意味があるのかはわからなかった。だって僕が興奮できないのは事実なんだから。
 それでもひたすら謝るしかない。なにせ僕はナニを人質(?)に取られているのだから、〇〇〇〇さんの機嫌を損ねるわけにはいかない。
【△△△△】
「本当にすみませんでした!」
 僕も立ち上がって腰を折り、頭を下げた。
【〇〇〇〇】
「……なんでアナタが謝る?」
【△△△△】
「はひっ」
 別に脅し文句ってわけでもないのに、その言葉には僕を黙らせるだけの凄みがあった。
【〇〇〇〇】
「……興奮できないなら、違う方法にするしかない」
【△△△△】
「え、いや、あの……」
 僕が弁明する暇もなかった。〇〇〇〇さんは一歩近づいてくると、服の上から僕の金玉を掴んだ。
 射精した時の優しい掴み方じゃない。その前の、鷲掴みのほうだった。
;☆画面揺らす
;●なし
【△△△△】
「ぐおpぎょwぱぎrがあぁ!」
 勃起した時の魔法の痛みよりも遥かに痛い!
 これは興奮させる触り方じゃない! 
(潰される! このままだと絶対に潰される!)
 痛みの中で、この状況から逃れる方法を考えたけど、そんな方法があるはずがない。
 僕はただ掴まれ、握られ、されるがままだった。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「…………」
 やがて疲れたのか、それとも許してくれたのか、〇〇〇〇さんが僕の金玉から手を離した。
;●なし
【△△△△】
「はあ、はあ、はあ……」
 僕の全身は汗びっしょりで、息は絶え絶えになっていた。
 震える手で、自分の股間に手を当てて、確認した。
(ほ……、良かった)
 どうやら玉は潰れていないらしい。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「は、はい!」
 僕は慌てて顔を上げた。
 そこで目に映った〇〇〇〇さんの顔は、まるっきりいつもと変わりなかった。その顔だけ見たら、とても〇〇〇〇さんが怒ってるとは思えない。
 だけど怒ってる。絶対に怒ってる。
 怒ってなかったら、いくら〇〇〇〇さんでも、さっきみたいな掴み方はしないはずだ。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「な、なんでしょう……」
【〇〇〇〇】
「……放課後、研究室にきて」
【△△△△】
「は?」
(何言ってるんだ〇〇〇〇さんは。行くに決まってるじゃないか。じゃないと魔法が解けないんだから)
【△△△△】
「それは……行きますけど」
 僕がそう言うと、〇〇〇〇さんはこくんと頷いて、教室に向かって歩いていった。
(なんだったんだ、いったい)
 胸に渦巻く疑問を抱えながら、僕も教室に向かった。

;シーン002'
;シーン002「胸揉み」の代わりとして書いたものです。001や003との繋がり方が不完全ですが、後程直す予定です。

;■魔法研究室
【△△△△】
「なんだ、これ……」
 その日、僕が嫌々ながらも魔法研究室に足を運ぶと、〇〇〇〇さんはまだ来ていないようで、中には誰もいなかった。
 その代わり、昨日はなかった物が1つ、いや、1着、壁に掛けられていた。
;△扉が開く音
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
 僕がソレを観察していると、〇〇〇〇さんが部屋に入ってきた。
【〇〇〇〇】
「……気に入った?」
【△△△△】
「あ、〇〇〇〇さん。
 いや、気に入ったというかなんと言うか……。 あの、コレ、なんなんですか?」
;●なし
 ソレは、1着の制服だった。
 〇〇〇〇さんが今着ている制服によく似てるけど、色が違う。〇〇〇〇さんが着ているのは青を基調にした物だけど、壁に掛けられているのはそれよりも少し**っぽい色をしていた。
;**の部分はCGができてから書き加えます。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……私の、昔の制服」
【△△△△】
「あ、そうなんですか」
 言われてみれば、今〇〇〇〇さんが着ているのよりも少し小さい。
 だけど、まだわからないことがある。
【△△△△】
「なんでそんな物が、ここにあるんですか?」
 着古した服を捨てずに取っておくのは、まあ理解できる。
 だけどそれを、今日この日にこの場所へ持ってくる理由が、まったく理解できない。
【〇〇〇〇】
「……そんなの、決まってる」
【△△△△】
「決まってるんですか」
 頭のいい人の思考は、僕には想像もつかない。
 僕とは違う人種なんじゃないかと思う時があるぐらいだ。
【△△△△】
「あの、頭の悪い僕のために、わかりやすく説明して貰ってもいいですか?」
 言ってから、ちょっと卑屈っぽい言い方だったかな、と不安になった。
 だけど〇〇〇〇さんは少しも気分を害した様子もなく、話してくれた。
【〇〇〇〇】
「……△△△△に着せるため」
【△△△△】
「あ、なんだ、そうなんですか」
【〇〇〇〇】
「……そう」
【△△△△】
「へー、僕に着せるためですかぁ」
【〇〇〇〇】
「…………」
…………。
【△△△△】
「はあ!?」
【△△△△】
「な、ななななんで! なんで僕がコレを着ないといけないんですか!」
 思わず納得しかけたけど、その目的はおかしい。何がおかしいって、それを当たり前のように口にする〇〇〇〇さんが一番おかしい。
【〇〇〇〇】
「……なんでもなにも」
【△△△△】
「着ないですよ! 着れる訳ないでしょう!」
【〇〇〇〇】
「……△△△△は私より小さいから、問題なく着れる」
【△△△△】
「人が気にしてることをさらっと口にしないでください!」
 ここまでまったくそんな描写はなかったのに!
 〇〇〇〇さんのせいでブチ壊しだ!
【△△△△】
「それに僕が着れないって言ってるのはそういうことじゃなくて! 女の子の服を男の僕が着れる訳ないってことですよ!」
【〇〇〇〇】
「……ちゃんと洗濯はしてある」
【△△△△】
「そういうことでもないし、どうせなら洗濯してないほうがイイに決まってるじゃないですか!」
 あれ? 怒りのあまり自分が何を言ってるのかわからなくなってきたぞ?
【△△△△】
「とにかく、絶対に着ませんよ!」
【〇〇〇〇】
「……絶対に?」
【△△△△】
「絶対に!」
【〇〇〇〇】
「……着ない?」
【△△△△】
「着ません!」
【〇〇〇〇】
「……そう」
【△△△△】
「…………」
【〇〇〇〇】
「…………」
 〇〇〇〇さんは、それきり押し黙ってしまった。そうなると、僕のほうも何も言えない。
(まったく、〇〇〇〇さんは何を考えてるんだ。女装だなんて)
 僕はかなり腹が立っていた。
(このまま帰ってやろっかな)
 話の流れからしたら、むしろ帰るべきなのかも知れないけど、それができない空気が辺りに満ちていた。
 心なしか、沈黙が痛い。
 〇〇〇〇さんは表情が変わらない。だから何を思ってるのかさっぱりわからないんだけど、わからないからこそ、想像してしまう。
 僕の言葉で、傷ついてるんじゃないかって。
【△△△△】
「…………」
【〇〇〇〇】
「…………」
 耐えられない。この空気が。
 僕は、ついに口を開いた。
【△△△△】
「あの……理由次第では、着てもいいですよ」
(なんで僕が譲歩しないといけないんだ)
 弱い自分が、堪らなく嫌になる。
 これも〇〇〇〇さんの計算ずくだとしたら、僕はとんだ道化だ。
【〇〇〇〇】
「……理由? 理由は……」
 これで「ない」とか言ったら、今度こそ帰ってやろうと思いながら、僕は次の言葉を待った。
【〇〇〇〇】
「……男が、嫌だから」
 男が、嫌。
 昨日も帰り際にそんなことを言っていた。
 男が、嫌。
 どうしてそこまで男を毛嫌いするのだろうと気になったけど、僕と〇〇〇〇さんは、そこまで踏み込める仲じゃない。
【△△△△】
「精液を使った研究なんか、やめたらどうですか?」
 深く考えて言った言葉じゃなかった。
 ただ、男嫌いの原因を聞く訳にもいかないから、間を持たせるために言っただけだった。
 だけど、それに返ってきた言葉は、
【〇〇〇〇】
「……やめない」
【△△△△】
「…………」
【〇〇〇〇】
「……やめない」
 今までになく、真剣味のある言葉だった。
 よく考えれば、言うまでもないことだった。僕に言われなくても、〇〇〇〇さんはやるかやらないかで、悩んだに決まってるんだ。
 それでもやると決めた。そこには、僕の及びもつかないような、すごい決心があるはずなんだ。
【〇〇〇〇】
「……アナタが女の格好してくれたら、ちょっとは嫌じゃなくなると思って」
(それで考えたのが、女装か)
 確かに、名案といえば名案だ。少なくともやる価値はあると思う。
 僕は、ため息をついた。
 どうしてため息をついたのか。それはもちろん、僕も決心がついたからだ。
【△△△△】
「わかりました。着ます」
 言ってすぐに、僕は服を脱いだ。
 途中で止まると恥ずかしくなるかも知れないから、勢い任せにパンツまで全部脱いだ。
(いや、パンツは脱ぐことなかったかな?)
 下着まで女装する訳じゃないんだから……と考えていたら、
【〇〇〇〇】
「……はい、これ」
 〇〇〇〇さんが、僕の足元に何かを投げた。
 それは下着だった。女物の。
 いやいやいやいや!
【△△△△】
「ちょ、ちょっと待ってください〇〇〇〇さん。脱いだ僕が言うのもどうかと思いますけど、下着まで替えなくてもいいでしょう?」
【〇〇〇〇】
「……でも、脱がした時に男のを穿いてたら、萎える」
【△△△△】
「あんたはオッサンか!」
【〇〇〇〇】
「……それに、さっき△△△△は、着ますって言った。
 ……あれは、嘘?」
【△△△△】
「~~~~っ!」
 言いくるめられてる。
 絶対に言いくるめられてる。
 だけどここまで来たら、逃げるのはなんか悔しい。
【△△△△】
「わかりましたっ!」
 そう言って僕は、女物の下着を手に取った。
 すべすべの肌触りと、宙に浮いていきそうな軽さに若干の焦りを覚える。
(ためらうな。ためらったら負けだ)
 怖じ気づきそうな自分を無理矢理に鼓舞して、ひと思いに足を通した。
【△△△△】
「あ、」
 そこで気づいた。
(これ、誰のだ?)
 詳しい値段はわからないけど、見るからに高そうな下着だ。学校の購買には、売ってるような物じゃないだろう。
 ということは、外の下着専門店とかで買ってきたに違いない。僕に穿かせるためだけに、〇〇〇〇さんがそこまで足を運んだ? もちろんそれも考えられるけど、でも、もしかしたら……
【〇〇〇〇】
「……早く穿いて」
【△△△△】
「あ、は、はい!」
 僕はそれでも少し悩んでいた。
 悩むに決まってる。もしかしたらこれは、〇〇〇〇さんが穿いたことのある下着かも知れないんだ。
 だけど悩んでいたら、いつまでも終わらない。
(ええい!)
 僕は今度こそ、ためらいを捨てた。
 下着を、完全に引き上げる。
【△△△△】
「く……」
 だけど、上手く穿けない。
 モノがでかすぎて、小さい下着に収まりきらない。どうしても、上か下か、どちらかにはみ出してしまう。
【〇〇〇〇】
「……どうしたの?」
【△△△△】
「いえ、上手く履けなくて」
【〇〇〇〇】
「……?」
 〇〇〇〇さんが、僕の股間をじっと見た。
【〇〇〇〇】
「…………」
 まじまじと観察する。下着からはみ出した、僕の相棒を。
 そして、一言。
【〇〇〇〇】
「……もしかして、勃起してる?」
 一番、言って欲しくない一言だった。
【△△△△】
「いえあのっ!」
 とっさに否定しようとしたものの、紛れもなく勃起してるから、否定のしようがない。
【〇〇〇〇】
「……ショーツ穿いて、勃起してる」
 そう言われると、すごい変態に聞こえる。いや実際に変態なのか?
【△△△△】
「ち、違うんです! これはその……」
【〇〇〇〇】
「……女装で、興奮……」
【△△△△】
「…………、」
 何も言えない。
 文字通り、ぐうの音も出ない状態になってしまった。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
 〇〇〇〇さんが、やけに小さい声で僕の名前を呼んだ。
【△△△△】
「な、なんでしょう、〇〇〇〇さん……」
【〇〇〇〇】
「……これで女装に目覚めても、私のせいにはしないで」
【△△△△】
「…………………………はい」
 いつもと変わらないはずの視線が、なぜか冷たく感じられた。
;■フェードアウト
;■フェードイン
 着替えが終わった。
 どうやって着るのかわからないところがいくつかあったけど(ブラの留め方とか)、〇〇〇〇さんに手伝ってもらって、なんとか着ることができた。
 全体的に、締め付けがキツい。股間はもちろんのこと、ブーツを穿いた足も、腹回りも、パッドを入れた胸も、息苦しかった。
 〇〇〇〇さん曰く、服が小さいんじゃなくて、女物の服はそういう物なんだそうだ。
【〇〇〇〇】
「……予想外」
 その〇〇〇〇さんは、完成した僕を眺めながら、何かをぶつぶつと呟いていた。
【〇〇〇〇】
「……こんなに、似合うなんて」
 〇〇〇〇さんがなんて言ってるのかは聞こえなかったけど、僕はとにかくこの服を脱ぎたくて堪らなかった。
【△△△△】
「あの、〇〇〇〇さん。するなら、早くしませんか?」
 僕がそう言うと、〇〇〇〇さんは顔を上げて、僕の目を見た。
【〇〇〇〇】
「……そんなに、抜いて欲しい?」
【△△△△】
「いえ、そうじゃな……」
【〇〇〇〇】
「……でもその前に、これは見といたほうがいい」
 〇〇〇〇さんが強引に僕の手を引く。
 抵抗しようと思えば抵抗できる力だったし、〇〇〇〇さんの人の話を聞かないところには若干腹が立っていたけど、気の弱い僕は結局、〇〇〇〇さんにされるがまま、手を引かれていくことにした。
 部屋の外に連れていかれたらどうしようとか考えていたけど、そんなことはなく、連れていかれたのは立ち鏡の前だった。
 真正面から見たその鏡には……
;☆CG
【△△△△】
「う、わあ……」
 見たことのない少女が、映っていた。
【△△△△】
「これが、僕……」
 鏡の前で手を振って、その少女が自分と同じように動くことを確認する。それでも信じられなかった。
【△△△△】
「可愛い……」
 そう、可愛いかった。
 自分自身に欲情してしまいそうなほど、その姿は可愛いかった。
 鏡の向こうの自分に、しばし見とれる。
【△△△△】
「すごいですね、〇〇〇〇さん。……〇〇〇〇さん?」
 そこで僕は、後ろに立っている〇〇〇〇さんがさっきからずっと黙っていることに気づいた。確かに〇〇〇〇さんは無口な人だけど、ここまで黙っているのはおかしい。
【△△△△】
「どうしたんですか? 〇〇〇〇さ、
;☆CG △△△△驚き
ひゃっ!?」
 思わず飛び上がるほどのこそばゆさだった。
 〇〇〇〇さんがスカートの中に手を入れて、僕の太股を撫で回していた。
;☆CG △△△△恍惚
【△△△△】
「な、なにして、〇〇、あ、あぁ……」
 文句を言いたいのに、言えない。
 それどころか、言葉すらうまく発せない。
 少し冷たい〇〇〇〇さんの手に撫でられると、その部分が熱を持ったように熱くなる。
【△△△△】
「ぁん、あ、〇〇〇〇、ひゃぁん、……や、やめ、ぁあんっ、」
 女装してるせいか、喘ぎ声まで女っぽくなる。これじゃあまるで、僕も一緒に女装を楽しんでるみたいだ。そんなこと、絶対にないのに。間違ってもないのに。
【〇〇〇〇】
「……やっぱり、このほうが嫌じゃない」
【〇〇〇〇】
「……ううん、ちょっと、楽しいかも」
;☆CG △△△△逝き顔
【△△△△】
「あぁあ~っ!!」
 〇〇〇〇さんの手が、さらに上へと伸びた。
;☆CG △△△△恍惚
 そこには、興奮のために下着からはみ出している、僕のぺニスがあった。
 指先が、一瞬だけそれに触れる。
;☆CG △△△△逝き顔
【△△△△】
「ひゃぁあんっ」
 思わず腰を引いてしまう。お尻が〇〇〇〇さんに当たってしまったけど、それを謝る余裕もない。
;☆CG △△△△恍惚
【〇〇〇〇】
「……すごい感じてる。アナタも、女装のほうが楽しい?」
【△△△△】
「ちが、ちがうんですこれは!」
【〇〇〇〇】
「……どう違うの?」
 言いながら、〇〇〇〇さんが僕のぺニスを掴んだ。
 大きくなっていた僕のぺニスが、さらに大きく、固くなる。
;☆CG △△△△逝き顔
【△△△△】
「ぃやああ~っ!」
【〇〇〇〇】
「……やっぱり、感じてる」
;☆CG △△△△恍惚
 身体は嘘をつけない。
 僕という男は、女装して、ビンビンに勃起させたぺニスを女の子に触られて興奮している変態だった。
(いやだ、もう……)
 僕は目の前に置かれた鏡を見るのが辛くて、目を閉じた。
;■黒
 そうすると余計に、〇〇〇〇さんの手の動きに神経が集中してしまう。
【〇〇〇〇】
「……すごい濡れてる。まだ擦ってないのに」
【〇〇〇〇】
「……びくびくしてる。脈打ってるだけ? それとも、感じてるから?」
 〇〇〇〇さんの言葉が、僕を攻める。
 それと同時に、吐息が耳にかかる。わざとやっているのか、それとも偶然なのか。股間と、耳と、そして言葉と。3箇所の同時攻めに、僕は逝きかけ寸前だった。
【〇〇〇〇】
「……見て」
 〇〇〇〇さんが、僕のぺニスを握りながら言った。
【〇〇〇〇】
「……アナタのぺニス、すごくおっきくなってる」
 正直、見たくない。
 だけどこれで見なかったら、どんな目に遭わされるかわからない。僕は仕方なく目を開けて、目の前の鏡を見た。
;☆CG 扱き
 可憐な少女が、〇〇〇〇さんに攻められていた。
 自分の変態さをまざまざと見せつけられてるような気分だった。ぱっと見は女の子どうしにしか見えないから、余計に背徳的な画になっていた。
【△△△△】
「いやだ、もう……。早く、早く終わらせて……」
【〇〇〇〇】
「……そんなに、抜いて欲しい?」
 〇〇〇〇さんの言葉が、僕の自尊心を責め立てる。だけど僕にはもう、それを否定する心の余裕すら残されていなかった。
;☆CG△△△△逝き顔
【△△△△】
「そうです! 抜いて欲しいんです!」
 大声で叫ぶ。その時、僕の中で大事にしてきた何かが壊れたけど、それを後悔はしなかった。いっそ清々しいとさえ思えたほどだった。
【△△△△】
「お願いです! 僕のぺニスを〇〇〇〇さんの手で扱いて、逝かせてください!」
【〇〇〇〇】
「……わかった」
 そう言うと、〇〇〇〇さんが手を上下に動かした。
 だけど弱い。全然物足りない。
【△△△△】
「もっと、もっと早くです〇〇〇〇さんん~っ!」
【〇〇〇〇】
「……いや」
【△△△△】
「え!?」
 〇〇〇〇さんから、まさかの拒否反応。
【△△△△】
「どうして!?」
【〇〇〇〇】
「……ノリノリの△△△△が気持ち悪いから」
【△△△△】
「えぇえっ!」
【〇〇〇〇】
「……と言うのは冗談で」
【△△△△】
「…………」
 こんな時に、似合わない冗談はやめて欲しい。
【〇〇〇〇】
「……疲れた。……しんどい」
【△△△△】
「でもっ、昨日はもっとシテくれたじゃないてすか!」
【〇〇〇〇】
「……あれで筋肉痛」
 ひ弱すぎる。
【〇〇〇〇】
「……だからムリ」
【△△△△】
「そこをなんとか!」
 自分で扱くことも考えたけど、やっぱり最後は〇〇〇〇さんの手で逝きたい。
【△△△△】
「お願いします〇〇〇〇さん! 〇〇〇〇さんに扱いてもらわないと、気持ち良くなれないんです!」
 しばらく、考え込むような間があった。
【〇〇〇〇】
「……それじゃあ、5回だけ」
【△△△△】
「5回!? せめて5秒……」
【〇〇〇〇】
「……だめ。5回の間に、射精して」
【△△△△】
「でも……!」
【〇〇〇〇】
「……1」
 問答無用で、〇〇〇〇さんの全力手コキが始まった。全力というだけあって、そのスピードは僕が自分で逝く時のスピードにも匹敵する。5回の合計ですら、1秒にも満たなかっただろう。
 半ば不意討ちだった。だからこそ、身体が敏感に反応した。
【〇〇〇〇】
「2」
 目の前には鏡がある。その向こうで行われる、擬似百合的光景。そしてこちらでは、〇〇〇〇さんが僕のぺニスを扱いている。
 これで興奮しない訳がなかった。
 身体が、震えて……
【〇〇〇〇】
「3」
【△△△△】
「あぁあ~んっ!!」
 5回もいらなかった。
 3回目にして、僕は逝った。
 ぺニスの芯を精液が駆け抜ける快感。
 そしてそのあと、いつもと同じ虚脱感があった。
 

;シーン003
;■魔法研究室
 授業が終わり、魔法研究室に向かった僕は、着くなり、〇〇〇〇さんから服を脱ぐように指示された。
 これで2回目とは言え、やっぱり女の子の前で裸になるのは抵抗がある。
 だけどここで抵抗したら昨日の二の舞だ。ノーパンで帰るのは、もうあれっきりにしておきたい。
 そんなわけで、数分後には上から下まで真っ裸になった僕がいた。なんだかすっかり〇〇〇〇さんに手なずけられているような気がするけど、できれば気のせいであって欲しい。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「…………」
 〇〇〇〇さんは、昨日と同じように僕の股間を凝視していた。2回目なのに、そこまで見たいものなのかな……と思ったら、そうじゃなかった。
 確かに陰部を見せるのは2回目だけど、今日は昨日と違って勃起していないんだ(勃起すると痛いから)。
【〇〇〇〇】
「……ちっちゃい」
 何気に傷つく一言を、ぼそっと口にされた。
【〇〇〇〇】
「……どうして、ちいさい?」
 〇〇〇〇さんが、僕の陰部を見たまま尋ねてきた。
(話をする時ぐらいは、そこじゃなくて目を見てくれないかな)
 心の中ではそう思っても、もちろん口には出さない。
【△△△△】
「それは……、ぼ、勃起してないからです」
 なんでこんなことを言わないといけないのかと思う。
 僕は今、すごく恥ずかしいセリフを言わされた。なのに〇〇〇〇さんときたら、まったく表情が変わらないから、恥ずかしがってる僕のほうがおかしいような気がしてくる。
(きっと〇〇〇〇さんは、僕に恥ずかしいセリフを言わせてるつもりなんてないんだろうな……)
 男のモノを見るのは初めてじゃないっていうのも、疑わしくなってきた。
【〇〇〇〇】
「……勃起してない。
 ……つまり、興奮してない?」
【△△△△】
「はい、まあ……」
(勃起したら激痛が走るんだから、当たり前じゃないか)
 昨日は、〇〇〇〇さんに見られただけで勃起してしまったけど、2回目で、しかもこんな呪いをかけられた状態で興奮するほど、僕はエロくない。
 と言うか、〇〇〇〇さんは僕にかけた魔法のことを忘れてるんじゃないだろうか? 今日の昼のことといい、まるで僕が興奮していないことを攻めるような口ぶりだ。
【〇〇〇〇】
「……昨日で、慣れた?」
【△△△△】
「いえ、あ、まあ……、見られても勃起しない程度には」
【〇〇〇〇】
「……そう」
 〇〇〇〇さんは表情が変わらない。だから何を考えてるのか、さっぱりわからない。
 それが余計に、僕の不安を募らせる。
【〇〇〇〇】
「……じゃあ今日は、昨日よりもすごいのにする」
【△△△△】
「え? でもそれって……」
 呪いを解いてからですよね? と聞くのは、残念ながら間に合わなかった。
;☆シーン1のCG
 その前に、〇〇〇〇さんの手が僕の局部をやさしく持ち上げた。
【△△△△】
「!!」
 たおやかな手のひらで、包み込むように。強く握るのではなく、ソフトに、労りのこもった愛撫。
 これにはたまらず、勃起してしまった。いや、呪いがかかっているから勃起できないわけで、結果僕は……、
;☆CG終わり
;●なし
;☆画面を揺らす
【△△△△】
「ぐぎゃああああ!!」
 獣じみた咆哮をあげながら、研究室の床の上をのたうちまわることになった。
 昨日一晩で、僕はこの呪いについてある程度学習した。どうやらこの呪いは、興奮の度合いに応じて痛み方も変わるらしい。つまり興奮すればするほど、痛みも激しくなる。
 昨日も相当な痛みだったけど、この痛みはその比じゃなかった。まるで股間にだけ超重力魔法をかけたかのような痛みに、僕は女みたく涙を流して身もだえした。
【△△△△】
「ああがぐあぁあ! あぐっ! ぐあが、ああ! ……」
 痛みによって興奮が収まり、それに従って痛みもひいていった。
【△△△△】
「う、ぐうぅ、あふ、ふぅ……、」
 僕は、床に額を押し付けてケツを突き上げるという、かなり無様な格好をしていた。それが気にならないぐらい、酷い痛みだった。
;☆画面を真っ暗にする
【△△△△】
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 目をつぶり、荒れた息を整える。
 だんだん落ち着いてきて、そろそろ顔を上げようかと思った時……、
【△△△△】
「はうっ!」
 下腹部に違和感が走った。
;☆CG
 生まれて初めての感覚だった。普通ならありえない、身体の中から触られるその感覚は、とても気持ち悪くて、少しだけ気持ちいい、不思議な感覚だった。
 目で見て確認するまでもない。〇〇〇〇さんが、僕の肛門に指を突っ込んでいるんだ。
 驚きよりも、戸惑いが大きかった。
【△△△△】
「な、なんで……」
 震える声で尋ねようとした僕に、〇〇〇〇さんはいつも通りの淡々とした声で答えた。
【〇〇〇〇】
「……男の性感帯は、大腸壁にもあると聞いた」
 違う。
 確かにそれも聞きたかったけど、本当に聞きたいのは別のことなんだ。
【△△△△】
「いえ、そうじゃなくて……。なんで、そんな汚いところに指を入れたのかって……」
 考えてみれば、おかしな質問かも知れない。〇〇〇〇さんはちゃんと理由を言ってるんだから。
 でも僕には、〇〇〇〇さんがそんな理由だけでそんなことをする人には思えなかった。と言うか、昨日のことだけでも僕の中の〇〇〇〇さんが壊れかけてるのに、どこまでやれば気が済むんだという感じだ。
【〇〇〇〇】
「……大丈夫。
 ……ちゃんと手袋してる」
【△△△△】
「手袋、ですか」
 言われてみれば確かに、この感じは素肌の感触じゃなくて、実験とかで使う手袋の感触だ。
(僕の扱いは実験材料と同じか……)
 それはそれで、なんだか虚しい。
【〇〇〇〇】
「……それで、どう? 入れられて、気持ちいい?」
【△△△△】
「どうと言われても……」
 ここまで普通に会話できてることからもわかるように、今の僕はそれほど興奮していない。
 と言うより、これで興奮できる気がしない。突っ込まれてイクのは、女だけだと思う。
【△△△△】
「今のところ、そこまで興奮してません」
【〇〇〇〇】
「……これは?」
 そう言って、〇〇〇〇さんが細かく指を動かした。
【△△△△】
「お……、あ、あぁ……」
 身体の中から愛撫されるという未知の感覚。確かにこれは、ちょっと気持ちいいかも知れない。
【〇〇〇〇】
「……これは?」
 〇〇〇〇さんが、腹側の一点を強く押した。
;☆画面を揺らす
【△△△△】
「お、おあ、おあががガああァア!!」
;☆CG終わり
 一瞬だった。
 一瞬で僕は最高頂の興奮に達して、呪いによる痛みを受けることになった。
 僕はまた、床の上を転げ回る。その拍子に〇〇〇〇さんの指が穴から抜けた。
(なんだ、今のは……)
 ある一点を触られただけで、とてつもない快感が僕を襲った。扱きで得られる快感が子供騙しに思えるほどの、天にも昇るような快感だった。
(そうか。これが、大腸のセイカンタイか)
 まさか、本当にあるとは思わなかった。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……初めてにしては、上手くいった」
 僕が後ろを見ると、〇〇〇〇さんが、もう一度僕の肛門に指を入れようとしていた。
(ヤバい……!)
 普段なら、病みつきになってしまいそうなほどの快感だった。
 だけど今僕にかかっている呪いは、気持ち良ければ気持ちいいほど、その気持ち良さを痛みに変える。
 これを何度もされたら、僕は痛みでショック死するかも知れない。
;☆画面を真っ暗にする(もしくは死をイメージできるグラフィック)
 死。
;☆元に戻す
【△△△△】
「い、いやだ……」
 急に、死が身近に感じられた。
 死が、間近に迫っている。
 さっきまではどこにもいなかったのに、今はすぐそばにいるような気がした。
【△△△△】
「死にたくない……。やめて、やめてください……〇〇〇〇さん……!」
【〇〇〇〇】
「……大丈夫。死ぬことはない」
 その声に、僕を安心させようとする響きはなかった。ただ淡々と、事実だけを述べているように聞こえた。
 だけど、だからこそ、安心できた。〇〇〇〇さんの言葉に嘘はないんだと、最悪の事態だけは免れるんだと、〇〇〇〇さんを信頼していいんだと……、
【〇〇〇〇】
「……たぶん」
【△△△△】
「嫌だぁーー!!」
;●なし
 逃げた。
 服も着ずに、立ち上がることもせずに、全裸で四つん這いのまま、全力で扉に向かった。
 だけど扉に手が届く寸前。
;☆黄色いエフェクト
;△痺れる音
 身体中を痺れるような感覚が走った。
【△△△△】
「うっ……!」
;△人が倒れる音
 身体の自由を奪われた僕は、その場に崩れ落ちた。
(これは、麻痺の魔法……!)
 授業で何度か体験したからわかる。この感じは、間違いなく麻痺の魔法だ。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……どうしよう、校則違反」
 〇〇〇〇さんは僕の身の安全よりも、自分が校則違反したことを案じている。……いや、今更か。
 最初から、〇〇〇〇さんは僕のことなんて少しも考えていなかった。ずっと、実験のことばかりで、僕は単なる材料としか思っていない。
【〇〇〇〇】
「……だけど、アナタが逃げようとしたせいだし、条件反射だから、正当……正当攻撃かも」
 正当な攻撃なんかありません、と言いたいけど、麻痺の魔法にかかっているせいで話すこともできない。
;●なし
 ゆったりと近づいてきて床の上に正座した〇〇〇〇さんが、僕の下半身を持ち上げて、さっきと同じ姿勢にした。
;☆CG
 さらに両手の親指で、僕の尻の穴を強引に広げる。
【〇〇〇〇】
「……ヒトの肛門のなか見たの、はじめて」
 顔が動かせないから見えないけど、僕の肛門に顔を近づけて観察している〇〇〇〇さんが、容易に想像できた。
【〇〇〇〇】
「……くさい」
 裸を見られるよりも、射精を見られるよりも恥ずかしかった。便が出るところを押し広げて、中までばっちり見られているこの状況は、トイレで大をしているところを見られるのに近いものがあった。
【〇〇〇〇】
「……2本、入る?」
 〇〇〇〇さんが片手の親指と人差し指で穴を広げながら、もう一つの手の人差し指と中指を、僕の中に入れてきた。
【△△△△】
「…………! …………!」
 興奮と共に、凄まじい痛みがやってくる。
 さっきので身体が覚えてしまったのか、ポイントを押さなくても、指が入るだけで興奮するようになってしまった。
 麻痺の魔法のせいで、叫ぶことも、のたうち回ることもできない。この魔法が痛みも麻痺させてくれればいいんだけど、残念ながら動けなくなるだけで、五感ははっきりしているんだから堪らない。
【〇〇〇〇】
「……気持ちいい?」
 〇〇〇〇さんの指が、あの場所に触れた。
;☆画面を揺らす
【△△△△】
「ーーーーッッッ!!」
 全身が熱い。
 なによりも股間が熱い。
 痛い。
 痛いってなんだ。これは痛いのか。痛いけど、痛すぎて痛い。やっぱり痛い。痛い。痛い!
 〇〇〇〇さんが指を抜いた。と思ったらまた入れた。
 出して、抜いて、曲げて、押して、広げる。
 その動きは単調なようで複雑で、僕の興奮は収まることがなかった。呪いの痛みですら、興奮を収めてはくれない。
 それどころか、どんどん高まって、高まって……
;△ガラスが割れる音
【△△△△】
「…………ぅ、ぅぁぁ、ぅああ! ああアアア!!」
;☆CG終わり
;☆画面を真っ暗にする
 一気に、全てが解放された。
 勃起しないはずのぺニスが、飛び跳ねるように勃起した。そして同時に、精液が放出された。
 瞬間、昨日と同じ早業で、〇〇〇〇さんがカップを僕の下に差し出し、精液を受け止めた。
;☆元に戻す
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……自力で、魔法を解いた」
 カップを持つ〇〇〇〇さんは、少し驚いてるように思えた。相変わらずの無表情だったからわかりにくかったけど、声がそんな感じだった。
 麻痺が解けた僕は、すぐに立ち上がって〇〇〇〇さんから距離をとった。
【△△△△】
「〇〇〇〇さんひどすぎます! 呪いをかけたままでこんなこと……!」
 僕は基本的に、人に食ってかかったりはしない。言い合いになるぐらいだったら、自分が引き下がる。
 だけどこればっかりは、言わずにはいられなかった。
【△△△△】
「これじゃあ、拷問じゃないですか!」
【〇〇〇〇】
「……アナタが暴れるのが悪い」
【△△△△】
「麻痺のほうじゃないです! というか、暴れたのだって呪いのせいじゃないですか! 勃起できない呪いなんかかけられてたら、誰だって暴れますよ!」
【〇〇〇〇】
「…………」
 しばらく、妙な間があった。
【〇〇〇〇】
「…………あ、」
【△△△△】
「あ?」
【〇〇〇〇】
「……忘れてた」
【△△△△】
「忘れてた?」
【〇〇〇〇】
「……その呪いのこと」
【△△△△】
「…………、」
 僕は絶句した。
【〇〇〇〇】
「……失敗」
【△△△△】
「はあああ!?」
 確かにそうかも知れないと思ったこともあったけど、まさか本当に忘れてるとは思わなかった。
 もう、なんて言ったらいいのかわからない。
【〇〇〇〇】
「……どおりで、出るのが遅いと思った」
【△△△△】
「それだけ……ですか?」
【〇〇〇〇】
「……あと、勃起しないのがおかしいと思った」
【△△△△】
「………………もう、いいです」
 謝ってくれるかと思ったけど、よく考えたら〇〇〇〇さんが実験材料に謝るわけがなかった。
;●なし
 僕は諦めにも似た気持ちを抱きながら、自分の服を着た。
【△△△△】
「じゃあ僕、帰ります」
 ドアノブに手をかけながら、僕は〇〇〇〇さんに声をかけた。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……待って。子孫根絶の……」
【△△△△】
「待ちません!」
;●なし
;△ドアを開ける音
;△走る音
 僕は、即座に部屋から飛び出した。

;シーン004
;☆シーン004
;■黒
 次の日の放課後、僕は魔法研究室に行かなかった。
 〇〇〇〇さんに「後から行きます」と言っておいて、そのまま帰った。
 帰り道はドキドキだった。自分の部屋に着いてからも、しばらく動悸が治まらなかった。こんな風に後先考えず約束を破ったのは、初めてのことかも知れない。
 明日、学校に行くのが怖い。〇〇〇〇さんに会うことを考えると、もう一生学校に行きたくないぐらいだ。
(それはそれで、いいかも知れないな)
 あんな酷い目に会うぐらいなら、不登校になったほうがマシかも知れない。
 明かりを消した部屋で布団にこもりながら、そんなことを考えていた。
;△ノックの音
 扉をノックする音が聞こえて、僕は布団から顔を出した。
;■△△△△自宅 夜
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
(来た……!)
 〇〇〇〇さんが僕の部屋に来ることは予想していた。
 住んでる場所が隣なんだから、来ないほうがおかしい。
 だからこそ僕は、家に帰ってからずっと、明かりも点けずにじっとしていたんだ。
 居留守を使うために。
【〇〇〇〇】
「……△△△△?」
 〇〇〇〇さんは、何度も僕の名前を呼んだ。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
 ただ名前を呼ばれてるだけなのに、呪いをかけられてるような寒々とした気分にさせられる。
 僕は声から逃れるために布団をかぶった。
;■黒
 しばらく経つと、〇〇〇〇さんの声は聞こえなくなった。
(諦めたかな……?)
 そう思って、布団から顔を出したちょうどその時。
;■△△△△自宅 夜
;△鍵を開く音
 外側からは外せないはずのドアの鍵が、外された。
;△ドアが開く音
 そしてドアが、開けられる。
;△ドアと建具がぶつかる音
 だけどドアは、拳1個分ほど開けられたところで止まった。
 僕が置いておいた机に当たったせいだ。あれを運ぶのは苦労したけど、その甲斐があった。
;△ドアと建具がぶつかる音×2
 〇〇〇〇さんはそれでもドアを開けようとして、何度か開けたり閉めたりを繰り返していたけど、やがて無理だとわかったみたいで、物音が聞こえなくなった。
 そして今度は、ドアの隙間から〇〇〇〇さんの腕が入ってきた。その腕には、手鏡が握られていた。
【〇〇〇〇】
「……いた」
;☆CG
 手鏡には、〇〇〇〇さんの顔が映っていた。
 鏡越しに見る〇〇〇〇さんの瞳は、普通に見るのよりも冷たく、恐ろしく感じられた。
(バ、バレた……)
 僕は焦った。
 それと同時に、必死で頭を回転させた。
 放課後に魔法研究室に行かなかった理由。名前を呼ばれても返事をしなかった理由。ドアの前に机を置いていた理由。色々な言い訳を瞬時に考えた。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「はい!」
 布団から飛び出しながら、返事をした。
(最初は、何を聞かれるんだ?)
 想定される質問と、それに対する最善の答えを考える。学校のテストの10倍は頭を働かせていた。
 だけど〇〇〇〇さんが発した台詞は、僕がまったく予想しなかったものだった。
【〇〇〇〇】
「……精液、ちょうだい」
【△△△△】
「え」
 言い終わる前に、ドアの隙間から青白い何かが入り込んできた。
;☆CG蛇あり
【△△△△】
「なっ! こ、これは……!」
 それはパッと見は白蛇のように見えたけど、見れば見るほど、そうじゃないことがわかる。なぜなら、その身体にはウロコが一枚もなくて、代わりに人間と同じ皮膚があったからだ。
 まるで、人間の腕を骨抜きにして、長く伸ばしたような姿だった。
【△△△△】
「うわあああ!!」
 僕は部屋の隅まで逃げた。だけどそれで逃げ切れるはずがない。
 蛇みたいな何かは、僕のすぐそばまでにじり寄ってきて、まるで味見するみたいに僕の足を舐めた。
【△△△△】
「…………!」
 人間は恐怖が頂点に達すると、叫び声すら出せなくなるらしい。今の僕が正にその状態だった。
 蛇もどきはゆっくりと、僕の身体を這い上がってくる。肌触りも、人間の肌と同じだった。
 僕はそれを振り払いたいけど、怖くてできない。
【〇〇〇〇】
「……それは、私の式神」
 ドアの向こうで、〇〇〇〇さんが言った。
【〇〇〇〇】
「……よく使い魔と間違われるけど、それとは違う」
【〇〇〇〇】
「……使い魔は、元々いる生き物を飼い慣らす。その蛇は、私の身体の一部を媒体にして作り出して、使役してる。だから式神」
 蛇が、ついに僕の顔まで上がってきた。
 間近で見た蛇の顔は、普通の蛇と変わらないように見えた。紅い眼。鋭い牙。
 なのに皮膚だけは、人間の皮膚をしている。それがたまらなく気持ち悪い。
【〇〇〇〇】
「……式神は、使い魔と違って私の思い通りに動く。勝手に動くことはない。私の念じたままに動く」
;☆CG蛇笑い
 蛇が笑った。
 ……ような気がした。
;☆CG蛇胴体のみ
 次の瞬間、蛇の頭が、僕の衿元から服の中に入っていった。
【△△△△】
「ひうっ!」
 これには、反射的に声を上げてしまった。
 蛇が、僕の胸を、脇を、お腹を、ゆっくりと這い回っていく。
【△△△△】
「あ……、うぅ……、あぁ……」
 僕は気づいた。
 この蛇の肌は、〇〇〇〇さんの肌と同じだ。
(そうか。〇〇〇〇さんの一部から作ったからだ)
 〇〇〇〇さんに身体の中をまさぐられているような、妙な気分になってくる。
 怖いのか、気持ち良いのか、自分でもわからなくなってきた。
 蛇が、僕の下半身に到達した。いつの間にか、蛇の口でズボンとパンツは脱がされていた。
 蛇の胴体が、肉棒の回りを包み込む。
 てっきりぺニスを扱かれるのかと思ったら、そうじゃなかった。蛇の頭は、僕の肛門目掛けて進んでいった。
【△△△△】
「な、あ!?」
 昨日の記憶が甦る。
 昨日僕は、〇〇〇〇さんに指を突っ込まれた。
 あれと同じことを蛇でしようとしてるんだ。でもこの蛇は、人間の腕の太さと同じぐらいの太さがある。指2本とは訳が違う。
【△△△△】
「や、やめ……!」
 僕の制止の声は、間に合わなかった。
 蛇は一直線に僕の肛門へと進み、無理矢理に穴を押し広げながら中に入ってきた。
;☆画面を揺らす
【△△△△】
「アーーーッ!」
 股を引き裂かれるような痛みだった。
 血が出ているとしか思えない。普通は通るはずのない太さの物が、肛門を通ろうとしている。
 気持ち良さなんか皆無だった。ただ痛いだけだった。
【△△△△】
「アッ! アーーッ!」
 僕がいくら叫んでも、蛇がやめる気配はない。
 どんどん奥に入り込み、ついにあの場所まで辿り着いた。
【△△△△】
「ーーあッッ!!」
 どんなに痛くても、あの部分に触れられると敏感に反応してしまう。やめて欲しいはずが、もっとやって欲しくなる。
 裂かれる痛みと、愛撫される気持ち良さが同時にやってくる。むしろ、痛みすら気持ち良く感じられてくる。
 僕は無意識の内に、自分のぺニスを掴もうとした。だけどそこには、既に蛇が巻きついていた。
 この蛇に巻き付かれるのは気持ち良い。〇〇〇〇さんの中に入れてるような気分になれる。だけど、それだけじゃ駄目なんだ。
 動きがないと。
 前後に擦る動きがないと、射精できないんだ。
 射精したい。今すぐに射精したい。その願いを込めて、僕は〇〇〇〇さんを見た。
【〇〇〇〇】
「……まだ、だめ」
 〇〇〇〇さんの冷たい声が、僕の願いを打ち砕く。
【〇〇〇〇】
「……もっと、感じて。じゃないと、いい精液が出せない」
【△△△△】
「もう十分に感じてます! だから出させてください!」
【〇〇〇〇】
「……だめ」
 蛇が、無茶苦茶に暴れだした。
 出て、引いて、入って、曲がって、暴れる。
 その動きは、昨日の〇〇〇〇さんの指の動きと同じだった。
(だけど、だけどそれは指でやるから気持ち良いんだ!)
 こんな太い蛇でやられたら、痛いだけに決まってる。
【△△△△】
「やめ、やめてください! 痛いっ! 痛いです!」
【〇〇〇〇】
「……でも、さっきより感じてる」
【△△△△】
「そんなはずは……!」
 ない、と言おうとした。でもその前に、自分の陰部が目に入った。蛇の戒めが解かれたんだ。
 これは本当に僕のモノなのか、と思ってしまうぐらい、そこは大きく、太くなっていた。痛みを物ともせずにそそり立つその姿は、僕が痛みに興奮している証拠とも言えた。
 僕の両手が、その太いモノを掴んだ。掴もうと思って掴んだんじゃない。身体が勝手に動いたんだ。
 そして擦る。限界のスピードで、激しく擦る。
【△△△△】
「あぁ! がぐぁ……あぐぅ! ぁはあ、あうあ!」
 蛇は暴れ続けている。こんな激しい痛みを感じていて、なんで僕はオナニーができるのか。
 わからない。いや、わかるけど認めたくない。僕が、僕がドMの変態だなんて……。
 だけどその思いに反して、僕の手は扱くのをやめない。
 壮絶な痛みと、気持ち良さの中で、僕はついに……
【△△△△】
「アァーーーッッ!!」
;☆CG射精
 イった。
 たぶん、過去最高の飛距離で、僕の精液がほとばしった。
 蛇の尻尾についたカップが、それを空中でキャッチするのを見ながら、僕は海に沈むような心地で気を失った。
;■黒にフェードアウト
 ――私の式神でイかせたかったのに……。
 海の底で、〇〇〇〇のそんな声を聞いた気がした。

;シーン005
;☆シーン005
;■教室 晴れ
;△チャイムの音
;♪ほのぼの系の音楽+喧騒(ワイワイガヤガヤ)
 4時限目の授業が終わり、昼休みを迎えた。
 お弁当を持ってきていない僕は、学校の外へお昼ご飯を食べに行かないといけない。
 近場においしい日替わりランチを出す店があるけど、今は仕送り前でお金がない。だから、寮まで戻ってご飯を食べるしかない。
【△△△△】
「急がないと」
 寮までの道を往復するとなると、時間はギリギリだ。
 僕は手早く机の上を片付けて、席を立った。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「あ……」
 瞬時に背筋が凍りついた。
 この人の蛇にカマを掘られたことは、記憶に新しい。て言うかつい昨日だ。
 それに僕には、約束を反故にしたという負い目がある。なぜか〇〇〇〇さんはそのことを攻めてこなかったけど、その優しさが却って不気味だ。
【△△△△】
「な、なんでしょう、〇〇〇〇さん」
【〇〇〇〇】
「……アナタに渡す物がある」
 そう言って〇〇〇〇さんが机の上に置いたのは、薄ピンク色の包みだった。
【△△△△】
「お弁当……?」
 大きさといい、包み方といい、これでお弁当じゃなかったら詐欺だ。
 案の定、〇〇〇〇さんはこくんと頷いた。
【△△△△】
「でも、どうしてですか?」
 冷たくあしらわれるならわかるけど、お弁当を作ってもらえるようなことをした覚えはない。
【〇〇〇〇】
「……お礼」
【△△△△】
「なんのお礼ですか?」
;♪停止
【〇〇〇〇】
「精子をくれたお礼」
;●なし
 その時だけ偶然にもクラス中の会話が途切れていたのは、神様のイタズラだろうか。
 そして一度途切れた会話が、また同じ内容で続けられることはなかった。
;♪コメディ調+喧騒
【生徒A】
「精子をくれたって……」
【生徒B】
「まさか……そういう意味?」
【生徒C】
「サイッテー! 不潔よ!」
【生徒D】
「いやいや、ここは応援してあげようよ」
【生徒E】
「若いもんはええのう。なあ、ばあさんや」
【生徒F】
「そうですねえ、じいさん」
【生徒G】
「△△△△てめえ! ブッ殺す!」
【△△△△】
「~~~~っ!」
 僕は、左手でお弁当、右手で〇〇〇〇さんの手を掴んだ。
【△△△△】
「行こう! 〇〇〇〇さん!」
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんの手を引いて、教室を飛び出した。
;●なし
【生徒G】
「待ちやがれ!」
【生徒D】
「きゃー! △△△△くんったら強引よー」
【生徒A】
「どこへ行って、何をするつもりかしら」
【生徒B】
「まさか……そういうこと?」
【生徒C】
「サイッテー!」
【生徒E】
「ほんに、若いもんはええのう」
【生徒F】
「そうですねえ、じいさん」
 好き勝手に言うクラスメイトの声を聞きながら、僕は脇目も振らずに逃げ出した。
;■黒にフェードアウト
;■フェードインで魔法研究室
【△△△△】
「ハァ、ハァ、な、なんとか振り切ったかな?」
 走り回っている内に、魔法研究室に来てしまった。とりあえずドアに鍵をかけて、息を整える。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△、痛い」
【△△△△】
「あ、す、すみません!」
 〇〇〇〇さんの手をかなり強く握ってしまっていたことに気づいて、僕は慌てて手を離した。
【〇〇〇〇】
「…………」
 小言の一つでも言われるかと思ったけど、〇〇〇〇さんは何も言わなかった。
 なんだか気まずくなって、僕は必死に話題を探した。
【△△△△】
「えーっと……。あ、そうだ! あの、お弁当、ありがとうございます。すごく嬉しいです!」
【〇〇〇〇】
「…………」
【△△△△】
「えっと……、食べてもいいんですよね……?」
【〇〇〇〇】
「……お礼なら、食べたあとにして」
 それはつまり、食べてもいいということだろう。
【△△△△】
「ありがとうございます!」
;●なし
 僕は近くにあった椅子に座って、包みを開いた。
 出てきた弁当箱の蓋を開けると、そこには理想的なお弁当があった。
【△△△△】
「おお……!」
 サラダ、ハンバーグ、そしてウインナー。
 どこかの優しいお母さんが作ってくれそうなラインナップで、無性に食欲をそそられた。素朴な感じが、すごくいい。
 僕は蓋を開いた姿勢のまま、感動でしばらく動けなくなってしまった。
(そうだ。僕が求めていたのはこれなんだ)
(こういう普通のカップルみたいなシチュエーションにこそ憧れていたんだ)
(ケツの穴に突っ込まれて感じていた幸せは幻想だ。これこそが本当の幸せだ。僕はMじゃない。僕はノーマルなんだ!)
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……食べないの?」
 〇〇〇〇さんに話しかけられて、僕はハッと気がついた。
【△△△△】
「あ、いえ、その……。い、いただきます」
;●なし
 僕は箸を手に取り、手始めにハンバーグを口に運んだ。
【△△△△】
「ーーっ!?」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……どうしたの?」
 僕は口の中のハンバーグを飲み込んでから、答えた。
【△△△△】
「いえ、あまりにも、その……、おいしくて」
【〇〇〇〇】
「……そう」
 嘘だった。
 激マズだった。
 見た目がここまで綺麗なのに、味だけまずいというのも、なんだか不思議に思えた。
(でも、まずいとは言えないし……)
;●〇〇〇〇
 目の前に〇〇〇〇さんがいるから、食べないわけにもいかない。
 僕は震える箸で、必死に食事を進めた。
;■黒にフェードアウト
;数秒間ウェイト
;■フェードイン
【△△△△】
「ご、ごちそうさまでした」
 なんとか全部食べきった。途中から舌がおかしくなって、今に至っては頭痛がしている。
【△△△△】
「お、おいしかったですよ」
【〇〇〇〇】
「……そう」
 〇〇〇〇さんは素っ気ない。僕の感想なんか、求めていないのかも知れない。
 弁当がなくなると、途端に手持ちぶさたになった。
【△△△△】
「あの、僕、教室に戻りますね」
 もう騒ぎも収まってるだろうと思って、ぼくはそう口にしたのだけど……。
【〇〇〇〇】
「……まだ、だめ」
 〇〇〇〇さんは、それを許してくれなかった。
【△△△△】
「どうしてですか?」
【〇〇〇〇】
「……もうすぐ」
【△△△△】
「え?」
【〇〇〇〇】
「……食べ始めたのが、12時23分。今が12時37だから、あと1、2分で、効いてくる」
 それを聞いた僕の背筋に、ぞくっと嫌な感じが走った。どうやら僕は、〇〇〇〇さんの謎めいた言葉が理解できるようになってきたらしい。
【△△△△】
「まさか、〇〇〇〇さん……うっ!」
;△物が落ちる(あるいは倒れる)音
 喋っている途中で頭痛が一際強くなった。僕は立っていることもできなくなり、その場に膝をついた。
【〇〇〇〇】
「……効いてきた」
【△△△△】
「な、なに、を……」
【〇〇〇〇】
「……アナタを、本能のままに解放する薬」
【〇〇〇〇】
「……アナタは、理性で自分を縛り付けてる。だからどれだけ激しくしても、絶頂にはなれない」
【〇〇〇〇】
「……一時的に理性と本能を分けて、理性を身体の外に追い出す。これでアナタは、本能のままに動くことができる」
【△△△△】
「そんな……! そんなことしたら、僕は、〇〇〇〇さんを……」
 そこまでが限界だった。
;■白にフェードアウト
 身体が軽くなったような妙な気分のあと、視界が天井のほうに昇っていった。それと共に頭痛が治まっていく。
【????】
「〇〇〇〇さ~ん!!」
【〇〇〇〇】
「……アナタが襲いかかってくるのは、想定の範囲内」
 変な男の声と〇〇〇〇さんの声が聞こえて、そのあとに身体が縛られるような感じがした。
(な、なんだ?)
 視界は相変わらず天井近くにある。
;■フェードイン
;☆CG
 状況を理解するために辺りを見回すと、下には〇〇〇〇さんと、蛇に縛られた僕の姿がメニ入った。
(僕がいる? あれ? なんで勝手に動いてるんだ?)
 本能が動かしているからだと理解するには、しばらく時間がかかった。
(と言うことは、この宙に浮いてる僕は理性のほう?)
【△△△△】
「〇〇〇〇さん! 〇〇〇〇さん! 〇〇〇〇さぁん!」
 僕の身体が連呼する。自分の声とは言え、これはかなり気持ち悪い。
【〇〇〇〇】
「……少し黙って」
;☆CG口塞ぐ
 蛇が、僕の口をふさいだ。
(うぅっ!?)
 口だけじゃなくて鼻も塞がれたみたいで、僕は呼吸ができなくなった。
 空中の僕も苦痛を共有してるみたいで、息ができない苦しみをリアルに味わうことになった。必死で口の回りに手をやったけど、当然そこには何もない。
【〇〇〇〇】
「……服を脱がすまでは、そのままでいて」
 今度は自分の身体のところまで飛んで、縛っている蛇を引き剥がそうとしたけど、すり抜けるばかりで、触ることもできない。
 磔にされてる自分の顔が、だんだん青白くなっていく。それに合わせて、意識が遠退いていった。
【〇〇〇〇】
「……できた」
 意識が途切れる寸前で、蛇が僕の口を解放した。
【△△△△】
「ぷはぁ! ハァ、ハァ、ハァ……」
 僕が、荒い息をする。その身体は、言うまでもなく丸裸だ。
(くそ、黙らせるのはともかく、息を止めることないじゃないか)
 これはいくら僕の本能でも、黙ってはいないぞと思ったら……。
【△△△△】
「イイ! すごくイイです〇〇〇〇さんいや〇〇〇〇さまぁ! もっと! もっと苛めてください!」
 確かに黙ってなかったけど、これは予想外だった。
(これが、僕の本能……)
 なんだか、無性に泣きたくなった。
【△△△△】
「お願いです! 僕のおちんちんを、おちんちんをそのおみ足で蹴り飛ばしてください!」
(なっ!?)
 なんてことを言うんだ! と思った。もし今の僕に身体があったら、〇〇〇〇さんの代わりに蹴り飛ばしてやるところだった。
【〇〇〇〇】
「……想定外」
 さすがの〇〇〇〇さんも、これには引いていた。
【〇〇〇〇】
「……△△△△がこんなに変態だったなんて」
 いや、もしかして喜んでるのか?
【△△△△】
「あぁ!! ヤバイもっと言って! もっと変態って言って! 口汚く罵って〇〇〇〇さま!」
【〇〇〇〇】
「…………」
 〇〇〇〇さんは、何も言わずに僕の身体の前まで行くと、予備動作なしで僕の股間に蹴りを入れた。
;■黒
;△打撃音
(ぐっ!)
;■元に戻す
 痛い。だけどこれぐらいならまだ我慢できる。
【△△△△】
「駄目です! 〇〇〇〇さまもっとぉ! もっと強く、容赦なく全力で蹴りあげてくださいぃ!!」
 こいつ、本当にうるさい。なんとか黙らせられないだろうか。
【〇〇〇〇】
「…………」
 今度は、〇〇〇〇さんは力を込めて、全力で足を振るった。
;■黒
;△打撃音
(うぐおおぅっ!!)
;■元に戻す
 これは効いた。
 股間に走る痛みは、蹴られた時はもちろん、その後もしばらくは止むことがない。タマが中に入り込む痛みは、体験した人間にしかわからない。
【△△△△】
「アアアア!! イイ、イク! イぃクぅ~!!」
 僕と同じ痛みを感じてるはずなのに、僕の身体は感じている。アソコをビンビンに勃起させて、顔には愉悦の表情を浮かべている。
(なんだ、この生き物は)
 自分の本能とは思いたくない、壮絶な絵面だった。
【〇〇〇〇】
「…………」
;■黒
;△打撃音
 〇〇〇〇さんは、連続で容赦なく蹴りあげてくる。
;△打撃音
;△打撃音
;■元に戻す
【△△△△】
「アァア~! イク、イっちゃう! あはあぁ~ん!」
 オカマみたいな声をあげて、僕がイった。
;☆CG射精
 空中で放物線を描いた僕の精液は、目の前にいた〇〇〇〇さんのブーツに付着した。
;☆CG終わり
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「…………」
(あ……)
 〇〇〇〇が精液を受け止め損なったのを、僕は初めて見た。たぶん、あの精液は研究には使えない。
;■黒
;△打撃音
;■元に戻す
;●なし
【△△△△】
「あぁ~ん!」
 最後に腹いせのように僕の股間を蹴りあげると、〇〇〇〇さんはブーツを脱いで、ゴミ箱に捨てた。
(そんな……。捨てなくても……)
 心で思っても、今の僕は喋ることができない。喋ることができたとしても、言ったかどうかは微妙だけど。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……疲れた」
【〇〇〇〇】
「……もう、蹴るのは終わり」
(それってつまり、蹴るの以外ならまだ続けるってこと?)
 蹴るのも何も、もう全部やめて欲しい。
 だけど僕の本能は、理性とは反対のことを言う。
;☆CG
【△△△△】
「じゃあ別のでいいですから! 針でもムチでもローソクでも! 何でもいいから僕を苛めていたぶって!」
;☆CG終わり
【〇〇〇〇】
「……ローソク?」
 〇〇〇〇さんが、一番反応してはいけない単語に反応した。
;☆CG
【〇〇〇〇】
「……それって、どんなの?」
【△△△△】
「それは」
;☆CG口塞ぐ
 説明しようとした僕の口を、〇〇〇〇さんの蛇がふさいだ。
【〇〇〇〇】
「……待って。先にローソクを持ってくる」
;☆CG終わり
;●なし
;△ドアを開けて、閉める音
 そう言って、〇〇〇〇さんが部屋から出ていった。蛇は、すぐに口を解放した。
【△△△△】
「あぁ、放置プレイ……。これはこれでイイ~」
 僕の本能は、何でもアリだった。
;■黒にフェードアウト
;■フェードイン
 しばらくして戻ってきた〇〇〇〇さんの手には、しっかりとローソクが握られていた。時間からして授業も始まってるはずなのに、いったいどこから持ってきたのか。
;☆CG
【〇〇〇〇】
「……持ってきた」
【△△△△】
「そ、そうですか」
【〇〇〇〇】
「……これで、どうするの?」
【△△△△】
「いや、あの……」
【〇〇〇〇】
「……?」
 〇〇〇〇さんが、僕の目をじぃっと見つめた。僕はなんとなく、目を逸らしてしまう。
【〇〇〇〇】
「……戻った?」
【△△△△】
「はい、実は……」
 そう。実は、〇〇〇〇さんが行ってる間に薬の効果が切れていたんだ。
 今の僕は、さっき射精したこともあって、かなり理性的だった。
【〇〇〇〇】
「…………」
【△△△△】
「…………」
 〇〇〇〇さんが、僕の顔を見る。
 やがて……、
【〇〇〇〇】
「……やめる」
;☆CG終わり
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんが軽く手を振って、蛇が掻き消えた。
 僕は、力なくその場にへたりこんだ。
【△△△△】
「あの、〇〇〇〇さん……」
 呼び掛けても、〇〇〇〇さんは返事をしてくれなかった。
;●なし
 結局、そのあと僕と〇〇〇〇さんは一言も言葉を交わすことなく、各々授業に戻った。

;シーン006
;☆シーン006
;■黒
 5時限目をサボったせいで、先生に叱られた。
 一緒にサボった〇〇〇〇さんは叱られなかった。差別だ。
;■教室 夕方
 何はともあれ、今やっと6時限目が終わって、帰る時間になった。今日は昼休みに精液を採取されたから、放課後は行かなくてもいいことになっている。
【生徒D】
「△△△△、ローソクはやめたほうがいいよ」
 唐突だった。
【生徒D】
「あれ下手すると、大火傷だから」
 それだけ言うと、僕が言葉を返す暇もなく、生徒Dは部活仲間と一緒に教室を出ていった。
【△△△△】
「なんで知ってるんだ……?」
;●□□□□
【□□□□】
「ニャんでもくそも、そんニャの決まってるニャ。冷血女が喋ったんだニャ」
;●なし
 確かに、□□□□の言う通りだ。
 よくよく耳を澄ましてみると、他の生徒もヒソヒソと何か話している。
【生徒A】
「……ローソク……」
【生徒B】
「……変態……」
【生徒E】
「……M男……」
【生徒C】
「サイッテー」
【生徒F】
「……ローソクって……」
【生徒H】
「……ないわぁ……」
(みんな、知ってる……)
 恥ずかしいで済むレベルじゃなかった。
 〇〇〇〇さんと付き合ってると思われるよりも、酷いことになっていた。
(ど、どうしよう)
 考えたけど、今この場で何かしても、火に油を注ぐことになりかねない。
(とにかく、逃げよう)
 なるべく自然を装いながら、僕は教室を出た。
;■廊下
 〇〇〇〇さんが喋ったのは間違いない。
 問題は、なんで喋ったのかだ。〇〇〇〇さんは無駄なことをする人じゃないから、必ず理由があるはずだ。
;●□□□□
【□□□□】
「ローソクでするプレイがどんニャのか、聞いて回ったんじゃねえのかニャ?」
【△△△△】
「だよね。今のところそれぐらいしか思い付かないし」
【□□□□】
「ずいぶん熱心だニャ~」
 ありがたくない話だった。
 今までだってかなりギリギリだったのに、ローソクプレイなんかされたらマジで死にかねない。
【□□□□】
「どうするつもりニャ?」
【△△△△】
「一応、考えはある。××××卿に相談するんだ」
;●なし
 あの人なら、精液を提供すると言えば、僕を助けてくれるだろう。キツいことを強要されるかも知れないけど、〇〇〇〇さんよりはマシだと思う。
 そこでちょうどよく、廊下の反対方向から、当のその人が歩いてきた。
;●××××
【××××】
「あらあら。誰かと思ったら、ローソクで焼かれたい変態鬼畜の△△△△・△△△△・△△△△ではなくて?」
【△△△△】
「××××卿……」
 この人は、ただ立っているだけでも支配者のオーラが滲み出る。生まれながらのお嬢様でないと、絶対に出すことのできないオーラだ。
 そのオーラに気圧されて、僕はつい逃げ出したくなってしまう。
(でも、ここで逃げたら……)
 明日には、火炙りの刑が待っている。
(それに比べたら、こんなオーラぐらい何てことない!)
 僕は勇気を出して一歩前に進むと、できるだけ深く腰を曲げた。
【△△△△】
「××××卿! お願いがありま……」
【××××】
「嫌ですわ」
;●なし
【△△△△】
「えぇえ!?」
 本気で立ち去ろうとする××××卿に、僕は必死で追いすがった。
【△△△△】
「お願いです! もう××××卿しか、頼る人がいないんです!」
;●××××
【××××】
「ああもう、醜い豚ですわね」
【××××】
「わかってらして? 貴方は以前、わたくしの頼みを断ったんですのよ?」
【△△△△】
「そ、それは……」
【××××】
「その癖自分の頼みだけ聞いて貰おうだなんて、図々しいにも程がありますわ」
【××××】
「これ以上わたくしの機嫌を損ねたくなければ、今すぐわたくしの視界から消え失せなさい、このゴミ虫が!」
 ××××卿は、僕の手を振り払って、優々と廊下を歩いていった。
;●なし
 でも、まだだ。
 まだ諦めない。何としても、××××卿に話を聞いて貰うんだ。
【△△△△】
「××××卿!」
 僕が追いかけようとすると、××××卿は忌々しそうに、片手を振った。
【△△△△】
「うっ!」
 一瞬にして身体が動かなくなり、走りかけの体制のまま、僕は地面に倒れた。
;△擦れる音
 廊下に突っ伏した顔から、嫌な音がした。
;●××××
【××××】
「ふんっ」
;●なし
 廊下の床と熱烈なキスをかました僕を気に止める様子もなく、××××卿は立ち去っていった。
 ××××卿の足音が遠くなり、やがて聞こえなくなる。それから更に数秒経って、やっと魔法の効果が切れた。
 僕はすぐに立ち上がった。
【△△△△】
「××××卿!」
;△窓を開ける音
 廊下の窓を開けて、下を見下ろす。
(いた!)
 ちょうど真下を通ったところだった。
 僕は、覚悟を決めた。追いつくには、これしかない。
【△△△△】
「××××卿ォ!!」
;■白にフェードアウト
 助走をつけて、一思いに飛んだ。
 ××××卿の呆気に取られる顔が見れた。
 それだけでも、飛んだ甲斐があったと思う。
;■校庭
;●××××
【××××】
「本当、馬鹿の考えることは理解できませんわ」
 足を痛めて苦しむ僕を、冷たい目で見下しながら、××××卿は言った。
【××××】
「そこまでして、わたくしに頼みたいことがあるのかしら?」
【△△△△】
「そう、そうなんです」
 やった。 話を聞いてくれるみたいだ。
【△△△△】
「あの、実は……」
【××××】
「お待ちなさい」
 ××××卿が、ピシャリと言い放った。
【××××】
「まだ、話を聞くとは言ってませんわ」
【△△△△】
「え、あの……」
【××××】
「そうですわね。貴方が土下座して、わたくしの靴を舐めながら上手にお願いすることができたら、話だけは聞いてあげてもいいですわ」
【△△△△】
「土下座……、舐め……。まさか、ここでですか?」
 さっき2階からのダイブを決めたせいで、今の僕達はすごい注目を浴びている。
 こんなところでそんなことをしたら、学校中の噂になること間違いなしだし、なにより〇〇〇〇さんの耳に入るだろう。
 さすがの僕も、少しためらう。
【××××】
「嫌ならいいんですのよ? 何も無理にとは言いませんわ」
 そんなこと言われても、引くわけにはいかない。ここで引いたら、そう、火炙りだ。
【△△△△】
「や、やります」
;●なし
 僕は××××卿の前に膝まづいた。
 頭を下げて、××××卿のブーツに顔を近づける。
(くっ……)
;■黒
 僕は一度生唾を飲み込んでから、目をつぶって××××卿のブーツを舐めた。
 なぜか、〇〇〇〇さんにすごく申し訳ない気持ちになった。
;■校庭
;●××××
【××××】
「フフ、本当に舐めるだなんて、信じられない。人としてのプライドはないのかしら? もしわたくしがこんなことをさせられたら、恥ずかしさで死んでしまいますわ」
【××××】
「いっそのこと、死んでくださらない? 貴方生きてる価値がありませんわ。それとも、貴方はわたくしの靴を舐めるために生きているのかしら? そんなに必死に舐めて。貴方もしかして、喜んでいるのではなくて?」
【××××】
「ああ、わたくしはなんてことをしてしまったんでしょう。こんなド変態にご褒美をあげてしまうだなんて。人生で最悪の失態ですわ。貴方のせいですのよ。どうやって埋め合わせする気か、聞かせていただきたいですわね」
【△△△△】
「それは……」
【××××】
「誰も舐めるのをやめていいとは言ってませんわ」
;■黒
;△打撃音
;■元に戻す
 辛辣な言葉と共に、顔面を思いっきり蹴られた。
【△△△△】
「ぐ……!」
 唇が痛い。どうやら、切れて血が出たみたいだ。
【××××】
「どうしても喋りたいなら、舐めながら喋ることだけ、特別に許可してさしあげますわ」
【△△△△】
「は、はひ、ありはほうごひゃいあふ、えひひあひょう。……れるっ」
;●なし
 だんだん唾が枯れてきた。ザラついた舌が擦れて痛い。
 だけどここで舐めるのをやめたら、また蹴り飛ばされる。
 僕は死に物狂いで、ブーツに舌を這わせた。
;●××××
【××××】
「それで? 並の恋奴隷でもできないようなことをして、貴方はわたくしに何をお願いしたいのかしら?」
【△△△△】
「お、おひゅを、あいいふひゃんひゃら……」
【××××】
「何を言っているのかさっぱりですわ。舐めるのをお止めなさい」
【△△△△】
「は、はい」
 勝手なことを、と思わないでもなかったけど、舐めなくていいと言っているのに、逆らう理由はない。
 僕は顔を上げて、××××卿の顔を見ながら言った。
【△△△△】
「あの、僕を、〇〇〇〇さんから解放して欲しいんです!」
【××××】
「なるほど、そういうことですのね」
【△△△△】
「え……。今のでわかったんですか?」
 もっと理解してもらうまでに時間がかかると思ってた。やっぱり、頭のいい人は違う。
【××××】
「ええ。つまり、〇〇〇〇に飽きたということでしょう?」
【△△△△】
「違います!」
 全然理解されてなかった。
【××××】
「ごまかさなくてもよくってよ。確かにあの子の性格と貴方の変態さとでは、飽きがくるのも仕方ないですわ」
【△△△△】
「だから違うんです!」
【××××】
「それで、抑えきれない自分の欲情を発散するために、わたくしを頼ったということですわね」
【△△△△】
「違うんです! 僕は……」
 このまま流されていたら、いつまでも××××卿の誤解を解くことができそうにない。
 僕は慌てて、一気にまくし立てた。
【△△△△】
「このままだと〇〇〇〇さんに殺されるんです! だから、助けて欲しいんです! お願いです、精液ならいくらでもあげますから、僕の命を救ってください!」
 言いきった。
 まだ少し説明不足だけど、これで誤解だってことはわかってもらえたはずだ。
 心臓をバクバクいわせながら、僕は××××卿の返事を待った。
 その時……
;●なし
【〇〇〇〇】
「……それ、どういう意味?」
【△△△△】
「え……」
 真後ろから、一番聞きたくない人の声が聞こえた。
;●〇〇〇〇
【△△△△】
「〇〇、〇〇、さん……」
 僕は、絶望した。まさか今の叫びを、本人に聞かれてしまうなんて。
 でもよく考えたら、こんな目立つところで叫んだ僕が馬鹿だった。迂闊すぎた。
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「は、はい」
【〇〇〇〇】
「……ちょっと来て」
;●なし
 〇〇〇〇さんはそう言うと、校舎の中へと歩いていった。その後ろ姿から、〇〇〇〇さんの今の心情を推し量ることはできない。
 すがるような気持ちで後ろを見ると、そこにはさっきと同じように××××卿が立っていた。
;●××××
【××××】
「大変なことになったみたいですわね」
【△△△△】
「誰のせいだと思ってるんですか……」
 僕が恨みがましい気持ちで睨めつけると、××××卿は、心外だと言わんばかりに見返してきた。
【××××】
「まさか、わたくしのせいだとでも言うのかしら? わたくしにそんな口を利くなんて、本当、躾のなってない犬ですわね」
【××××】
「でも、そうですわね……。もしどうしても〇〇〇〇から解放されたいと思っているのなら、わたくしのところへ来なさい。わたくしの犬として匿ってあげてもいいですわ」
;●なし
 その時はたっぷり躾をしてあげますわ、と愉快そうに笑ってから、××××卿は校門をくぐって帰っていった。
 校舎のほうでは、〇〇〇〇さんが僕の来るのを待っている。
 逃げ出したい気持ちを必死に押さえつけながら、僕は〇〇〇〇さんの元へと足を進めた。
;■フェードアウト
;■フェードインで魔法研究室
 〇〇〇〇さんに連れていかれた場所は、やはりと言うかなんと言うか、魔法研究室だった。
;△扉を閉める音
 僕が中に入ると、〇〇〇〇さんは扉を閉めて、僕に向き直った。
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……さっきの、どういう意味?」
【△△△△】
「それは……」
 ここまできたら、もう言うしかない。
 僕はぐっと拳を握って、〇〇〇〇さんの顔を見た。
【△△△△】
「僕は、死にたくないんです」
【〇〇〇〇】
「……私は、アナタを殺したりしない」
【△△△△】
「〇〇〇〇さんにその気がなくても、こんなことを続けてたらいつか死にます!」
 僕は自分を抑えきれず、強い声をあげた。
 こんな風に反抗したのは、初めてのことだった。
【〇〇〇〇】
「……私は、アナタを気持ち良くしてあげただけ」
【△△△△】
「精液を採るためでしょう!? 同じ精液を採られるなら、××××卿に採られたほうが100倍マシです!」
【〇〇〇〇】
「……それで、××にあんなことを言った?」
【△△△△】
「…………」
 自分でも、自分の気持ちがわからなかった。
 どこかに、〇〇〇〇さんに申し訳ないという気持ちもある。だけどやっぱり死にたくない。
【〇〇〇〇】
「△△△△、はっきりして」
 〇〇〇〇さんが、いつになく明瞭な声を出した。場合によってはこれが最後の質問になるということが、言われなくてもわかった。
【〇〇〇〇】
「アナタは、私か、××か、どっちがいい?」
 〇〇〇〇さんか。
 ××××卿か。
 僕の人生を大きく左右する問いだった。
 そして、僕の答えは……
;☆選択肢
; 〇〇〇〇さん
; ××××卿
;☆「〇〇〇〇さん」を選択した場合は、シーン008へ
;☆「××××卿」を選択した場合は、シーン007へ

;シーン007
;☆シーン007
;●なし
【△△△△】
「僕は、××××卿のところに行きます」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……そう」
 〇〇〇〇さんの反応は、それだけだった。
 怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えない。ただ無表情に、事実を受け入れているように見えた。
【△△△△】
「あの……すみません」
【〇〇〇〇】
「……どうして、アナタが謝るの?」
 なんでだろう。なぜか、謝らないといけない気がした。
【〇〇〇〇】
「……アナタは、悪くない。悪いのは全部私。アナタの心を最後まで掴み取れなかった、私が悪い」
【△△△△】
「…………」
 僕は何も言えなかった。
 今からでも、〇〇〇〇さんを選べば、この空気を払拭できるのかも知れない。
 だけど僕はそれをしなかった。僕は××××卿を選んだんだ。今さら、心変わりはしない。
【△△△△】
「それじゃあ、〇〇〇〇さん。僕、行きます」
【△△△△】
「さようなら」
;●なし
 そう言って、僕は魔法研究室の扉を開けた。
【△△△△】
「あれ?」
 いや、開かなかった。
 ドアノブを下ろしても、押しても引いても、扉はびくともしなかった。
(なんでだ?)
 今度は、少し体当たり気味に扉を押してみた。それでもやっぱり扉は開かない。
(これは……)
 この3日間、〇〇〇〇さんと一緒に過ごしてきた僕に、これがどういうことか、わからない訳がなかった。
 扉に、影がかかった。
;●〇〇〇〇
 ゆっくりと振り返ると、そこには禍々しいオーラを放つ〇〇〇〇さんが立っていた。
【△△△△】
「あ、あの、〇〇〇〇さん、これは……」
【〇〇〇〇】
「……本当は、こんなことしたくなかった」
 〇〇〇〇さんが、一歩一歩僕に近づいてくる。
【〇〇〇〇】
「……アナタの心も身体も手に入れて、2人で死ぬまで一緒にいたかった」
 逃げたくても、どこにも逃げ道はない。
【〇〇〇〇】
「……だけど、心が手に入らないなら、身体だけでも、私の物に……」
【△△△△】
「うわあああ!!」
;■黒
 僕の悲鳴が合図だったかのように、〇〇〇〇さんの服の中から白い蛇が這い出してきた。
 その蛇は目にも止まらぬ早さで僕を縛り上げ、磔にした。
;☆CG5
【△△△△】
「かはっ! が、ぐ……」
 胸を強打したのか、うまく呼吸ができない。
 やっと息が落ち着いてきた時、目の前にはノコギリを持つ〇〇〇〇さんがいた。
;☆CG終わり
【〇〇〇〇】
「……△△△△。私の心を、アナタにあげる」
【〇〇〇〇】
「……その代わり、アナタの身体、私にちょうだい……」
;☆CG5
【△△△△】
「わかりました!」
 僕は叫んだ。
 もうなりふり構っていられる状況じゃなかった。
【△△△△】
「僕の心、全部〇〇〇〇さんに捧げます! だ、だから、お願いです殺さないでください!!」
;☆CG終わり
;●〇〇〇〇 微笑
【〇〇〇〇】
「……大丈夫」
 その時僕は、初めて〇〇〇〇さんの笑顔を見た。
【〇〇〇〇】
「……死んでも、私のキョンシーとして生き返らせる。死んでもずっと、私たちは一緒」
【△△△△】
「ーーーーッッ!」
 殺される。
 僕は殺される。
 助からない。どんなに説得しても、足掻いても、きっと〇〇〇〇さんは僕のことを殺すだろう。
;☆CG5
【△△△△】
「嫌だァァアア!!」
 いや、もしかしたら、助かるかも知れない。
 ××××卿が、助けにきてくれるかも知れない。
 死の間際に、僕の隠された魔力が発揮されるかも知れない。
 〇〇〇〇さんが、改心してくれるかも知れない。
 そんなご都合主義の展開が、ひょっとしたらあるのかも知れない。
;☆CG終わり
【〇〇〇〇】
「……生きてる△△△△にしてあげられることはこれが最後だから、せめて最後は、魔法を使わないで、私の手でシテアゲル」
 ノコギリの刃が、僕の右肩の付け根に当てられた。
 無数の刃が服を貫いて、僕の肌に突き刺さる。
【△△△△】
「やめてくれぇぇ!!」
 刃が轢かれ
;△ノコギリの音(しばらく続ける)
;☆画面を揺らす
【△△△△】
「ぎゃあああああああああああああ!!」
 皮膚が裂ける、肉が抉れる、視界が弾ける、身体が燃えるように跳ね上がる。
;■赤
 血が、血が、ありえない量の血が、僕の命が、流れていく。無理だ。僕はもう駄目だ。もう、助からない……。
 音が変わる。骨が、削られる。もう嫌だ、死にたい。早く死なせてくれ。気が狂う。いやもう気が狂いたい。楽になりたい。
;△終わり
;■元に戻す
【〇〇〇〇】
「……次は、反対の腕だから」
 あれ? いつの間にか、腕が……。
 僕の右腕が、ない。
 そうか、それでか。なんか身体が軽く……
;△ノコギリの音
;■黒
【△△△△】
「ぎゃあああああああああああああ!!」
 そしてまた始まる。
【〇〇〇〇】
「……これが終わったら、次は脚」
 止むことのない痛みの中で、僕はやがて絶命した。
;■フェードアウト
;■フェードイン
;△扉が開く音
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……おはよう、△△△△」
【△△△△】
『おはようございます、〇〇〇〇さま』
【〇〇〇〇】
「……さまじゃなくて、さん」
【△△△△】
『おはようございます、〇〇〇〇さま』
【〇〇〇〇】
「…………」
【〇〇〇〇】
「……△△△△、今日も、たくさん可愛がってあげるから」
【△△△△】
『ありがとうございます、〇〇〇〇さま』
;●〇〇〇〇 微笑
【〇〇〇〇】
「…………」
;■フェードアウト
;■フェードイン
;☆CG
【〇〇〇〇】
「……△△△△、気持ちいい?」
【△△△△】
『はい、〇〇〇〇さま』
【〇〇〇〇】
「……よかった」
【〇〇〇〇】
「…………」
【〇〇〇〇】
「……△△△△、これは?」
【△△△△】
『気持ちいいです、〇〇〇〇さま』
【〇〇〇〇】
「……よかった」
【〇〇〇〇】
「…………」
【〇〇〇〇】
「……△△△△、幸せ?」
【△△△△】
『はい、〇〇〇〇さま』
【〇〇〇〇】
「……そう」
【〇〇〇〇】
「…………」
【〇〇〇〇】
「…………」
;☆CG 〇〇〇〇微笑
【〇〇〇〇】
「……私も、幸せ」
;終わり

;シーン008
;☆シーン008
【△△△△】
「僕は、死にたくないんです」
 死にたくなくて、××××卿を頼った。
 それを〇〇〇〇さんに言わずに内緒でやったのは、やっぱり、〇〇〇〇さんのことが信じられなかったからだ。
 だけど、そんなのは当たり前だ。〇〇〇〇さんと僕がこれまで一緒に過ごしたのなんて、ほんの僅かな時間でしかないんだから。そんな簡単に、人を信じられる訳がない。
【△△△△】
「でも、〇〇〇〇さんが絶対に僕を殺さないと言うのなら……」
 信じられる訳がないけど、そんなのは関係なく、僕は〇〇〇〇さんと一緒にいたい。
 何をされるかわからない、いつ殺されるかわからない、そんなスリルも、悪くない。
;どうしてもシーン006との流れが悪くなってしまうので、シーン006を書き直します。
【△△△△】
「それなら、僕は……」
【△△△△】
「僕は、〇〇〇〇さんを選びます」
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……良かった」
【〇〇〇〇】
「……また、裏切られるのかと思った」
【△△△△】
「また?」
 そういえば、最初に抜かれた時も、何か引っ掛かるようなことを言っていた。
 男なんか信用できない、とか。
【〇〇〇〇】
「……アナタなら、信用できる」
 〇〇〇〇さんが、ゆっくりと僕のほうに歩いてくる。
【〇〇〇〇】
「……アナタなら、私の全てをぶつけられる」
;●なし
 〇〇〇〇さんが、ゆっくりと僕の服を脱がしていく。
 僕の服を全て脱がし終えると、〇〇〇〇さんはしゃがんで、僕の陰部にそっと手を添えた。
;☆CG炎なし
【〇〇〇〇】
「…………」
 そして呪文を唱え始める。
;☆CG炎あり
 〇〇〇〇さんの手が、青い光を放つ。
 魔法の光にしては珍しく、その光は微かに揺らめいているように見えた。
(ち、違う、これは……)
;☆CG終わり
;☆画面揺らす
【△△△△】
「あっっぢーー!!」
 炎だ!
 魔法の光じゃない、炎だ!
 高温すぎて青くなった、炎なんだ!
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……逃げちゃ、だめ」
 お馴染みとなった蛇が、僕の身体を縛りつける。
 逃げられなくなった僕は、またゆっくりと近づいてくる〇〇〇〇さんに、頼み込んだ。
【△△△△】
「や、やめてください〇〇〇〇さん、それだけは!」
 しかし〇〇〇〇さんは……
【〇〇〇〇】
「……嫌がるフリなんて、しなくていい」
 なぜか猛烈に誤解しているようだった。
【〇〇〇〇】
「……アナタが言った。ローソクプレイがして欲しいって」
【△△△△】
「は? でも、ローソクプレイっていうのは……」
 そんな、チンコを丸焼きにするようなプレイじゃないはずだ。
【〇〇〇〇】
「……誰も教えてくれないから、苦労した」
【〇〇〇〇】
「……××に聞いたら、やっと教えてもらえた」
【△△△△】
「××××卿!?」
 あの人が間違った知識を持っているはずがない。
 と言うことは、××××卿は嘘をついたんだ。
 僕をいたぶるために、ローソクプレイをより過激なプレイとしてーー。
【〇〇〇〇】
「……男の子ってすごい。私がこんなことされたら、いたくて死ぬ」
【△△△△】
「僕だって死にます!」
【〇〇〇〇】
「……気持ち良さで?」
【△△△△】
「違っ……
;☆CG炎あり
【△△△△】
「アーーーーッ!!」
 言葉の途中で、炎を押し付けられた。
 溶けた蝋よりもはるかに熱い炎が、僕のぺニスを焼く。
 痛みはもちろんのこと、肉の焼ける匂いがしてくるのが、なんとも恐ろしかった。
(コレ、もう使い物にならないんじゃ……)
 炎で去勢なんて、前代未聞だ。
;☆CG終わり
【〇〇〇〇】
「……もうそろそろ、いい?」
 ぐずぐずに皮膚が爛れたぺニスを見ながら、〇〇〇〇さんが僕に尋ねてくる。
 そろそろも何もない。やる前から、やめて欲しい。
 だけどここは、話を合わせておいたほうが得策だ。
【△△△△】
「そ、そうですね。もう、いいと、思います」
 この激痛の中で普通に喋っている自分を、褒めてやりたいと思う。
 きっとこの3日間で、痛みに慣れてきたんだろう。
 何にしても、今日のところはこれで終わりになりそうだ。
(良かった。早く治療所に行って、治してもらわないと)
【〇〇〇〇】
「……じゃあ、次」
【△△△△】
「そうですね。この蛇を消して……って、次!?」
 僕は耳を疑った。
【△△△△】
「次って、なんですか!?」
【〇〇〇〇】
「……扱く」
【△△△△】
「嘘でしょう! この状態で!?」
 〇〇〇〇さんは嘘をつく人じゃない。
 それぐらいは、最近までほとんど付き合いのなかった僕にもわかる。
 だから今言ったことも、嘘でも冗談でもない、紛れもなく本気の本当だった。
;☆CG扱き
 〇〇〇〇さんが、僕の竿を掴む。
【△△△△】
「ひぎゃっ!?」
 遠慮容赦のない掴み方で、さっき焼けた皮膚が崩れるのがわかった。
 そしてもちろん、それだけで終わらない。〇〇〇〇さんはその手を……
;☆画面揺らす
【△△△△】
「ぐぎゃあああああああああ!!」
 肉が、肉がぐちゃぐちゃって!
 皮が捲れてる! 捲れちゃいけない皮まで捲れてる!
 痛い! 痛い! 痛い!
【〇〇〇〇】
「……すごいぬるぬるしてる」
 それは溶けた皮膚です!
 決して我慢汁とか、そういう物とは違うんですわかってください!
【〇〇〇〇】
「……こんなに大きくて固いの、初めて」
 嘘ォ!?
 僕、この激痛でも勃起してる!?
 これ、Mとかそういうレベルじゃな……。
;☆画面揺らす
【△△△△】
「ひぎゃああああああああああ!!」
;☆CG射精
;■白にフェードアウト
 ××××卿は、火傷を治す白魔法まできっちりレクチャーしていたようで、射精の後、僕のぺニスはすっかり元通りになった。
 最初はそのことに感謝したけれど、よくよく考えると、使い物にならなくなったほうが僕にとっては良かったのかもしれない。
 使い物にならなくなれば、僕は〇〇〇〇さんから解放されていた。
 だけど治ってしまったから、当然僕は解放されなかった。
 ××××卿がそこまで考えていたのかどうかは、わからないけど……。
 何にしても、僕の地獄はまだまだ続くようだ。
;■フェードインで魔法研究室
;●〇〇〇〇
【〇〇〇〇】
「……△△△△」
【△△△△】
「なんですか、〇〇〇〇さん……」
 〇〇〇〇さんは、未だに自分の勘違いに気づいていない。いくら説明しても、わかってはくれなかった。
 そして最後は、僕のほうが諦めた。
【〇〇〇〇】
「……明日も、お願い」
【△△△△】
「……………………もう、なんでもいいです」
 そう、諦めた。
 生きることを。
 僕は一生、〇〇〇〇さんに死ぬ寸前のプレイをさせられるんだ。
 死ぬ時は、〇〇〇〇さんに殺されるんだ。
 もう、それでいい。
 絶頂の中で死ねるなんて、最高の死に方じゃないか。
 そう思うことにした。
;■黒にフェードアウト
;■フェードインで廊下(夕方)
;●なし
 今日も僕は、放課後になると魔法研究室に足を運ぶ。
 ーー今度は、どんな痛みが待っているのかな。
;△扉を開く音
;■白にフェードアウト
 そんなことを考えながら、扉を開く。
;△扉を閉める音
;■魔法研究室
;●〇〇〇〇
 〇〇〇〇さんに殺されるその日まで。
;終わり